【善然庵閑話】最愛の大地

国際政治の狭間のなかで、女優のアンジェリーナ・ジョリーが国連の臨時大使をつとめるなど、幅広く活躍をされています。私は映画好きに属する人種で、今は残念ながらほとんど見れませんが、これまで彼女が出演する作品には数えきれないほど接してきました。先日、彼女の初監督作品「最愛の大地」のトレーラと本編の一部を見る機会がありました。

この映画は、ボスニア・ヘルツェゴビナの紛争を描いた作品ですが、彼女の最大の訴えは、民族対立による内紛などで一般人に甚大な被害が発生した際の国際社会の介入の在り方、そして紛争下の性暴力根絶を、視聴者が深く考えるきっかけになれば、というものでした。

結論から書けば、この2つのテーマは非常に重要な問題で、日本人一人ひとりが深く考えなければならないものです。前者は、集団安全保障の在り方、後者は昨年国連で採択された紛争下の性暴力根絶行動宣言に直結する話です。

第一の集団安全保障の問題は、目下話題になっている集団的自衛権の限定行使解禁というレベルの議論ではなく、世界でどのような肌感覚で紛争が起きているのか、ということを理解しなければならないという問題です。例えばこのボスニア・ヘルツェゴビナの紛争はジェノサイドが発生した。結局NATOが介入して停戦合意に至りましたが、介入までに長い時間を要している。その間に甚大なる被害が発生したというのが彼女の訴え。私自身も随分昔から考え続けている問題です。そして私はこのことについては、国益とは何かという議論から始めなければならないと考えています。

第二の紛争下の性暴力根絶の話は、私自身、今年に入って躊躇した経験を持っています。今から数か月前に、是非当該問題について意見交換したいとのお申し出が英国大使館からあり、参加したときのものでした。もちろん根絶すべきだと思ってきましたが、実務となると、どこか日本には直接関係ない話だと無意識に思っていたんだなと改めて認識しました。

世界にはまだまだあり得ないほどの悲惨な現実が存在している。イラクもしかり。そしてアフリカもしかりです。日本ができることはなにか、日本がすべきことは何か、そしてすべきでないことは何か、一人一人が考えるべき問題です。

広島69回目の原爆忌

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69回目となる広島原爆忌が厳粛に執り行われるにあたり、今回は中川俊直代議士のお取り計らいで広島の現地で参加をさせていただきました。娘の13回目の誕生日でもありますが、第一子をこの日に授かった意味を改めて噛みしめながら、改めて、平和と核兵器廃絶をお誓い申し上げる次第です。

理論的にも感情的にも思想的にも私は日本が核武装などということをすべきではないと思いますし、議論でさえもすべきではないと思っています。核兵器は駄目よと北朝鮮に向かって力説しているアメリカの横に立ち、口にするのも憚れるような凄惨な体験をもとに絶対に嫌だと語る原爆被害者や関係者の前に立って、核武装なんぞ、どこにそんな必要性があるのか私にはまったく理解できません。

今年の原爆忌は、1971年以来43年ぶりの雨となりました。もしこの雨が、あの黒い雨であったら、現代に生きる我々は何を感じたのでしょうか。現場で起こったことは時が経つとなかなか机の上だけで感じとることはできません。69年前と今を繋ぐこの雨に、深い意味を感じたのは私だけかもしれません。世界のどこであろうと、こうしたことが起きないように努力すべきなのです。

そしてその69年前や43年前では到底考えることさえ難しかったであろう米国大使の参列ですが、前大使のルース氏から引き継ぎ、ケネディ大使も初参列いただきました。そのケネディ大使の2列前に私は席を頂きましたが、私に注がれているはずもない大使の視線を背中で感じながら、遺族の皆様が目の前で献花されて通り過ぎたときに、大変複雑な思いとともに、苦難を乗り越えて我々は前に進まなければならないのだということを、改めて感じた一日となりました。

選挙区割りと人口減少

1票の格差をどのように考えるべきなのでしょうか。私は最終的には国民投票で判断すべきだと考えます。司法が格差を違憲だとし立法機関の在り方を正すのは正しい。そして立法機関がその是正を議論することはそれ以上に正しい。

しかし、人口減少という構造的問題を抱える日本にあって、人口流入が著しい都会の議員を増やして、人口流出が著しい地方のことを考える議員の数を減らすことになる区割り変更は、それを国民が望むのであれば別ですが、正しい結論だとは思いません。決して地方出身議員の保身の話ではありませんし、議員定数自体を見直せという議論は当然としてもここの文脈とは異なる問題です。

地方の声が届きにくい議会になれば、東京への人口移動は益々加速します。増田寛也先生は、人口減少の対応として、大きく2つのことを言っていますが、1つは少子化対策、そしてもう1つは東京への人口流入の阻止です。これをやらないと、人口は100年で3000万人になります。今の1/4です。

つまり、私が申し上げたいのは、区割り変更して人口動態が劣化して、人口が維持できない国家となった場合、いったい誰が責任をとるのだろうか、ということなのです。それは司法でもないし、マスコミでもない。基本的には立法機関が責任を負うべき話なのです。そして、極論すれば、司法は人口が減っても一人一人の一票の価値を大事にすべし、と結論付けている。その結論は極めて重いものだけれども、国家の在り方が正しいのかとは別の次元だと考えられます。

人口減少がこれほど騒がれた現時点で、果たして司法は全く同じ判断を下すのか、見てみたいものですが(裁判官だって人間ですから)、いずれにせよ、立法府は将来の結果にも責任を負うので、1票の価値か、国家の存続か、に結論を出さなければならない。しかし困難なのは、このことが、司法に従うか反目するか、に直結していることです。通常の政策は、立法機関が決断を下して選挙で責任をとるわけですが、この問題は、国家の存続に傾き過ぎると、司法の判断を立法機関が否定することにもなりかねない。

であれば、こうした問題は、国民が自ら責任をもって判断するしかない問題だと思うのです。

従って、立法機関は、司法の判断に従って、専門家や有識者の意見を聞きながら区割り変更案を国民に提示し、それが是か非かを国民投票にかける、が正しい結論になるのではないかと思うのです。

先日、伊吹文明議長が専門家・有識者で構成される諮問機関の選挙制度調査会の委員を発表しました。区割り案が出てきて議会で議論されたときには、是非このことを主張してみたいと思っています。

皆様はどう思われますか。

ちなみに、本来、一票の格差是正に時間を頂けるのであれば、極論すればですが、区割りで格差を是正するのではなくて、人口移動で格差を是正するという方法で解決したいですよね。と言ってもすぐには困難ですが・・・。本当に日本という国家の在り方を考えなければならないと思っています。

人口減少問題について

先日、同趣旨の記事をアップしましたが、昨日、人口減少・地域創生に関する議員連盟が設立される予定で、その準備のため、改めて増田寛也元総務大臣よりヒアリングをさせていただきました。そのご指摘や議員同士の議論を踏まえて、簡単なメモを作成しておきたいと思います。今後、定期的にこの問題について触れていきたいと思っています。

■現状認識
 ・人口は確実に減少。西高東低の傾向があり東北地域は危機的状況。
 ・2040年に出産適齢女性人口が半減する市区町村は896/1799(48%)に上る。
 ・896市区町村の大半が人口5万人未満の市区町村である。
 ・全1万人未満の523市区町村の29.1%、全5万人未満の316市区町村の17.6%が半減地区に該当する。
 ・結婚世帯の出生児数(夫婦の完結出生時数)は2に近い。
 ・未婚率が1980年代以降急上昇
  →男性20代後半は50%→70%
  →女性20代後半は25%→60%
  →男性30代前半は20%→50%
  →女性30代前半は10%→35%
 ・TFR回復欧州国(Fr,Sw)は家族関係支出GDP比は3%以上(日本は1%程度)
 ・東京は、2040年には生産年齢人口は6割に低下。
 ・東京の待機要介護老人は4万3千人(舛添知事)

■解決の基本方針は 
 ・20~39歳の女性に着目すべき。
 ・東京への人口移動に歯止めをかけるべき。

■具体的対応その1:出生率
 ・希望出生率の実現を基本目標にすべき。2025年に1.8を目指すべきであり十分可能。
  →{(既婚者割合×夫婦予定子供数}+(未婚者割合×未婚者結婚希望割合×未婚女性理想子供数))×離別等効果={0.34×2.07}+(0.66*0.89*2.12)}x0.938=1.8
  →現在40%である20代後半結婚割合を60%にすれば1.8は可能。
  →現在 8%である20代前半結婚割合を25%にすれば2.1も可能。
  →晩婚化に歯止めをかけることが大切。
    =35~39歳の第一子出生が35%、40歳以上は40%。
    =30歳後半以降の初産では2人目は困難。
    =早期結婚のインセンティブ政策を実施すべき
    =住宅支援(結婚した人・新婚世帯)が必要。
  →若者の雇用収入安定と子育て支援拡充。男性の育児参画と長時間労働の是正。
  →高齢者世代から次世代への支援のシフト。
  →初等教育での結婚出産の意識醸成

■具体的対応その2:人口移動対策
 ・地域資源を生かした産業創出。故郷で暮らせる国家構造。
 ・東京になくてもよい機関の地方分散
   →政府機関の地方分散が必要
   →若年層定住の拠点としての大学の地方分散と拡充が必要
 ・法人税改革の一環で、地方移転企業の税制優遇の創設が必要

■政府発表の1億人維持政策の中身
 ・2025年にTFR1.8、2035年に2.1を実現すれば可能。
 ・2090年に1億人弱で安定期。高齢化率も27%程度に抑制可能。
 ・とにかく2025年に1.8を目指すことが大切。

■政府の少子化対策
 ・子育て支援や働き方改革→結婚・妊娠・出産支援への転換
 ・地域少子化対策強化交付金30億円(10/10補助):地域ごとに実情違う。
 ・次世代育成支援対策推進法
  →国がガイドライン策定=地方自治体+事業主がガイドライン策定
 ・育児休業給付を50%から80%程度に引き上げ。
 ・幼児教育無償化(低所得世帯の保護者負担軽減)=保育所と同様に生活保護世帯を無償化
 ・多子世帯の保護者負担軽減の拡充=保育所と同様に、第二子半額+所得制限撤廃、第三子も所得制限撤廃。
 ・待機児童解消加速化(2年で20万人、5年で40万人分の受け皿確保、2017年までに待機児童解消)

臨時給付金のご案内(再掲)

既にご案内しておりますが、消費税増税に伴う負担緩和策の一環として種々の制度が導入されています。ここでは3つの臨時給付金のご案内を再度申し上げます。

・住民税が課税されていない方(臨時福祉給付金)
・児童手当を受けている子育て世代の方(子育て世帯臨時特例給付金)

には、1万円の給付金が支給されます。前者の方のうち、年金を受給されている方には、5千円上乗せして、1万5千円が支給されます。市町村の窓口で申請いただければ受給できます。

・住宅を取得した方(すまい給付金)

には、収入(現在は概ね510万円以下が対象)に応じて最大30万円の現金支給があります。詳細は、下記のWEBをご参照ください。

http://sumai-kyufu.jp/

中小企業支援のポータルサイト&ものづくり交付金第二次公募

○ポータルサイト:ミラサポ
 
うれしいことに中小企業庁が、中小企業支援施策のポータルサイトを設置しています。結構評判のいいツールです。是非皆様お使い頂ければと思います。
 
http://www.mirasapo.jp
 
さて、中小企業調査会でも何度か指摘した課題ですが、支援施策が、国と県と市と町でばらばらに情報管理されていました。つまり、中小企業側からしてみれば、欲しい支援策を探そうと思えば、3つの行政単位の事務局に問い合わせなければならない。ん〜実にお役所目線だよね、ということで、行政単位にまたがった横断的施策検索システムが必要だという、あたりまえなことが、今般、実現されました。施策検索システム「施策マップ」。ミラサポのトップページから入れます。
 
たとえば、このミラサポで、三豊市、と検索すると、三豊市の支援施策が表示されるはずです。逆にいえば、目的別で検索したら、三豊市の支援施策が国の支援施策とともにヒットするということです。
 
○ものづくり交付金、2次公募
 
使い勝手がよいと好評をいただいている、ものづくり交付金の2次公募が始まっています。〆切は8月11日です。是非ご利用ください。
 
もちろんこれもミラサポで検索できます。
 

石破幹事長をお招きし自民党香川3区大会を開催しました

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[category お知らせ]

かねてよりご案内申し上げておりました自民党香川3区大会を7月6日に開催いたし
ましたところ、多くの方々にご参加賜りました。改めて皆様に感謝申し上げます。

これからも、奢ることなく、謙虚に真摯に大胆にがんばってまいりますのでよろしく
お願いします。

英国エコノミスト誌「ついに始まる日本の改革:第3の矢」に想う

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掲題の通り、ときどき引用させていただいています英国エコノミスト誌。いつもなら、日本に対しては辛口のコメントと提言が多いのですが、今週号はそうではありませんでした。何か応援頂いているような記事。読んでいて心が躍るような記事でした。今回は紹介だけにとどめます。

昨年、アベノミクス3本目の矢、成長戦略を発表した2013年6月時点のエコノミスト誌のタイトルは、”The Third Arrow of Abenomics Misfire”(アベノミクス3本目の矢は不発)、その後に実行計画を発表した2013年10月時点では、”The Third Arrow, Please”(3本目の矢を放ってよ、お願いだから)でした。しかし、今回は、違うのです。タイトルだけではありません。中身も、完全に期待が込められています。

直接引用させていただくと、

“This week Mr Abe is back with a proper third arrow. There are two reasons for thinking that this time it will hit the target. First, the country has reached a point at which almost all Japanese realise that reform of some sort is needed. Second, Mr Abe is at last pursuing schemes of such breadth that they touch on nearly every area of the economy that demands change.”

勝手な訳をつけると、

「安倍首相は今度はちゃんとした3本目の矢を放ってくれた。今度は的に当たりそうだと思うのには2つの理由がある。第1には、大多数の日本国民が多少の改革は必要だと認識していることである。そして第2には、改革が必要と思われるほぼ全分野に及ぶ幅広い構想を安倍首相が打ち出したことだ。」

さらに、

“Mr Abe’s reform plan is far weightier than its predecessors. It seeks to free up an overly restrictive health-care sector, to ease the way for local and foreign entrepreneurs in Japan and to overhaul corporate governance. Some measures take on deep cultural taboos, such as allowing Japanese households in a series of special economic zones to sponsor foreign maids to help care for children and the old. And more is still to come. Together, all this represents a coherent vision of a more innovative and globally minded society. Part of its strength is its breadth: it is less a single arrow than a 1,000-strong bundle of acupuncture needles.”

「安倍首相の改革案は、どの前任者達のものよりも遥かに重みがある。過剰規制の医療分野の自由化や、国内外の企業家の活動支援、企業統治の見直しを行うとしている。いくつかの政策は、文化的なタブーにも切り込んでいる。例えば、経済特区制度では外国人メイドを雇って子供や高齢者の世話をすることができるようになるなどだ。そして今後もまだまだ改革案は続く。こうした一連の政策は、より革新的で開かれた社会を目指す一貫した戦略になっている。強みは何かと言えば、幅の広さだ。1つの矢というよりも、1000本の鍼灸針と言える。」

そして最後はこう結ぶ。

“The scale of what he has put forward this week is breathtaking. It offers the best chance for many years of revitalising Japan. That is something everybody should welcome.”

「安倍首相の構想は息をのむほどスケールが大きい。日本を活性化させる久々のチャンスが巡ってきたのである。これは皆が歓迎すべきことだ。」

 

自民党香川3区大会~今年は趣を変えて!

下記の日程で自民党香川3区大会を開催いたします。今年は例年とは違い、党本部より石破茂幹事長をお招きし、日本の将来像をご講演頂く予定です。入場自由無料でどなたでもお越しいただけます。ふるってご参加ください。

 場所 観音寺グランドホテル
 日時 7月6日 日曜日
  15:00~ 地元選出議員と知事によるパネルディスカッション
        (入場無料・どなたでも参加いただけます)
  15:45~ 石破茂幹事長基調講演
        (入場無料・どなたでも参加いただけます)

※なお、14:15より自民党香川3区大会総会を地域支部幹部指定の党員で行っております。その案内があった方は14:15分までにお越しください。

私の第186通常国会

通常国会が終わりました。かなり高い法案成立率だったと思いますが、新人である私はその雑用に専念し、相変わらず鼠のように走り回った国会でした。結局国家国民の ために何ができたのかという観点で言えば反省しなければならないこともあります が、私なりにいくつかのテーマにチャレンジしました。いずれも政治が取り組まなけ ればならない絶対必要な中長期課題であると認識しています。

第一に、党本部国家戦略本部で人口減少問題などの中長期課題に取り組んでいます。 自民党はこれまで個別的テーマでの中長期戦略を議論する常設の会議体は調査会とし て存在しておりましたが、政策総動員が必要な骨太の中長期戦略を議論する全員参加 可能な会議体はありませんでした。そこで国家戦略本部で、2030年の国家像を描 き、そこからバックキャスティング手法で現在実施すべき政策を議論することにな り、現在取りまとめ作業にあたっています。

第二に、経済政策として中小企業政策に取り組んでいます。地方の中小企業などあら ゆる産業が元気にならないと経済が本格起動しない。なぜ大胆なマクロ政策を打った のに地方ではそれほど大きな実感がないのかと言えば、サプライチェーンが過去20 年間で分断されてしまったからです。つまり会社関係や人間関係が安売り競争で分断 されてしまった。そこにきて、マクロ政策を打っても、血管が目詰まりしたのと同じ ように、活力とおカネは流れていかない。ではどうすればいいのか。はじめにどこが 目詰まりしているかを把握する。そんな当たり前なことから始めています。ビッグ データを使って。効果的戦略的な中小企業政策を打つことができるようになると思い ます。今年度末には地方でも実感いただけるようになるよう頑張っていきたいと思い ます。

第三に、若手数人の法人税減税検討チームで、法人税減税に取り組んでいます。いろ いろな抵抗が予想される課題でしたので、若手でムーブメントを起こそうとしたもの で、何度も議論を重ね、関係大臣や税制調査会に談判しにも行き、嫌味をたくさん言 われながらも、結果的に大きなムーブメントをおこすきっかけに繋がりました。詳細 はこれからですが、引き続き頑張っていきたいと思っています。なんどかこの場でも 書いていますが、ポイントは経団連などがよく言う減税したら立地競争力が上がって 経済がよくなるなどというものではないと思います。産業構造全般の見直しにポイン トがあると確信しています。

第四に、若手4人で漁業政策を定期的に議論しています。魚種によっては魚価が極端 に低下し、漁業者の収入が極端に低下しているという問題です。これに対し、これま で燃油対策とか漁業共済保険などを駆使してきました。所得補償のようなものです。 しかし本質的にこの方向では漁業が商売として成り立っていかない。そういう文脈 で、漁獲管理という手法の検討を行っています。今後、中長期的に漁業が産業として 元気に成り立っていく方策を提言して参りたいと思います。

第五に、航空政策に取り組んでいます。日本の成長戦略の主要な課題だと思っていま す。世界の航空需要の変化は目覚ましく、特にアジアの需要を如何に取り込んでいく かが課題です。お隣の国は何年か前から相当緻密に国家戦略としてのハブ空港戦略に 取り組んでおり、世界の活力を積極的に取り込んでいます。日本もその流れを取り込 めなければ世界のヒトモノカネの流れを逃すことになります。先日ようやく航空政策 特命委員会で政府の方向性が出されました。これからもしっかりと議論していきたい と思っています。

第六に、外交安保政策に取り組んでいます。今取り組んでいるのは、端的に言えば如 何に国際世論を形成するツールを如何に持てるかについてです。そのツールとはもっ とも単純でもっとも困難なもの、つまり相手国の議会対策です。国際世論形成には もっとも有効なツールの一つです。もちろん自らも進んで現場に足を運んで参りまし た。米国シンクタンク研究者や海外学生との意見交換、そして米シンクタンク招聘プ ログラムで渡米し米政府要人との意見交換を積極的に行いました。さらに議連での活 動も私が担当する国のアレンジに奔走いたしました。

第七に、政調の宇宙政策小委員会で宇宙政策を取りまとめつつあります。現在安全保 障上の理由で宇宙空間の利用意義が拡大しており、その対応を議論しています。アメ リカも現在始めようとしている海洋状況監視(MDA)を日本としても取り組まなければ ならない、など、課題は多いのですが、取りまとめ作業を進めています。

第八に、政調のIT戦略特命委員会の下でマイナンバー利活用推進小委員会の主査とし て、社会保障と税に革命を起こせる可能性のあるマイナンバーの将来の民間利活用と 普及対策の検討を行っています。このままだと住基ネットの二の舞になる。そんな危 機感から、便利で有用、と言ってもらえるような制度を提言しようと思っています。 これももう少しで取りまとめが完成します。

第九に、これは予算委員会の分科会で菅官房長官に質問させていただいた内容です が、内閣府と内閣官房の組織が肥大化している問題です。というかどちらかといえ ば、あるべき司令塔機能の議論をしていきたいと思っています。今後、党の行政改革 本部で議論に参加することになると思います。

そのほか、安全保障調査会と国防部会にてグレーゾーン事態対処や集団的自衛権を含 む安保法制の議論や、雇用問題調査会やテレワーク推進特命委員会で雇用環境改善に 向けた議論、科学技術イノベーション戦略調査会でSTAP細胞の案件やあるべき科学技 術政策の議論などを行って参りました。

閉会中は殆ど地元にいると思いますが、政策については少しじっくりと地に足をつけ て考えていきたいと思っています。