自民党国際局の命で韓国ソウルに出張に行って参りました。
日韓関係はご存じのとおり近年悪化の一途を辿っておりました。安全保障上重要な隣国であるにも関わらず、日本人の心が届いてないことに、私自身忸怩たる思いを持っていました。少し過去を振り返れば、例えば、これまで韓国の国会議員と議論をすることが何度かありましたが、普段は全く気さくで人情味溢れる彼らも、公式会議では、全く別の課題が議論されているときでさえも、唐突に靖国神社・慰安婦などの歴史問題に関する独自の主張を繰り返し、全く聞く耳を持たないところに辟易とする場面が何度もありました。立場というものもあるのかもしれませんが、政治家であれば、特にクローズドな場面であればなおさら、大局的な観点での議論ができないものかと案じていたところでした。
状況が一転したのは昨年末、日韓国交正常化50周年・戦後70年を迎えた年の年末でした。日韓外相会談による慰安婦問題の合意です(この合意については既にブログに書き留めているのでご興味の向きはご参照ください)。これ以降、韓国側が公然と不満を口にすることは極めて少なくなったと感じています。
https://keitaro-ohno.com/?p=3005
この合意のポイントは、日本政府による改めての元慰安婦への謝罪、韓国政府による慰安婦財団の設立と日本による財政支援10億、日韓双方が国際社会で非難合戦をしないこと、韓国政府は在韓国日本大使館前の少女像の撤去の努力、韓国政府は第三国での慰安婦像設置支援をしない、ということです。
そうした状況下での今回の韓国訪問の私自身の目的は、この合意の誠実かつ確実な履行の重要性を訴えることにあり、同国政府要人並びに国会議員にお訴えを申し上げました。基本的な事項は確認できましたし、非常に友好的な雰囲気に終始した出張でした。
一方で、出張期間中に、この合意にある慰安婦財団が設置され、式典が行われました。我々はこの式典には当然参加はしておりませんが、設置に反対する学生運動家が式典ステージを占拠したり、同財団理事長が反対派に防犯スプレー用液体をかけられたり、またかけた容疑者が逮捕されたり、などといった騒動があったようです。また、日本の政界を始め各方面には、韓国側による少女像撤去の努力が見られない状態で日本が10億円の拠出をすることに不満もあります。
お互いに言いたいことは山ほどある、というのが現状ではなかろうかと思います。しかし、我が国家の安泰を考えれば、冒頭申し上げたように安全保障上重要な隣国であることは間違いありません。
であれば、我が国としてはこの合意を確実に誠実に履行することで、国際社会にアピールすることが最も肝要であるはずです。どこまで行っても、日本は約束を守ってますよ、と言えることが、長い目で見れば国益に叶うというものです。