予算委員会分科会にてイノベーションと産業構造の議論

先日の2月22日に行われた予算委員会分科会にて、世耕大臣と産業構造やイノベーションの議論を行いました。

イノベーションを推進し、雇用や所得につなげていくためには、現状の産業構造を刷新し、第四次産業革命がしっかりと花開くよう環境整備が必要です。今回は主に知的財産戦略を中心に質疑を行いました。またビッグデータ時代に特に米国で積極投資が行われている宇宙ベンチャービジネスに触れ、日本も関連産業の基盤強化に努めていただくよう要望し、満足のいく回答を頂きました。更に防衛産業に関するサプライチェーン構築に向けた取り組みの要望もさせていただきました。

関連記事:IoT/Industrie4.0とIICに見る世界の産業構造の大変革

 

 

予算委員会にて世界の秩序維持と日米同盟についての議論

昨日の2月14日、予算委員会で日米首脳会談を終えての外交経済連携に関する集中審議の質問に立たせて頂きました。

中身に入る前に、触れておきたいのが、テレビ入り審議のシステム。今回、私はたまたまご縁を頂いてテレビ入りの質問に立つ大変な幸運に恵まれましたが、基本的に衆議院の場合、自民党議員にはほとんどと言っていいほど質問の機会が回ってきません。それは、自民党側が野党に相当に配慮しているからで、自民は多くても10~20人位。単純計算で15年に1回!野党は毎年全員が1~2回。この事実を単に皆様に知っておいて頂きたいと思います。

さて、質問の中身は何だったのかを申し上げれば、国際社会の秩序が揺らいでいる中で、その秩序形成に向けて、新しい日米同盟は、そして日本は、世界の中でどういう役割を担うべきなのか、さらに言えば、日本周辺の秩序という意味で重要な北朝鮮、南シナ海、東シナ海では日米はどのような行動が求められるのか、今後のアメリカ人の意識変化に伴って日本の独自の抑止力を上げていかなければならないのではないか、その延長線上で、防衛装備品移転の戦略をしっかりと定めなければならないのではないか、そのような視点に立った上で、安倍総理に、日米首脳会談のやり取りを伺いました。

安倍総理からは、個人的信頼関係をしっかり構築できた、強固な日米同盟が改めて確認できたということを内外に示すことができた、北朝鮮などについても日米でしっかりと役割分担して対応していく、欧州やNATOなどとも積極的に会談を行っていく、防衛装備品については将来的には戦略を策定していく、などの回答を頂きました。

ちなみに尖閣諸島になぜ拘るのか、に疑問を抱かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、これは日米安保条約5条の適用によって、尖閣諸島が強固な日米同盟のシンボルになるからであって、シンボルにすることによって、秩序維持のプレゼンス、抑止力を確保できるということです。

また、なぜ平和安全法制に拘るのかというと、アメリカの一般人の心に、「日本を守りに行っても守ってもくれない」ということから「日本を守りにいったら守ってくれるようになったんだって」という価値観の転換を図ることによって、アメリカ人の心の中に、日本だったら守ってあげてもいいんじゃない、と思って頂くことで、信頼を勝ち取れるということです。

今後も謙虚に活動して参りたいと思います。

各社報道ぶり

読売新聞
紙面 https://keitaro-ohno.com/wp-content/uploads/2017/02/d8b073a38445d828d7256338f4942cd7.pdf

毎日新聞
デジタル http://mainichi.jp/articles/20170215/k00/00m/010/115000c
紙面 https://keitaro-ohno.com/wp-content/uploads/2017/02/e91cd21f370e221d2120408a277bf15d.pdf

https://keitaro-ohno.com/wp-content/uploads/2017/02/20170215M.pdf

朝日新聞
デジタル http://www.asahi.com/articles/ASK2G3CV4K2GUTFK005.html
紙面 https://keitaro-ohno.com/wp-content/uploads/2017/02/e1f40b15a516318c94b79117957c78e3.pdf

東京新聞
紙面 https://keitaro-ohno.com/wp-content/uploads/2017/02/35ee1bec439ac104e476d38884f8a79a.pdf

時事通信
デジタル http://www.jiji.com/jc/article?k=2017021400331&g=pol

ロイター
デジタル http://jp.reuters.com/article/abe-budgetcommittie-idJPKBN15T047

日本経済新聞社
デジタル http://www.nikkei.com/article/DGXLZO12878990U7A210C1EAF000/

・安倍総理と日米首脳会談に関する議論(2017.2.14)

 

 

安倍総理施政方針演説と米国大統領就任式

いよいよ第193回通常国会が始まりました。天皇陛下の退位や憲法改正と言った日本の背骨に当たる課題を慎重に落ち着いて粛々と議論するほか、63+αの具体的法案を審議する予定です。テロ対策の在り方、理想の働き方、日米同盟強化などについての法案・条約を審議します。まずは我々としては予算案と関連法案の成立を目指さねばなりません。

一方で、法案審議だけではなく、法案になる前のネタ作りも政治家にとって非常に重要です。これらは専ら党内の仕事。私の場合は、地方創生や日本経済再生など、日本に新しい価値が生まれる土壌や環境に資するような政策の玉込めを行っています。

通常国会冒頭は、政府の基本的方針や議会に期待することを述べる政府4演説が総理・外相・財相・経済相によって行われます。いわゆる施政方針演説です。今年の注目ポイントはトランプ。なぜならば、世界的に注目されたトランプ氏の就任演説と同じ日であったからです(トランプの方が後)。総理からアメリカや世界に向けたメッセージは、日米同盟やTPPの重要性でした。

一方でトランプ大統領は予想通りTPP撤退の表明を行いました。その他、オバマケア修正や公共投資拡大、法人税減税などによる景気刺激策、雇用の重視といった内容でしたが、選挙戦中の路線とは基本的には変わらないので、既定路線でサプライズなし。

ただし、多くの政策的矛盾を抱えたままの門出となったため、これから政策の詰めの作業をしていくものだと思います。人事を含めて、アメリカの場合は通常100日間が準備期間だと言われますので、100日間は様子見だと思います。

日本は、安倍総理が施政方針演説で示したように、TPPが世界経済にとってどういう普遍的意味を持つのか、どういう価値をもっているのか、ということを世界に訴えていく必要があると思っています。何せ、なぜTPPなのかということが理解されているとは思えず、おそらくトランプ大統領にとってTPPはモノの貿易自由化にしか見えず雇用を奪う最大の敵と見えているのだと思います。またバイ(2国間)の交渉を進めようとしていますが、重商主義でもあるまいし、マルチ(多国間)交渉を進めることで世界ルールを模索するのは当然です。第一、中国に国際ルールを守らないと発言をたびたびしていますが、TPPはそうしたルール作りに資するものですから、アメリカはそういうならTPPを推進して中国を抱き込まなければなりません。

一方で、トランプ氏の中東政策(IS排除・イスラム過激主義者排除)の話を聞いていて、具体性に乏しいながら(もちろんまだ就任演説なので具体的であるはずはないのですが)改めて中東への関与を表明したことに安堵します。今の中東は。中東のスーパーパワーがアメリカの関与低下とともに弱体化し、相対的にトルコやイランと言った、いわゆるアラブ人ではない国の影響力が増してきています。それが副次的要因になって、IS以外の別の過激組織が跋扈し始めているように見えます。これ以上の混乱は避けなければならない。オバマ以上、ブッシュ以下の関与をするのは当然として、より複雑になった方程式全体を解いていかねばなりません。

日本も中東への国民的関心を高めていなかなければなりません。そして日本自身も日本ができる範囲で関与していくべきです。

新年のお慶びを申し上げます。

酉年の新年を迎えました。謹んで新春のお慶びを申し上げます。旧年中も多くの出会いと気づきの機会を頂きましたこと、ご縁を頂きました全ての皆様にまずは感謝申し上げる次第です。酉という字は、果実が成熟の極みに達した状態を表すそうで、しかも干支では犬猿の間に入っているように、犬猿の仲を仲裁するという言い伝えがあるそうです。今年は、世の中が良い意味で成熟する年とならんことを念じております。

■国内経済を振り返って

昨年年初より日本銀行によるマイナス金利政策の導入から始まり、秋口にはイールドカーブコントロールが導入され、いよいよマクロ金融政策は成熟期と申しますか試練期と申しますか、アベノミクスも含めて新しい段階に入ったと言えます。大手産業にとっては短期金利の低下はプラスに働きますが、産業構造がこのままでよいということではありません。シャープや東芝の例に代表されるように、日本の基幹産業はデータドリブン社会の煽りを大いに受けていると言えます。産業構造の核心の為に、オープンイノベーションを確実に推進するインセンティブ政策を日本は大胆に導入すべきですし、オープンクローズ戦略によって標準化政策もしっかりと行うことで、国際競争力を高めていかなければなりません。さらに、データ社会対応のため、第四次産業革命・Society5.0関連政策もしっかり進め、イノベーションを後押しすることを中心に考えなければなりません。

一方で、この短期金利低下は、地方創生や中小企業政策としてみれば、需要サイドが弱い現状においては、地域金融のスプレッドの低下によって資金供給が産業界に向かいにくい構造を生み出しており、需要サイドの改善を、金融機関による健全な金融仲介機能の強化という視点でも進めなければなりません。金融検査マニュアルが随分変わったのはそのためですし、信用保証制度も今後改善をしていかなければなりません。

ただ、地方銀行や信用金庫がリスクを取らなくなったとか、目利き力が無くなったという指摘には少し慎重な視点が必要であると感じています。金利がある程度の水準にあってスプレッドが十分取れればリスクも取れ、産業界に寄り添う形が出てきて、目利き力が必然的に養われるということも論理としては十分に説得力があるからです。そう考えれば、現状ではいくら産業に寄り添おうと思っても管理費も賄えないという状況になっていることも考え合わせる必要もでてきます。マイクロファイナンスとの整合性も検討する必要があります。

いずれにせよ、知的財産や大学等の研究成果、政府の税制や補助制度、企業の技術力や組織力、そして金融機関の資金、言い換えるならば資金と技と知恵を総合的にコーディネートする人材が必要です。そうした地域の商社機能を各地に設置していくべきだと思いますし、将来的にRESAS(地域経済分析システム)の利活用が進めば、自治体の政策の深みと厚みが更に増すものと期待しています。

■国際経済を振り返って

昨年末のアメリカ大統領選挙でトランプ氏が新大統領に当選しました。選挙期間中を通じて、保護主義的重商主義的志向を表明しておりましたが、TPPなどは間違いなく離脱を表明することになると思います。今後日本としては、絶対に再交渉などに応じるべきではありません。これは意地ということではなく、イギリスのEU離脱にも見られるような世界の保護貿易主義的傾向に対峙していくのだという強いメッセージを日本としては世界に発信するためです。

ただ、短期的に見ればトランプ氏の公共投資5500億ドルや法人税の35%から15%への減税は、アメリカ国内の景気をてこ入れすることになることは間違いなく、更にFRBの利上げに伴って、日本としては全体的に円安株高のバイアスがかかることは間違いありません。また、アメリカの悲願であった中間層の底上げと低所得者層対策には大きくプラスであるため、政治的安定は確保されると思います。

問題は、2年以上の中長期でみれば、新興国への影響は無視できませんし、また保護貿易体制は世界経済の足を引っ張ることになるので、楽観できるものでは決してないはずです。EUは恐らくそれほど調子が良くなるとも思えず、中国も減速傾向(ニューノーマル)となると、エネルギー需要も低下するでしょうから、資源国減産合意と相まって原油価格は現状維持と見れます。従って物価の安定上昇が達成できるかどうかは、まだまだ先行き不透明です。

■国際政治を振り返って

まずアメリカ新大統領が世界の警察官の役割は担えない、という、オバマ大統領と同主旨の発言をしたことで、中東諸国の安定化に向けた取り組みに水を差した形になったことが挙げられます。もちろん、オバマ大統領が言う意味は、力を背景とした秩序形成に疑問を投げかけるという理想的理念に基づくものですが、トランプ大統領のものは、財政的側面のみから端を発していると思われますので、動向を注意深く見守るべきです。

アメリカの国際政治への関与は続けていただけるよう日本は積極的に働きかけていくべきですが、ブッシュ大統領時代のような力づくのネオコン的ゴリ押しの時代には戻すべきではありません。自由、民主主義、法の支配という価値軸と共に、新しい価値軸を設定し、合意形成を促していくべきです。もちろん昨年2回も国際社会の意思に反して核実験を強行した北朝鮮のような、現行国際秩序に真っ向から挑戦する勢力、そしてISILのような国際テロに対しては、そうした新しい価値軸とともに断固として力で対峙していくべきは論を俟ちません。

中国のように、国際秩序に抗うように独自の戦略を推し進める勢力に対しても、対峙していくべきは対峙し、協調していくべきは協調すべきであると感じています。

■まとめ

いずれにせよ、経済面でも国際政治面でも、日本がトリのようにイヌとサルの仲を取って円滑円満な地域になるイニシアティブをとれるような年になりますよう改めて念じ、私自身も必要な政策を提言して参りたいと存じますので、皆様方には、今後ともご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げ、皆様にとって、今年一年が素晴らしい年になるよう、心からご祈念申し上げる次第です。

南シナ海と一帯一路。この壮大な構想は正しいのか。

一両日のうちに南シナ海がらみのニュースを立て続けに見ました。どうやら中国が南シナ海南沙諸島の7つの人工島のすべてに近接防衛システムを配備したようだというものと、その南沙諸島のいくつかの島にある灯台をモチーフとした切手を中国政府が発行してベトナムが抗議したというものと、中国海軍が米国海軍の無人海洋調査潜水機を目の前でかっさらっていって米海軍が抗議した、というニュースです。あいかわらず南シナ海は話題事欠かない状態です。

最後の無人調査潜水機はあくまで公海上の話ですから、それはいくら何でも酷い。しかも目の前で。米海軍海洋調査船の460mまで接近してなのだとか。中国が発表した理由は「正体不明の装置を発見し、危機が及ぶのを避けるため」だとか。その後、中国国防省は、米軍によるこの活動を偵察・軍事的測量だとして活動の停止を求め抗議しました。

米国トランプ氏の中国に対する厳しい発言、特に一つの中国にこだわらないという強烈なメッセージの影響がないわけではないと思います。六中全会で核心とされた習近平国家主席ですから、核心である以上、すべての軍を掌握しているはずですが、今回の一件が国家主席の承認の範疇なのかどうかは定かじゃありません。多分違います。しかし、リーダの意向をかなり反映した行動であったことは想像に難くありませんし、危険な状態であることは間違いありません。

中国の意図は何か。まず中国は南シナ海を死活的海域だと思っているということ。なぜそう思うのかというと、結論から言えば、中国のそもそもの意図は、軍事的覇権などというものではなく、経済権益の確保だと思うからです。であるならば、西進(marching west)政策は彼らにとって理にかなったものになります。第一は、経済権益を確保するためには、最も重要なのが国内政治の安定です。国内政治が不安定化する可能性があるとしたら、経済的国内格差。これは内陸部と沿岸部の格差と言えます。だからこそ西部・内陸部の開発を急ぎたいと思うのだと思います。もう一つは、経済発展は資源需要の伸びを意味しますから、中東への影響力を強めたいという思いからの西進です。天然ガスを中東から仕入れるには、当然シーレーンを確保しておきたいはずです。だからこそ南シナ海は絶対海域になります。

しかしアメリカは怖い。マラッカ海峡を封鎖されれば天然資源は入らなくなる。だからこそ、パキスタンのグラダル港から中国西部にパイプラインを引けばインド洋すら通らなくて済むし、またミャンマーのチャオピュー港からパイプラインを引けば、アンダマンニコバル諸島すら通らなくて済む。つまりシーレーンの代替手段になる。さらに言えば、シーレーンやパイプラインに面した要衝の整備をAIIBによってファイナンスすれば、影響力は維持できるし、中国国内の西部の労働力をそうした海外インフラ整備に充当することができれば西部の賃金は上がるし、パイプライン要衝として発展する可能性もある。これがいわゆる、一帯一路、中国のシルクロード構想なのだと思います。

この構想を前提とすれば、地中海からインド洋、そしてアンダマンニコバル諸島を超えてマラッカ海洋、さらには南シナ海までの広大な海域の安全保障を確保する必要性が見えてきます。すると、中国が1998年にウクライナから買ってきてようやく運用実験段階に入った空母の意図も見えてきます。まだまだ実戦運用には至らないと言われていますが、空母を実際に運用するためには3隻程度保有し、それぞれ空母戦闘群に仕上げる必要があると言われています。そして確かに中国は自前で2隻の空母を建造していると言われています。これに、巡洋艦・フリゲートを用意すれば完成です。2025年くらいではないかと民間の研究者に伺ったことがあります。

また更に言えば、サイバーアタックに関する米中のやり取りの意味も徐々に解ってきます。運用面でも技術面でもノウハウのない中国にしてみれば、何とか技術を入手したい。基本的にその意図で中国は米国などにサイバーアタックをかけて違法に情報を入手する。しかし米国はそれは禁じ手であると考える。米国が中国に文句を言うと、中国側はお前らだってやってるじゃないか、となる。しかし米国にしてみれば、サイバーアタックは自国の安全保障に戦略的に直接関係ある領域しかかけない。価値観が違うので話が合うはずもありません。中国のサイバーアタックの主目的は、恐らくは艦載用戦闘機であると思われます。空母戦闘群を運用するのに艦載機は必須ですから。

また、以上の見立てに従うと、スプラトリー諸島を昔、力づくで奪った意味が見えてきます。第一列島線以内、特に9段線の海上優勢の確立によるシーレーンの確保。もちろん当該領域の資源確保もありますが、より大きな戦略に利用する価値を見出し、埋め立てを図っているのだと理解できます。また、海軍主力を北海艦隊から、南海艦隊に移し、母港を南海島に設定する意味も見えてきます。

一方で、第一列島線の内、南シナ海から尖閣のある東シナ海はどうなのかと言えば、ここは空母戦闘群のように常時の海上優勢を確保する必要もなく、多様な事態に対処できればよいので、より小型なフリゲートでいいということになったのだと思います。現在、年間10隻以上のハイスピードで建造がすすんでいるそうです。小競り合いに勝ちさえすれば、勢力を確保できる。しかも、東南アジア諸国の海軍力は比較的小規模なものが多いので、それで十分ということも言えます。

ちなみに東シナ海は、どちらかと言えば、安全保障上の意味合いでは、第一列島線を超えるためであって、その目的は太平洋への海路を確保し、アメリカの牽制をしておきたいということだと思います。そう考えれば、日本の自衛隊が遭遇することになる艦船は、空母戦闘群などといった戦略艦隊ではなく、大量のフリゲートということになるのだと思います。もちろん、トランプ氏による、必ずしも一つの中国政策に拘泥されないという発言が確信的なものであるならば、尖閣や東シナ海はもっと違う意味合いを持つかもしれません。例えば1週間前に中国空軍が沖縄と宮古の間を飛行し、スクランブルをかけた空自機に対して、妨害弾を発したとして抗議をしてきました。日本政府は、そんなもん打ってない、と反論しています。これもトランプ氏発言の影響なのかもしれません。

とにかく上記の第一列島線や9段線はもちろんの事、マラッカから地中海までは、アメリカには関与してほしくない、ということであって、だからこそ何年か前に、中国が米中の新大国関係論をぶち上げてみたり、共同管轄論(米は太平洋、中国はインド・大西洋)をぶち上げてみたりしたのだと推察できます。

以上のように考えれば、強く強く思うのが、こうした中国の労力は違う方向に向けるべきではないのか、ということです。力づくで自国の権益を確保しようとするのではなくて、国際社会に受け入れる形でエネルギーを割いて欲しいものです。もちろん、上記の考えは政府の考えでもなければ党の考えでもありません。民間研究者から頂いた種々の意見を勘案して私が勝手気ままに書いたものですので、まったく当たらないということもあるかもしれませんが、あまりに全てが繋がるのだとしたら、そう構えて日本も政策を構築せざるを得ません。

米中と日米は、少なくとも偶発的衝突が起きないように、そして起きたとしてもエスカレートすることを絶対にさける仕組みを構築しなければなりません。そして、習近平国家主席の意図を勝手に斟酌した現場の行動を、中国外務省や国防省などの政府が追認する、などという、それこそ旧時代的な、昔の日本のような、そんなことだけは中国には避けてもらいたいと切に願うものです。

Forum-K 2016 懇親会開催 及び 2017 新年会

Forum-Kの東京後援会を開催させていただきましたところ(去る12月15日午後6時より都内ホテルに於いて)、ご多用中にも関わりませず、大勢の皆様が駆けつけていただきました。改めて感謝申し上げたいと思います。来年早々には下記の通り地元香川県丸亀にて新年会を開催させていただきます。今後とも、ご指導ご鞭撻を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

大野敬太郎君を囲む会 「ForumK新年会」

2017年1月12日 午後6時~ 香川県丸亀市 オークラホテル丸亀

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※当催し物は政治資金規正法第8条の2に規定する政治資金パーティです。

トランプ氏は新しい世界秩序の構築者になれるか

トランプ氏が米国大統領選挙に勝利してから少し経ちますが、先ほど、トランプ氏が米国のFOXニュースで必ずしも一つの中国政策に拘らないとの考えを示したと報じられました。全く楽観視できない状況です。トランプ氏はアメリカファーストを標榜していますが、今日は、アメリカだけ良くなるモデルは本当にアメリカを良くするのか、ということについて書いてみたいと思います。

まず言えることは、トランプ氏のこれまでの発言からすれば、トランプ氏は、強いリーダシップを発揮している国のリーダには概ね関心をもっていること、現状の同盟関係に強い不満をもっていること(応分の負担の要求)、そして保護貿易的重商主義的考え方であること、は明らかだと思います。

まず3番目の論点について。例えばTPPやNAFTAには強い不満をもっており、未だに就任演説で脱退を表明するとしています。単に脱退でも大きなインパクトがありますが、世界経済の発展のためには自由貿易は必須です。従って、世界一位の経済規模をもつアメリカが自由貿易推進の旗振り役をやめることになるのは、世界経済の先行きに大きな影響を及ぼすことになり、ここは絶対に軌道修正してもらわなければなりません。これは日本の国益という問題ではなく、世界の発展のために必要なことだと確信しています。

TPPについては、発行の条件が全原署名国のGDPの85%以上を占める6か国以上の国内手続き完了となっているので、当然ですが米国の国内手続きは必要条件になります。米国は日本に対して2国間EPAとしての再交渉のメッセージを送っていると理解していますが、日本としては日本の国内手続き完了をもって、前述の理由を盾に、再考を求めていくべきです。TPP再交渉なども含めて認めることは絶対にできません。

一方で、アメリカファーストの経済政策で、交通運輸インフラの改善に5500億ドル、法人税減税(概ね35%を15%に)、雇用を制限している規制の改革、オバマケア見直し、そして金融規制強化法の見直し、という非常に大胆な雇用政策を打ち出していることを見れば、これらの公約を現実的なものに修正したとしても、結構な経済対策になるはずです。アメリカ経済の問題は、マクロでみれば世界一安定的に成長しているものの、中間層・低所得者層の雇用と賃金が上がっていない事なので、どのように労働分配率を上げていくか、ということはあるにせよ、そこは大きく刺激される可能性があります。しかし、この観点に立っても、国際的に新興国を中心に金融秩序を不安定化しないか、と言うことの方が大きく注目すべきポイントです。

いずれにせよ、保護貿易主義重商主義的アメリカファーストの政策で、世界経済の牽引役となれる世界経済モデルを構築できるかどうかが問題になるわけで、私は極めて懐疑的に見ています。アメリカファーストでアメリカが良くなるほどアメリカは小さくないはずです。

続いて2番目について。今年9月ごろだったと思いますが、トランプ氏は、米国は世界の警察官になることはできない、と発言しています。これは、オバマ大統領の昔言った発言と趣旨は全く違うものであって、オバマ大統領は、力の行使を背景にした世界秩序の構築の修正を意味していたと理解できますが、トランプ氏の場合は、アメリカの財政的負担の問題が先立っていると理解できます。例えば、アメリカが最強の国であるときに世界は最も平和で繁栄するのであって、アメリカはこれからも平和構築と人道支援の役割を果たしていくし、そのためにアメリカは再び強くならなければならない、と発言しています。これは孤立主義とは全く一線を画する考え方です。

つまり財政的にリーズナブルであれば米国の安全保障上の世界でのプレゼンスを維持するという理解ではありますが、一方で、現在の安全保障上の世界秩序を歴史的な経緯も含めて完全に理解し納得しているかは全く持って不明で注目すべきポイントです。

まず身近な日米同盟の軍事的中身については、深い理解があるとは思えません。例えば、アメリカが攻撃されても日本は何もする義務がないのに、日本が攻撃されたらアメリカは全力で助けなければならない片務的条約である、と発言しています。日本が攻撃されていてそれを助けにきたアメリカを日本は守るとした(正確に言えば3要件が満たされたとき)先の平和安全法制の整備に日本がどれほどの努力をしたのかをどの程度理解しているのか気になるところです。駐留米軍経費負担をどの程度日本がしているかの理解についても不明です。

米中関係については、今回この記事を書こうと思った直接の理由に繋がる今日耳にした、一つの中国政策に拘らないとした発言は大変憂慮すべきものです。トランプ氏は徹頭徹尾中国の事をそれこそボロクソに言っていますが、中国にとって一つの中国政策は、歴史的に見て間違いなく譲れない最大最高の核心的一線なはずです。現時点での中国の反応は、この手の話題に対してのものとしては極めて抑制的に見えます。トランプ氏の発言は感情的にはとてもスキッとするとの意見を多く聞きますが、決定的に米中関係を悪化させるはずです。

今まで論理的に矛盾の多い国際政治に関する発言は、今思えばむしろ軽い悪のりの感さえしてきます。例えば国際社会の中では世界秩序に対する挑戦者として日本では考えられないほど反感をもたれるロシアのプーチン大統領を賞賛する発言をしたり、今年に入って2回も核実験を断行した北朝鮮の金正恩に理解を示したり、日本や韓国に核武装を促したと捉えかねない発言をしたりですが、中国に関しては、レベルが違います。これはもしかしたら、大統領になる前に大きく踏み込んでおいて、南シナ海などの案件について中国の譲歩を引き出して、後にアメリカも譲歩したような形で元に戻す、という非常に高度な戦略があるのではないか、などと妄想してしまいますが、注目していかなければなりません。

次に中東への関与です。米国にとっては最大級の重要政策であるはずでし、私自身大きな関心をもっています。今のところ、イスラム過激主義に対する強烈なアレルギーという単純な動機から発しているものと思われます。ISISの台頭は、オバマ大統領の融和的政策によるものだという単純な理解に基づくもので、ISISを徹底的に叩き潰し、イラン核合意を破棄するのだという政策に繋がっています。

アメリカとしては影響力が低下した現在、サウジアラビアやトルコなど影響力のある中東の大国を味方にして進めなければ、平和的解決は望めません。昔のブッシュ政権時代のようなゴリ押し政策では混乱が増すばかりです。プーチン大統領に一定の理解を示したのは、もしかするとこうした中東問題を念頭に置いたものなのかもしれませんが、であれば、トルコやサウジアラビアに対する発言は矛盾していますし、イランの核合意破棄も、もう少し戦略的であるはずです。かといって、オバマ大統領の融和的政策は甚だ弱すぎたのも事実です。

つまり総合すると、よく分からない、という一言に尽きてしまいます。強いアメリカになって頂くのは大歓迎ですが、一体どのように世界秩序に関与すべきかについては、オバマ以上ブッシュ以下の新しい価値軸を作っていくしかありません。

以上いろいろつべこべ申し上げましたが、大きな期待をもって平和と繁栄に関与していかれることを望みたいと思います。

宇宙ビジネスの新潮流

自民党政調に宇宙や海洋の政策立案を行う宇宙海洋開発特別委員会(河村建夫会長)、そしてそのもとに宇宙総合戦略小委員会が設置されていて事務局を預かっています。

その委員会では、これまで数次に亘り政府に対する提言を取り纏め、また必要予算の獲得に向けた運動をしたりして参りました。実は、今年、新しい2本の宇宙関連法制(民間と政府の役割分担を規制法としてまとめたもの)が成立しましたが、これもこの小委員会で議論をしたものです。

本日、改めて宇宙基本計画工程表が改定案が政府から示され、大勢の議員の参加の元、親会である特別委員会で了承されました。

最近の宇宙の動向ですが、特にアメリカと中国で大きな動きがあります。アメリカでは、ビッグデータ社会の到来を先取りする形で新しい民間ベンチャービジネスが立ち上がっていて、過去10年の総額と同じくらいの金額がたった一年で動いています。中国ではお金に物を言わせて急速に政府による宇宙開発が進んでいます。

アメリカの例だけ紹介すれば、電気自動車で有名なテスラモータのイーロン・マスクCEOがSpaceX(ロケット製造・打ち上げ・衛星製造)というベンチャー、Googleの共同創業者兼CEOであるラリー・ペイジがPlanetary Resources(小惑星探査)と、Google Lunar X Prize(月面探査)のベンチャーを創業、マイクロソフトの共同創業者であるポール・アレンもStratolaunch Systems創業やSpace Ship One(宇宙船)への出資、Amazon創業者のジェフ・ベゾスはBlue Origin(宇宙船)というベンチャーを創業、Virgin創業者兼会長であるリチャード・ブランソンもVirgin Galactic(宇宙旅行)のベンチャーを創業。これはあくまで有名な例だけですが、なぜこうしたビッグデータジャイアントがこういう領域に積極投資をしているかというと、決して趣味ではなく、宇宙がビッグデータビジネスに直結しているからに他なりません。

何に使うかというと、衛星から撮像したビッグデータと人口知能を使って、経営判断から統計収集まで、分野は小売り、農業、気象、金融などに活用しようとするもの。

日本の基本的考えは、安全保障・民生利活用・産業科学技術基盤の維持強化という3つの政策の柱を元に、それら3つの相乗効果により宇宙政策を推進していこうというものです。つまり、かなり米国に後れを取っていますが、宇宙ビジネス拡大の潮流を捕まえようというもの。

私が今一番注目しているのは、宇宙空間を利用したビジネスを如何に推進するかです。内閣府を中心に現在「宇宙産業ビジョン」という準戦略文章を策定しようとしていて、来年春には発表することになると思います。

党としてもしっかりと市場拡大を睨んで環境整備を行っていきたいと思います。

以下、幾つかの具体的プロジェクトを紹介したいと思います。

・準天頂衛星。現在のGPSはアメリカの測位衛星を無料で使わせて頂いていますが(皆さんも使っています)、日本独自の高精度測位衛星を整備しようというもの。防災機能強化だけでなく新しいビジネスフロンティアの拡大につながると期待されているものです。

・宇宙輸送システム。つまりロケットと射場です。ロケットは現在H2というタイプですが、各段に安価で信頼性の高いH3というロケットを開発しているのと(H32年初号機予定)、イプシロンという固体燃料ロケット(安保上非常に重要)でH3のサブロケットブースターと共用できるというすぐれものロケット、そして射場は現在打ち上げ能力がいっぱいいっぱいで、多くの衛星を打ち上げようとすると必要になってきます。これは宇宙エコシステムの大幅な予算削減と国際競争力の強化にとって必要なものですが、民間の活力を導入しようと言う動きがあります。

・宇宙状況把握。SSAと呼ばれていますがアメリカと協調してその名の通り宇宙の状況監視を行うシステム構築を行おうとするものです。

・海洋状況把握。MDAと呼ばれていますが、これは宇宙でなく海洋の状況把握。とりあえず海保で地上システムの構築を始めたところです。

・情報収集衛星。昔、北朝鮮の不審船事件を契機に日本独自の監視衛星を上げようということになり、定期的に必要な衛星を打ち上げています。データ中継衛星の打ち上げは喫緊の課題です。

・その他、即応型の小型衛星であるとか、静止気象衛星(H35年までにひまわり後継)、温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)、次期技術試験衛星、Xバンド防衛衛星通信網、X線天文衛星(H32年度)などが現在の計画です。ちなみに宇宙ステーションは2024年まで延長することで国際合意しましたし、それへの新型補給機HTV-Xも詳細設計に入っています。

社会的課題解決を目指す民間団体を支援しよう!

地域地域には、商店街活性化やシャッターを開ける会、子育て支援や介護支援、地域産品活性化や就農支援などなど、ありとあらゆる社会的課題に対して、NPO職員やらボランティアとして、あるいは事業家として、熱意をもって取り組んでいらっしゃる心の清らかな方々がいらっしゃるものです。

そうした活動は社会的意義が高いものが多いのの、なぜ行政でなくて民間がそうしたことに取り組まざるを得ないのかというと、行政では痒いところに手が届かないからであって、直接関与することに馴染まないからです。

一方、そうした活動家は、当然ですがそれだけで食べていくのは困難な場合が殆どで、大抵の場合は地方自治体から補助金を受けているのですが(もちろんそうでない場合もあります)、補助金で成功しているケースはまれで、これまたほとんどの場合がカネの切れ目が縁の切れ目で、補助金ありきの事業になってしまっているケースも多い。

そうした結果、巷でよく聞くのが、うちの市長は理解がない、とか、うちの町長はやる気だけはあってもカネがない、などなど。

そうした活動家に対して、政治として本当に放っておいていいものかというと、そうではないはずで、何かしらの支援の枠組みができないものなのかしらということになる。補助金はありだとしても、事業家が自ら民間資金を呼び込んで、ある程度のガバナンスをもって、熱意と誇りをもって事業として社会的課題を解決できるような団体に育ってくれたらそれ以上のことはありません。

そうした社会的事業・ソーシャルベンチャーの支援制度の制定を目指し、党政務調査会に特命委員会が立ち上がりました。といっても、10月末のことであって、税制やらなにやらで執筆をサボっていたので報告が遅れました。これも事務局を預かることになりました。

タイトルは、社会的事業に関する特命委員会。会長は伊藤達也先生です。実はこうしたソーシャルベンチャー支援の取り組みは政府も全く行ったことが無いかと言えば何回か試みはありましたが、改めて再チャレンジです。対象はNPOに限らず、事業家も含まれます。これまで5回のヒアリングを行いました。第一回目は、古田秘馬さんに党本部にお越しいただき、役員だけで会議の進め方や方向性などの議論を古田さんを交えて行い、顧問役についてもらうことにしました。

これまで、ETICの宮城治男さん(この道の大家)、坂の途中の小野邦彦さん、宮崎県日南市で商店街活性化を成功させつつあるテナントミックスサポートマネージャの木藤亮太さん、また古田さんも関与しているスペインバスク地方ビルバオ市の人材育成や地域活性化の成功事例としてスローフードビスカヤ名誉会長のマリアーノ・ゴメスさん、寄付文化醸成に熱心に取り組んでいらっしゃるドットjpの佐藤大吾さんや、公共施設を利用した民泊を推し進める丹埜倫さんなどからヒアリングを行いましたが、いやはや大したものです皆様。

いつかまた詳細に内容について報告したいと思っていますが、世の中には発想の自由な人がいることを改めて気づかされます。