長年にわたり皇室のあり方が議論されています。背景は皆様ご存じの通り、皇族数が減少し、公務負担が増え、皇室が維持できないレベルに達しつつあるからです。特に5年前の2021年に政府の有識者会議が議論の方向として3案を提示してから、より具体的に国会にて議論が行われています。念のため私はメンバーではありませんが、静かに議論の行方を注視しているものです。
この有識者会議の報告書は、問題意識、皇族数の現状と将来見通し、皇族数確保のための具体的な方策、皇位継承の安定性に関する論点整理、国会への提言、が示されたものですが、注目点である皇位継承を提言しているものではなく、皇族数の確保に焦点が当てられています。そして皇位継承の根本問題は国会で議論すべきとされています。すなわち、皇位継承は最も重要だが、制度維持のためには、まずは皇族数を増やしたら、という内容です。
3案の具体的な内容は、(1)内親王・女王が婚姻後も皇室の身分を保持する、(2)皇族には認められていない養子縁組を可能とし、皇統に属する男系の男子を皇族とする、(3)皇統に属する男系の男子を法律により直接皇族とする、です。すなわち、(1)皇族の範囲を広げる、(2)皇族に戻ってもらう、(3)皇族を新たに設ける、です。そして、報告書では皇族の範囲を広げるのが最も現実的だが、戻ってもらうことや新たに設けることも将来の選択肢として残すべきと提言されています。
(1)は皇族の減少に直接歯止めをかけることが目的で、そもそも皇位継承の安定性には全く寄与しないうえ、配偶者や子供まで皇族にすると皇室のあり方が大きく変わるという課題があり、皇族数と公務負担と制度維持という観点からの緊急避難的な意味合いに私には感じられます。このことは報告書でも指摘されています。配偶者や子供を皇族に迎えないとしても、家族間で立場が異なることには違和感を感じ得ず、皇室の伝統を考えた時に果たしてそうした選択肢でいいのかは慎重に考えるべきなのではないかと感じています。
(2)と(3)はどちらも旧宮家の男系男子に皇族に戻っていただく選択肢で、歴史的に見ても旧宮家は皇族であったので整合性はあると言えます。違いは養子という単独アプローチをとるか包括アプローチをとるかということです。
いずれの選択肢でもあるいは組み合わせでも、対象となる本人の意思という問題もあり、劇的に増えることはないと予想されますが、少なくとも我が国の国柄にも拘わりますので、男系の皇位継承を維持できる方向で結論がでることが重要です。なお、我が国が長い歴史の中で仮に女系の皇位継承を辿ってきたならば、逆の結論になります。すなわち男か女かの問題ではなく、国柄の問題だということは国民の間で最優先として共有されるべきなのだと思います。