防衛装備品提言申し入れ

日本の防衛装備品に課せられていた精神論とも言える厳しい輸出規制について、合理的なものとする内容の提言を、高市総理に申し入れました。そもそも総理のみならず一部の議員を除いて自民党は従来から緩和すべきとの考えでした。提言内容は、具体的にどのような管理方法をとるべきかです。

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インテリジェンスの必要性

(インテリジェンス機能の必要性)

トランプ政権がイスラエルと共にイランを攻撃しました。現行の国家安保戦略は、その冒頭で、国際ルールを無視して経済の武器化で勢力伸長を図る権威主義国家を念頭に、相互依存のみによってでえは秩序形成が図れないことが明らかになった、と宣言し、外交力をはじめとしたDIMET全領域の能力強化を謳っていますが、今回のこの攻撃は、そうしたルールを守らない国に対抗するためにルールを守っていたのでは平和が保てない時代になったのか、とも評せる衝撃的な攻撃でした。

この攻撃について、日本政府に国際法的解釈を求める方々がいます。重要な視点ではありますが、まるで荒波に放り投げられたときに海洋条約を説法されているような気がします。そうした方向よりも、新たな秩序のプラットフォームを模索すること、そして既存の状況で如何に生き延びれるかを考えること、の方が遥かに建設的に見えます。そして、法解釈をするにしても、新秩序を形成するにしても、対処するにしても、明らかなことは、日本に情報力が決定的に足りていないことです。

インテリジェンスに関する過去数十年の政治的動きについては、最後に触れたいと思いますが、日本もインテリジェンスについて全く無頓着であったわけではありません。それは、何を意思決定するにしても、見えていないものを合理的に判断することはできないからです。

少なくとも直近では、私が本部長を務めている経済安全保障本部で、事務局長を務めていた時代から、経済インテリジェンスの強化のための提言を纏めるなど、政府の具体的な取り組みを引き出してきましたし、更には水面下で国家安保戦略に従ってインテリジェンス機能自体の強化も検討していました。

インテリジェンス能力の抜本強化を図る強い意志を持った高市政権及び自民維新連立政権の誕生の時期が、まさに変化を求められる今の国際政治状況の時代であることは、意味深いと感じます。

(まずは推進体制の整備)

国家インテリジェンス体制の整備には少なくとも3段階のステップが必要であるとの認識を党内には示しています。第一段階では司令塔機能、第二段階では対外情報収集機能とカウンターインテリジェンス機能、第三段階ではその他の機能整備です。

目的は、国家の重大な国政に係る情報の収集及び分析、並びにカウンターインテリジェンスと認識しています。前者の主たる手段は、関係省庁及び新設の対外情報収集ですが、既存のサイバーオペレーションも加わります。またカウンターインテリジェンスは、既存の機能に加えて新設の外国干渉防止です。これら以外のものも含めて、段階的に整備したいと考えています。

今回の提言は、第一段階の整備を目的としたもので、既に内容は報道されていますが、国家安保会議と並びの国家情報会議の設置およびその事務局である国家情報局を設置することを求めています。また企画立案及び総合調整の機能を持たせることで権限の強化を求めています。

司令塔の当初の運用目的も示しています。国家情報会議には、政治サイドの意識醸成、国家情報戦略の策定、防諜プロトコルの見直し、国家情報局には、幹部人事の在り方、インテルサイクルのプロトコル確立、機微情報システム確立、分析能力の強化、組織的人材育成です。

この中でキーメッセージとなるのは分析能力の強化です。今回の司令塔は、主に推進体制の整備に力点がありますが、将来的に情報収集機能が実効的に稼働した段階では、司令塔の機能は分析機能に力点を置くことになります。その際はガバナンスの在り方が本質的な課題になると認識しています。

加えて2段階目の大まかな方向感を示しています。1つは対外情報収集能力についてで、シギント・ヒューミント・オシント・民主的監視について触れています。もう1つはカウンターインテリジェンスについてで、外国干渉防止の法的措置や更なる措置についてです。

いずれにせよ、夏を目処に政府には有識者会議を設置することを求めており、そのスタート時点で党としても、少し詳細な概略方針を示す提言を再度提出することとしております。

国民の皆様には、ぜひ、国家インテリジェンス機能の必要性を共有頂ければと切に願っています。

(インテリジェンスに関する過去の政治的動き)

情報軽視は日本のお家芸、と言われることが多いのですが、実は戦前戦中の日本は今よりはるかに情報収集分析に重きを置いていました。当時の問題はむしろ、形勢が劣勢になってから、指導者層にとって極めて不都合な情報ばかりになり、それを指導者層が直視せずに精神論で埋めていったことです。

戦後の日本は、戦前のくびきから逃れられず、国家による情報収集と軍国主義がセットで語られることが多いまま、情報収集が否定的に捉えられる傾向が強かったのだと思います。それこそ、細々と粛々と実施していたのが戦後から平成までのインテリジェンスでした。このことは、情報力がそれほど必要ではなかった時代背景とも密接に関係しています。

大きなターニングポイントは4つ。最初のものは2006年の自民党のいわゆる町村提言です。冷戦終結とともに国際秩序が新たな時代に入り、湾岸戦争後の2001年には米国同時多発テロ、そしてそれに端を発したイラク戦争など、テロの国際化の時代になると、情報ニーズが劇的に高まりました。イラクでの邦人人質事件や上海領事館員事件などがセンセーショナルに報じられ、国民の情報に対する意識も高まっていました。そうした背景で、町村信孝代議士を先頭に情報機能の抜本強化に関する提言が取りまとめられれ、その翌年から情報機能が改善していきました。

2つ目は第二次安倍政権です。国家が保有する機密情報の保全制度が導入され(特定秘密保護法)、国家安全保障政策の司令塔である国家安全保障会議が設置され、内閣情報調査室にはカウンターインテリジェンス機能が、また外務省には対外情報収集機能が新設されるなど、情報力に再度スポットがあたります。しかしながら、十分な機能強化とはならないまま、静かに段階的に少しづつ強化されてきました。

3つ目は2022年に改定された国家安保戦略です。先端技術が安保上極めて重要になると同時に、経済を武器化する勢力が勃興し、相互依存が必ずしも国際秩序の安定化に繋がらないことが明らかになった時代です。経済安全保障の概念が戦略論として初めて登場し、技術や経済を含むインテリジェンス能力向上の必要性が謳われ、セキュリティークリアランスやサイバーセキュリティーなどに加えて、人的情報収集能力も謳われました。

そして最後の4つめが、今回の動きであり、発端は2025年の高市政権及び自民維新連立政権の誕生です。自民党内では、国家安保戦略に従って既にインテリジェンス能力向上に向けた動きがありましたが、政権運営に不遇が続き、政策が前に進まなかった時代を乗り越え、ようやく辿り着いた端緒です。

そして時代はまさに相互依存の終焉どころではなく、戦後の国際秩序が危機に瀕する時代となりました。国際法が徐々に機能しなくなりつつある現在、まさに日本として生き延びていくための新たな戦略が求められており、そのためにもインテリジェンス能力の抜本強化が不可欠となっています。

防衛装備品移転の必要性

防衛装備品の海外移転促進について、中身の議論をリードしてきた者の一人として、改めてなぜ今必要なのか、触れておきたいと思います。殺傷兵器の海外移転は「死の商人」への道だ、と一部の方々が賑やかですが、そうした向きはほとんどは、現状の国際認識が少し薄いように思います。

(過去の議論)

海外移転には、そもそも国際ルールがあります。武器が懸念国に流出し国際社会の平和を脅かすことが無いよう、ワッセナーアレンジメントという安全保障貿易の国際管理レジームで規定されています。日本はそれを受けて外為法で規律しており、特に防衛装備品については上乗せ規制として、防衛装備品移転三原則というルールで規定されています。そしてそのルールには更に運用指針という下位のルールが定められていて、実は焦点はこの運用指針にあります。

直近2年前にも改定されたその運用指針。その当時も私は協議会のメンバーとして積極的に議論に参加しましたが、その時は自民公明の連立でした。決定的に対立したのが5類型と呼ばれる目的制約を撤廃するか否かでした。自民党はその当時から撤廃を主張していましたが、公明党は反対で折り合いがついておりませんでした。

先般、連立政権の構成が変わり、新たに維新が連立に加わったことから、改めて5類型の在り方を含めて、防衛装備品の海外移転ルールの議論が始まり、今般結論を得たものです。

(移転の意義)

イラン事案を敢えて引き合いに出すまでもなく、国際秩序の劣化は甚だしく、戦後最も厳しく複雑な安保環境に直面しているなかで、日本にとって望ましい安全保障環境を創出するため、防衛装備品の海外移転の役割は極めて大きいものがあります。

まず装備品の海外移転は対象国との関係を強化する作用が働きます。ニーズのある国があったとして、日本が移転しなければ、他国が移転します。その場合、日本が移転する方がいいのか、自分に有利な状況を作ろうとする他国が移転するのがいいのか、明らかではないでしょうか。

また、管理が厳格で技術力の高い日本が国際社会に貢献した方が、適当なものを適当に売るまくる国が世界で幅を利かせるより遥かに国際秩序は安定するはずです。

加えて装備品の海外移転によって、国内防衛産業の生産基盤や技術基盤が強化されます。これは防衛装備の海外依存を低下させるとともに、持続可能性を高めることに繋がります。

(具体的な中身)

今回、自民・維新が共同提出した具体的な提言内容は、完成品や部品、技術や役務を含むすべての防衛装備品の移転を、適切な管理体制を構築する代わりに原則可能にするものです。いわゆる5類型撤廃です。

基本的には「武器」「非武器」に分類した上で、その分類に応じた移転要領を設定するものです。(日英伊共同開発次期戦闘機の際に設定した既存の厳格管理枠組みは存置します。)

非武器については移転先の制約を設けず、また武器については、国際約束の締結国に限定し、また「武力紛争の一環として厳に戦闘が行われていると判断される国」への移転は特段の事情がある場合を除いて原則不可としました。

移転管理については、日本の防衛力整備への影響や、自衛隊の運用に与える影響のほか必要な項目を拡充するほか、過去に移転実績のない武器や、政治的視点から必要な場合には、国家安全保障会議で審議することとし、また、与党への事前調整を求めています。

加えて国会や国民への説明を十分に行うことを求めています。

最後に最も重要なことですが、移転の実績を確実に積み上げる必要があります。ルールを変えただけでは安全保障環境が良くなることはありません。政府主導で産業界との連携を図り、戦略的かつ効果的に移転を推進する必要があります。これについては、今後の戦略三文章の改定の議論で検討することとしています。

第51回衆議院議員総選挙とサナエノミクス

香川3区にて皆様から何とかご信任を賜りました。党支部の皆様、後援会の皆様、また平素よりご支援賜っております企業団体の皆様、同世代グループの皆様、設営の皆様、遊説の皆様には、ご支援ご協力を賜りましたこと、改めて心から厚く御礼申し上げます。寒い中、お忙しい中、我が事のように懸命に戦って頂きました皆様のお姿は脳裏に焼き付いています。感謝という二文字では言い表せません。本当にありがとうございました。また不徳の致すところ、ご信任を頂けなかった皆様が大勢いらっしゃることも併せて真摯に向き合って参りたいと思います。加えて選挙期間中ご迷惑をお掛けした皆様には深謝申し上げます。

就職してから長年思い続けていること。それはこの国はまだまだ捨てたものではない。まだ成長余力があるということです。議席を頂いてから、地元の各所で賜る様々なお困りごとや社会課題の解決に努力して参りましたし、今後もこの活動は私の原動力ですから、最優先として続けて参りたいと思います。一方でこの間、日本全体の経済戦略は、アベノミクス、新しい資本主義、そして現在のサナエノミクスに繋がりましたが、極めて重要なターニングポイントであると認識しています。

この国に潜在する力を解き放つ前提が、人と資本にあると5年ほど訴え続け、自らも政策として注力して参りました。モノとサービスの分野で富が国外に流出し続け、資本は海外に移動し続けていれば、当然ながら投資可能な大手企業のみが潤い、格差が拡大し固定化し、この国で働く7割を雇う関連中小産業は育ちません。また社会保障負担で働く意欲を削がれたまま方向転換しなければ、労働力を外国人に頼らざるを得なくなり、外国人政策を訴えたところで根本課題は解決されないままとなります。

この国は、根本原因の課題解決が政治化せずに推進力を得られないまま、政治化された表面的課題がメディアを通じて世論を形成し、その解決を追い求めざるを得なかった結果、国内に歪を生み、高コストの政策が力強く実行されてきたように思います。アベノミクスはその点、誠に正しかった。雇用を生み、賃上げ環境を作り、その総体であるGDPを成長軌道に乗せました。新しい資本主義は、社会課題解決への官民投資を生み出すとともにNISA拡充で民間投資拡大の土壌を作りました。まさに今こそ、国が1歩でも2歩でも前に出て、国際的視座から必要かつ重要な領域に大胆に投資すべきタイミングです。前回の選挙のお訴えでもありました。もう、風呂の湯が減っているからと言って、湯を継ぎ足すばかりではなく、根本原因の解決も世論の賛同を得ながら力強く推進すべき時です。

これまで私は、半導体、量子、フュージョン、AI、創薬、造船といった領域に注力して参りました。これらの具体的な投資先は地方です。半導体は熊本・北海道・三重・宮城・広島など。航空宇宙であれば愛知・和歌山・北海道・大分など、造船であれば瀬戸内地方など、創薬であれば富山・福岡など、量子は茨木などです。そしてサナエノミクスの危機管理投資・成長投資で、戦略投資が「戦略的に」実施される方針となりました。関連中小企業にも裨益するよう価格転嫁のための法改正も自民党は行いました。

資本だけではありません。人についても、働く意欲を引き出すために、給付付き税額控除の導入が高らかに宣言されています。その時には抜本的な税社会保障改革となるよう働きかけていきたいと思っています。

いずれにせよ、日本が再び重い腰を上げ、正常な軌道に乗って成長を謳歌できるよう、粉骨砕身努力して参ります。そのために最も重要なことは、権力に対する謙虚さを自民党が忘れないことです。そのためにも全力を尽くします。

お知らせ(WEB障害)

WEBお問合せフォームが機能していないとのご指摘を受け確認いたしましたところ、本年1月よりスパム対策サービスのAPI接続に失敗しており、投稿できない状況でした。本日、サービスを変更し復旧いたしました。該当する機能は、メールでのお問い合わせ、資料請求等、メール配信開始及び停止です。この間、アクセス頂きました方には大変ご迷惑をお掛けしました。

令和8年2月2日
大野敬太郎オフィシャルサイト担当 

衆議院解散

通常国会初日の本日、本会議で衆議院解散が宣告されました。いよいよ総選挙となります。我々衆議院議員は常在戦場。全力で戦い抜きたいと思います。

第一に、高市総理ご自身も解散の理由を述べられたように、国民の過半数の信任を得ていない自民党の自民党員と所属議員だけで選出された総理ですから、可能な限り早く選挙によって国民の審判を頂いた方が正統性は確保できます。

第二に、国政上の重要課題への対応です。財政運営は、危機管理投資と成長投資で強い経済を実現し、加えて中低所得者の負担も減らすことから、極めて困難な財政運営を行うことになります。外交安保は国家安保戦略を変更せざるを得ないくらいの重大な局面に差し掛かっています。決断し前に進めるスピード感のある政治にしたい。そのためには国民の信任が無ければ果たせません。

謹賀新年

丙午(ひのえうま)の新しい年を迎えました。謹んで新年のお慶びを申し上げます。皆様方には日頃から一方ならぬご厚情を賜っておりますことに、心から厚く御礼申し上げます。

干支の中でも丙午ほど聞き慣れた干支はないように思います。言うまでもなく、丙午は燃え盛る太陽や夏の盛りを表し、強い輝きやダイナミックさ、あるいは陽気さや派手さを象徴しているのですが、これが為に昔の日本には、丙午に生まれた女性は気性が激しく夫の命を縮める、という謎の迷信が伝わっていました。

事実、広く知られているように、前回丙午の1966年の出生数を見ると、既に人類が月に行こうとしている時代であったにも拘わらず、25%もの有意な減少が見られます。因みに、私の実姉も丙午ですが、性格は全く逆の控えめで大人しく落ち着いた人間で、丙午が故に非難されたり苦に感じたことはなく、夫もピンピンしています。我が両親が、こうした謎の迷信にビクともせずに、姉をこの世に送り出したことを、私は心の中で密かに誇らしく思っています。

あくまで想像ですが、この年に出生数が少なかったのは、迷信を本気で信じた人が多かったと言うよりも、むしろ、このような迷信があるのに敢えてそれに抗うこと、に対する周囲の暗黙の非難を避けようとしたのではないか、という子を思う親心、と考えた方が合理的に感じます。

世界に共通する沈没船ジョークというのがあります。沈没しかかっている船で、船長が乗客を海に飛び込ませなければならないときに、船長が言うべき言葉に国民性が現れる、と言うものです。完全なステレオタイプで、現代的には触れることも憚られますが、敢えて申し上げれば、例えばアメリカ人には「飛び込めばヒーローになれるぞ」、ドイツ人には「飛び込むのがルールだ」、イギリス人には「紳士は飛び込むものだ」、なのですが、日本人にはご想像の通り、「皆さん飛び込んでますよ」なのです。

日本は同調圧力が高い国民性だと、海外からも言われています。個人よりも集団の調和や秩序を重んじる日本独自の価値観や文化的背景が影響していると解説されることが多く、これは時代が下っても大して変わらないように思います。問題は、技術の進歩です。丙午迷信が拡散された江戸時代では、歌舞伎や浄瑠璃がメディアの役割を担っていたそうですが、現代におけるSNSは、拡散の規模とスピードが圧倒的に高く、影響力は計り知れません。

今、世界中でSNSが問題となっています。閉鎖的なコミュニティーで流布される、主要メディアに掲載されない情報を、自分達だけ知っている「本当の情報」と固く信じ、意見や思想が増幅する「エコーチェンバー現象」や、個人個人の趣味・嗜好に合わせた情報が優先的に表示されるために意見や思考がいつの間にか偏る「フィルターバブル現象」、加えて情報提供が質より注目度で収益化されるため、事実とはかけ離れた目立つことに特化した情報ばかりが巷に溢れる「アテンションエコノミー」などです。

中には、それらしい情報を自動的に無尽蔵に拡散できる「AIボット」と呼ばれるプログラムがあります。ソースコードや実装方法は誰でも簡単に調べることができるため、比較的簡単に作ることができます。事業者が広告や宣伝であることを隠してマーケティングすることを「ステルスマーケティング(ステマ)」と呼びますが、これは既に法的に規制対象となっています。しかし、外国勢力による悪意の影響工作や選挙公報としては、現時点で何ら規制されておらず、民主主義の根幹までもが揺らいでおり、国際政治上の武器にさえなりつつあります。

こうした時代に政治家として強く感じることは、分厚い中間層の復活です。情報過多な時代、信頼すべき拠り所が揺らいでいるなかで、国民が出所真偽不明な情報に右往左往せずに自らを拠り所とできる環境、すなわち経済的豊かさを感じられる環境を構築することが何よりも重要だと確信しています。そして政治は税と言われるように、税制はその中核的役割を果たします。しっかりと担っていきたいと思います。

最後になりましたが、今年一年、皆様にとりまして素晴らしい一年となりますよう、ご隆盛とご活躍そしてご健康を、心から念じてご挨拶と致します。

米政権の誤報対処

アメリカは今、政治的分断に喘いでいます。SNSを始めとしたメディアによる過激な主張や論稿が原因ではないかとの指摘もされていますが、一方で、政権側は、自らの正当性を主張するため、誤報若しくは偏向と判断した報道があれば、政権自らホームページに公表し、報道官が反論しています。

ホワイトハウスのメディアオフェンダー
ホワイトハウスのメディアオフェンダー

メディアの違反者(Media Offenders)というタイトルのページで、主張、問題点、事実、引用とともに、政権側の視点で誤報や偏向を指摘するという構造になっています。例えば一例としてワシントンポストを挙げると、カリブ海での麻薬テロ撲滅作戦について匿名情報源を基に国防長官が「皆殺しにしろ」と命じたと報道したことに対して、「根拠のない嘘」と断じたり、移民政策に関する記事で左派団体の弁護士を中立的専門家と紹介したことに対して、「政治的偏向を持つ人物であることを隠した」と断じたりなどです。

ワシントンポストの例
ワシントンポストの例

この政権姿勢の是非を論じることは避けますが、日本の議会に籍を置いていると、特に自分が主導している政策であればなおさら、明らかに間違った記事や誘導的な記事を見かけることがあります。大多数が良く取材された良い記事なので、そういうのが紛れ込むのは残念でなりません。おそらく真面目に取材をしてはいるとは思いますが、中心的な人物に取材せずに、誰かの適当な認識に基づく適当なコメントを引用して、それらしい記事を書くという流れなのだと思います。コメントした側も記事になるという認識もないはずですし、意図的なものではないはずなので、それほど反応することは殆どありません。

ましてや政権が積極的に否定をすることは殆どなく、あったとしても消極的に公の場所で真偽を問われた場合の否定です。ただ、明らかに間違った記事を放置すると、認めたということにもなりかねず、積極的に否定したくなるものですが、かといって、いちいち個別の記事に反応できないのも事実ですし、一般論として政権自らが積極的に反応すると、政治的に政権と同じ立場にある国民の皆様からは歓迎され、違う立場にある国民の皆様からはプロパガンダだと批判される傾向にあり、分断を深めてしまう可能性もあります。

もちろん外国主体のためのプロパガンダ対処は別次元なのだと思います。規制することはできませんが、透明化はすべきだと思いますし、積極的に反論もありえるのではないかと思います。戦略コミュニケーションはまさにそうした取り組みなのだと理解しています。(なおSNSについては、最近ではプラットフォーマー自ら、運営主体の政治的バイアスの可能性を表示する取り組みが行われています。)

アメリカには政治的バイアスを評価する民間団体があります。左右それぞれのメディア記事を並列で提示することで、バイアスの評価とともに、異なる政治的視点を可視化して対話を促し、民主主義を強化することが目的の団体のようです。運営は、取締役は左右様々な政治的立場をバランスさせた構成で、寄附やクラファンによって運営されているとのこと。ファクトチェックや教育機関向けのメディアリテラシー教材も提供しています。

https://allsides.com

完全な中立派不可能だが透明性と多様性でバイアスを管理することが目的だとするこうした団体が日本にも増えていけばと願っています。本来この手の課題は政治が直接介入すべきではないはずなので。

インテリジェンス能力

何事も、決断には情報が必要です。決断しないという決断も同じです。そして国際秩序の劣化がこれほどまでに甚だしく、もはや国際秩序をシステムだけで維持強化できる時代ではなく、現実問題として各国の指導者の意思決定が極めて重要になっています。従って、我が国が独自に情報を収集し分析できる環境を整備しておくことは、これまでと全く異なるレベルで劇的に重要になっています。

もちろん、本来はシステムで安定化すべきは論を俟ちません。戦後直後、先人の努力によって国連を始め、NATO、IMF、世界銀行、GATT(WTO)などが設立されましたが、今はまさに再びこうした大きな枠組みを再構築すべき時代なのだと理解しています。そしてその努力は、日本こそが世界の先頭に立って行っていくべきです。しかし、そうだとしても、情報力を抜本的に高めなければ、おおよそ不可能なはずです。

2020年、自民党の経済安全保障推進本部(当時は新国際秩序創造戦略本部)では、国際経済秩序の劣化に対応するため、いわゆる経済安全保障の推進のために必要な、具体的な政策措置を公表しました。小林鷹之事務局長(当時)執筆のものですが、経済インテリジェンス強化の必要性が初めて謳われた公式文章です。爾来、2023年には、経済インテリジェンス能力強化に向けた具体的な取り組み方針を示し、2024年、そして2025年も進捗に応じて推進して参りました。

2020年提言
2020年提言
2023年提言
2023年提言
2024年提言
2024年提言
2025年提言
2025年提言
2025年提言2
2025年提言2

2023年提言は、「経済インテリジェンス」と謳ってはいますが、当然ながら伝統的領域も含めた国家インテリジェンス体制全体の強化を提言したもので、政府より適宜、進捗の報告を受けてきましたが、2026年には体制整備への着手を予定していたところ、丁度、奇しくも高市政権発足に伴って連立枠組みの変更があり、新たに迎え入れた維新との合意文章では、まさに国家インテリジェンス能力の向上が謳われ、極めて高い政治ムーブメントが生まれました。

第一に、司令塔機能の強化です。インテリジェンス強化は2023年提言でも触れましたが、組織を作ったから強化されるものではなく、情報の適切な要求や評価がなければ良質の情報が集約されるわけではありません。収集する側にとってみれば、使ってくれなければ遣り甲斐が生まれないのは当然で、政府全体でこうしたサイクルを生み出す文化を醸成しなければなりません。加えて種々の情報を集約して分析する機能や新領域情報対応のための情報基盤も強化する必要があります。そのために必要最低限必要なのが強力な司令塔です。

第二に、対外情報収集です。現行の国家安保戦略でも人的情報収集能力の強化が謳われていますが、これも単に組織を作って人を当てがっても強化されるわけではありません。人的活動を適切に実施するために必要な機能とともに、十分な政治によるガバナンスが求められます。

第三に、外国干渉防止です。外国主体のための影響工作を防止するために必要最低限の機能は、透明化です。外国主体のための活動を見える化するため、諸外国と同様の登録制度を設けることは既に共有されていますが、対象をどうするのかなど、論点は多岐にわたります。

重要なポイントは、政治によるガバナンスとインテリジェンス能力を同時に確保することです。論点は多岐にわたりますが、来年が極めて重要な時期となります。党本部に設置した国家インテリジェンス戦略本部の本部長代理兼幹事長として、職責を全うして参ります。

(写真出典:NHK)