東京証券取引所と大阪取引所を傘下に持つ主に現物を扱う日本取引所グループ(JPX)と、主にデリバティブを扱う東京商品取引所(TOCOM)の統合の話が昨年末あたりから再び持ち上がっています。再び、と書いたのは、この統合の話は私が議員になる前から議論されていたことで、俯瞰的に見れば日本の取引所の国際的影響力の強化に資するものであるので、是非とも成し遂げたいものでありますが、政府があれこれ指示を出す立場のものでもないので、それぞれの思惑が一致せず、実現しなかったということだと思います。
昨年末、JPXとTOCOMが統合の検討に入るために秘密保持契約を結んだとの報道がありましたが、今日、改めて自民党の金融調査会で議論しました。平たく言えば、与野党ともに政治で反対する人はさしているような気がしませんし、市場参加者側は、監督官庁の一元化など手続きが簡素化されるはずですし、システム統合も進めば、手数料も安くなる可能性もあります。本日の調査会でも、金融庁から、昔と雰囲気が随分変わってきたので、改めて統合に向けた動きがでてきたのではないか、との解説がありました。実際、日経が報じたところによると、業界の8割以上が賛成しているとのことです。
日本では、商品先物取引と言えば、どうも怪しいイメージが付きまとうのですが、それは昔の話。実際に苦情件数もこの10年で10分の1以下になっています(後述の取引量減少の影響もあると思いますが)。本来の商品先物取引の意義は、公正で透明な価格形成とリスクヘンジの機能です(それを支えているのが資金運用機能)。農産品や貴金属などが代表的な例で、先の物の価値を市場化することで実現するものであって、極めて重要な金融インフラの役割を担っているものですが、最近では日本では取引量が少ない。過去15年で世界の取引量が8倍になっている一方で日本のそれは5分の1に落ち込んでいます。これは10年以上前から累次に亘って、投資勧誘規制等を導入したからで、当時の国内環境からすれば致し方ない部分もありますが、本来は国際的な価格形成力向上もセットで行っておくべきものでした。
問題は、統合により取引量が増えるのか(確実に増えるとの専門家の試算はありますが根拠が定かでない)、国際社会へのインパクトがどのようなものになるのかという視点の下、形式的にどのような統合を目指すのか、国際社会の中でグルーピング化が進んでいるのでどのような国際連携戦略を描くのか、ボラティリティを高めないのか、規制監督をどのように一元化していくのか、取扱商品をどのように拡大していくのか、など、賛成派として注視していきたいと思います。