データセキュリティー法整備を

DowJohns読売新聞から取材を受け、記事が配信されましたので、お知らせいたします。

これまで取材記事を宣伝することはしておりませんでしたが、なるべく活動を知っていただくことも重要かと思いなおし、必要に応じてお知らせすることといたしました。

今回は、掲題の通りのデータセキュリティーの確保についてです。既にご案内の通り、事業者が保有している国民の皆様の情報は、クラウドサービスなどを通じてデータセンターに保存されていますが、保存や保全の制度がありませんでした。そのルールの整備を改めて主張しておりましたところ、記事となったものです。

ご興味があれば一読頂ければと思います。

2025.10.31 DowJohns読売新聞:サイパー攻撃に備えデータセンターの法整備を 自民大野敬太郎氏

公明党連立離脱

ご報告が遅れましたが、10月4日に総裁選投票が行われました。私は小林鷹之候補を昨年に引き続き支援し投票しましたが、残念ながら決戦に残れませんでした。ご支援頂いた皆様には心から感謝申し上げます。

決選投票では、党員投票の傾向と共に現下の厳しい国内外の政治経済情勢に鑑みて、高市早苗候補に投票し、新総裁となられました。これから党内一丸となって全力で新総裁を支えて参りたいと思います。これまで政権運営に当たられた執行部の皆様方にはご慰労を申し上げます。

一方で、少数与党としての困難もあります。第一に、早々に公明党が連立離脱の判断をしたことです。ずいぶん前から連立の歪が指摘されておりました。最大のものは、選挙に際しての自公それぞれの支援者からの選挙協力に関する悲鳴でした。特に政治資金不記載問題が顕在化してから、自民党支援者でさえ悲鳴が上がっていたので、公明党支援者の声は容易に想像できます。

思えば公明党は特に安全保障政策に関して総じて自民党とは決定的に立ち位置が異なっていましたが、安倍政権時代には平和安全法制を共に成立させるなど、随分と無理なお願いにお付き合い頂いてきました。逆に言えば自民党としても、安保政策に関しては、進めたい政策が遅々として進まない状況でもありました。それでも党派を超えて政治の知恵として協力してきた苦難の歴史を振り返れば、これまでの関係に心からの感謝を申し上げるほかはありません。

これから数日で、今後の新たな連立の枠組みか協力の枠組みが決まり、あるいは決まらずに来週には首班指名で新たな日本の総理大臣が決まる見込みです。重要なことは、数合わせで決めるのではなく、政策本位で何を成し遂げるのかです。

続・総裁選は小林鷹之

総裁選では、昨年に引き続き、コバホークを支援いたします。

国のためと思ったらあえて火中の栗でも拾いにいき、自分の頭と足を使って汗をかき、ぶれることなく、雑巾のようになりながらも礼節を保ち、誰かに何かを押し付けることもなく、誰かに押し付けられても鵜吞みにせず、曲がった評価を受けても受け流し、正しいと思うことを貫き、失敗しても弱音を吐かず、配下の失敗でも責任を背負い、ただ明るく振舞う。だから自然と周りに人が集まって、政策が前に進む。会見では真剣だからなのか顔は怖くなるけれど、一緒に働いてみて気づく本物感。

どうか力をください。よろしくお願いします。

■自民党総裁選公式サイト
https://www.jimin.jp/sousai25/

■小林鷹之候補紹介サイト
https://www.jimin.jp/sousai25/candidate/kobayashi_takayuki.html

■総裁選公式スケジュール
https://www.jimin.jp/sousai25/schedule/

■小林鷹之個人WEB
https://kobayashi-takayuki.jp/

■小林鷹之FaceBook
https://www.facebook.com/taka.kobayashi.35

■小林鷹之X(ツイッター)
https://x.com/kobahawk

■小林鷹之Youtubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCT-yxxeAApALZV2YUlVsMBQ

石破総理の辞任表明を受けて

石破総理が辞任を表明しました。約1年弱に亘って困難な政権運営・党運営を担われ、特に参院選後は過大なプレッシャーがあったものと思いますが、分断を回避し政治を前進させるとの思いからだったのだと思います。真意は分かりませんが、まずは心から、ご英断に敬意とご慰労申し上げます。

昨年から、地域地域でお支え頂き活動頂いております支援者の皆様から、「党の考えが全く見えない」「何をしたいのかわからない」「本当に国民に向き合ってるのか」「生活が苦しいのに何もしてくれない」という厳しいお言葉を頂戴しておりましたが、これは決して総裁のみに責任があるわけではありません。

ただ組織の長は組織に対して絶大な権限があるからこそ、大きな責任があるという構造にあります。例えば社会的責任が重い会社において社会的信頼を大きく失墜させるようなことがあり、仮にそのことを会社の社長が何も知らなかったとしても、組織全体に対する責任というものが発生します。他のどのような措置を打っても責任を示せないとすれば、自ら身を処す以外に選択肢はなくなります。石破総理はまさに示されたということなのだと思います。

しかし、リーダーが変わっただけでは本質的に何も変わりません。これから総裁選に入りますが、どなたが新しいリーダーになるにせよ、国民の問いかけに答えを出せなければ意味がありません。築城3年、落城1日と言いますが、努力を積み重ねて参りたいと思います。

我が国造船業再生のための緊急提言

トランプ政権との間で関税交渉が進む中、急浮上した話題が造船でした。ただ、アメリカのために何かするという方向には違和感を禁じえませんでした。そもそもチャンスにしなければならないと。そうした中で、党経済安保推進本部の事務局長を務める中曽根康隆代議士が党で本格的に議論をするべきだと主張。小林鷹之本部長の決断で海運造船対策特別委員会(石田真敏会長)と合同で緊急提言を出すこととなり、提言をまとめ(私は経済安保本部の幹事長を務めています)、本日総理に手交しました。

かつて日本は造船大国でしたが、景気変動の影響を受けやすい業種であるため、不景気になるたびにアセットを手放してきた結果、中韓勢に押されています。ではアメリカは何で困っているのか。日本と同様ですが日本より深刻なのが建造能力の衰退です。ご存じの通り、世界の船舶建造シェアは圧倒的に中国が握っており、韓国と日本がそれに続いています。中国の建造能力は、アメリカの400倍と指摘する意見もあります。

確かに先月訪米した際にも、何名かの政府やシンクタンク幹部から同様の指摘がありました。有事を見据えると、船舶建造の中国依存度を低下させなければならないと。ならばアメリカの調達先多様化は日本の需要増につながります。であれば、我が国の建造能力を、この機に抜本的に強化することは、まずは日本の安全保障を強化することになりますし、戦略的不可欠性にも繋がりえますから経済安全保障の強化にもつながり、加えて日本経済の根源的問題である供給力強化という経済対策にもなりますので、誠に理にかなったことです。結果的に造船クラスターを有する地方活力の創造にもつながる。

従って目的は、安全保障・経済安全保障・経済政策。ただ、それほど簡単ではありません。それは、あらゆる産業にも言えることですが、投資不足とヒト不足。今回の提言では、官民で1兆円規模の投資となるよう基金の創設を謳ったうえで、設備投資支援、金融支援のほか、人材育成ハブの創設を提言しています。設備は必ずしも国内のみを対象としているわけではなく、アセアンを中心に人材協力が可能なところに拠点を作り、同志国の修繕ドッグとしていくことも重要です。また軍民共用もポイントの一つとなります。

今秋までにロードマップを示すように政府に求めていますので、そのころまでには具体的措置も含めて戦略全体を皆様に共有できるよう努めてまいります。

我が国造船業再生のための緊急提言

日本経済新聞:「国立造船所」建設を検討 政府・自民、造船業復活へテコ入れ

メディアマッチポンプ

新幹線でお馴染みの雑誌Wedgeに興味深い論稿が掲載されていました。詳しくは下記をご覧頂ければと思いますが、震撼させられると同時に大いに賛同できる論旨です。大まかに言えば、東京新聞が、葛飾区発行広報誌に使われたイラストに対して市民から戦争を想起させるとの抗議が複数届いている、と報じたことを巡り、実際には大して話題にもなっていないことを、メディアがマッチポンプのように社会問題化させているのではないか、ということを問題視した論稿です。

「戦争を想起させる」と報じた東京新聞「こち亀」イラストの葛飾区広報紙への抗議は大多数の「民意」だったのか?メディアが作る社会問題というもう一つの脅威、察知し対応していくためには

「社会問題を取材したのではなく、自ら社会問題にしようとしたのではないかと思えてしまう」。政治に身を置いていると、毎日とは言いませんが、確かにそうした事例だと思わざるを得ないことに接する機会が多いのは事実です。

論稿の著者のことは私は存じ上げませんが、過去の記事を見ると、メディアの在り方に注目していることが分かります。曰く、例えば原発処理水も、汚染を印象付ける報道を各社が繰り返し、その結果、巨大な社会問題と化して、外交課題に発展し、莫大な社会コストを払ったことは、ご存じの通りです。加えてこのケースは、論点が「汚染」「危険性」から徐々に「人々の不安」「合意形成の不備」などにシフトしていったと指摘していて、見方によれば、注目が集まりさえすれば徹底的に吸い尽くす、社会問題化によるマネタイズ、若しくは政治的煽動と思えなくもありません。

考えてみればSNSも、コンテンツの質よりも注目度が収益化されるアテンションエコノミーですが、そのルーツは既に既存メディアでも見られるということであって、違いは収益化しているのが既存メディアか一般ユーザかの違いであることが分かります。だからこそ、既存メディアは収益構造をSNSに奪われないために、SNS政策に注目しているということなのだと理解しています。

既存メディアは「質」を追求すべきなはずです。そもそもメディアは、政府との関係では、政府を監視すべきは当然で、そのため記者が政府に対して常に疑問を持つのは重要なのですが、疑問のまま事実確認をせず、その事実確認の代わりに「声が上がっている」「不安が殺到している」「署名が集まっている」と他者の声を代表せんと言わんばかりに「疑問」だけを提起するのは簡単で、こういう結果を生みやすい。

例えば「〇政策には〇万筆の反対署名が集まっている」というような記事を見かけることがあります。政策に対する「疑問」だけが印象に残るはずです。しかし〇万筆というのはエビデンスですが、〇政策の反対すべき事実確認ではありません。一方でこれに反論を試みますと、そもそも主要紙が引用する署名サイトのアカウントは中国やロシアなどの外国人アカウントが多いと言われています。どうでしょうか。反論の骨子が目立つはずです。これは私が事実耳にすることですが、事実確認はしていません。「言われる」だけです。簡単に空中戦になり、壮大な社会コストが発生します。

他者引用するなということではありませんし、社会問題化するなということでもありません。問題の核心は、他者引用が極めて簡単であるがゆえに、社会問題化することが簡単にできてしまい、その動機がマネタイズや政治的煽動なら全くもって忌避すべきことではないでしょうか。社会問題化をするなら事実確認が必ず必要だということです。さらに問題は、こうした事実確認なき社会問題化の結果として生じる回復のための社会コストは、結果的に国民が負担することになることです。そして、この国民が払った社会コストはメディアに回収されているというメカニズムになります。

そもそもSNSの時代、偽情報(偽と分からない流言飛語の類)がネット空間に飛び交い、ネット依存が高い人にとっては特に、フィルターバブルやエコーチェンバー現象によって、何が真実なのか見えにくくなっています。偽情報は民主主義の根幹さえ揺るがしかねない問題です。であれば既存メディアは、国民が参照して情報健康度を維持できるようコンテンツの「質」を徹底追求すべきですし、そうした社会的要請を十分に認識した上でコンテンツ提供には大いなる自覚と責任が求められるのだと思います。

憲法に自衛隊を明記せよ

憲法審査会に属しています。審査会としては既に議論を尽くしているはずなのですが、遅々として進展が見られないことに苛立ちを感じながらも、本日は「憲法と現実の乖離」というテーマに沿って、憲法9条と自衛隊の関係を取り上げました。発言内容は以下の通りです。

1 はじめに
  本日のテーマである「憲法と現実の乖離」に関しては、私も、憲法9条と自衛隊の関係を取り上げたいと思います。
  現行憲法9条2項では、「戦力の不保持」「交戦権の否認」が明確に規定されていますが、現実には、我が国は、世界でも有数の規模・能力を誇る自衛隊を保有しています。これが「憲法と現実の乖離」の最たるものであることは、私たち自民党だけではなく、多くの政党、そして国民の共通認識ではないでしょうか。
  私は、かつて防衛大臣政務官を務め、我が国を取り巻く安全保障環境が急激に悪化する中で、国民の生命・財産を守るために、24時間、365日、一時の空白を作ることもなく激務に従事している自衛隊の皆さんの姿を、実地に見聞きしました。このような経験を踏まえても、何としても、憲法9条と自衛隊の存在との乖離を解消しなければならないと考えます。
  そこで、2つの観点から意見を申し上げます。

2 「国民を守る」という発想の欠如
  一つ目は、日本国憲法は、占領下という独立と主権を失い、武装解除がなされて国防を担う実力組織を持たない状態で制定されたため、主権国家の最も根幹的な役割である、いかなるときにも「国民を守り抜く」という「国防規定」を欠いているということです。その意味で、現行憲法には最も根幹に当たる規定が欠落していると言わざるを得ません。
  本来であれば、GHQが引き揚げ、主権を回復した1952年に、憲法を改正し、「誰が、どのような手段で国を守るのか」を明確にしておくべきでしたが、現在に至るまで、放置されたままです。

3 シビリアンコントロールの明記
  二つ目は、国防を担う実力組織である自衛隊に対する政治家による統制、すなわちシビリアンコントロールが肝要であるということです。この点、私たち自民党が提案している条文イメージでは「内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする」という政府内の統制と、「自衛隊の行動は、国会の承認その他の統制に服する」という国会による民主的統制の両面から規定することとしています。
  諸外国の憲法においても、国防のための実力組織に対するシビリアンコントロールの規定は標準装備されていることから、「国防規定」と同様に、憲法に規定を設けるべき事項であることを申し上げて、私の発言といたします。

安心安全のための外国人政策を総理に手交

国外から多くの方々が入国されるようになりました。魅力ある国であるということは誇らしいものですが、ルールは守っていただかなければなりません。ところが日本の制度を悪用・誤用し、日本人の間で不公平感どころか不安が広がっています。

遅きに失した感はあるものの、そもそも日本の法制度は、社会のグローバル化を必ずしも前提としていないため、入国外国人の取扱いが制度面でも運用面で適切でない場合が散見され、国民の不公平感や不安に繋がっています。

これまで自民党の中で複数の関連調査会や作業部会で議論が重ねられ、制度や運用の改善を実現していますが、今般、外国人政策について、個別政策の枠組みを超えて、総合的・施策横断的に取り組み、政策の一体性・整合性を確保するために、小野寺五典政調会長を長とする特命委員会が設置され、その事務局として政策を取りまとめ、過日、第一次提言として総理に手交しました。

顕在化している諸問題への対処が提言の具体的な中身ですが、より重要なのは、外国人との共生という方向性を根本的に変える提言となっています。当たり前の話ですが、ルールを守らない外国人とは共生できないわけで、提言では前提となる秩序維持強化をすべての政策の基本的方針にするため、司令塔設置とともに取り組み方針策定を求めています。これにより数多ある関連政策はすべからくこの方針に従うことになります。

国民の安心と安全のための外国人政策 第一次提言―違法外国人ゼロを目指して―

(画像出典:ANN)

にわかに注目を集めるCDS

先に資金決済法案の衆院通過をご報告致しましたが、審議を行った財務金融委員会では、野党側からCDSと呼ばれる金融派生商品の言及が繰り返しあり、俄かに話題になりました。そこで今回はこのCDSについて触れておきたいと思います。端的に言えば、我が国は莫大な国債発行残高を抱えているわりにはCDSで見ると信用力はまだありそうだが、本当なのかという論点です。

というのも、選挙が近くなると各党から金出せ槍出せ目玉出せ的に財政出動を求める声が高くなりますが、CDSはそうした議論の過程ででてくるものです。すなわち国債の信用力はまだあるのだから、国債発行で財政を賄うべきとの論です。

まずCDSの本題に入る前に、私の違和感を共有しておきたいと思います。それは国会で声高に財政出動を求める声は、ほとんどが選挙対策だからなのか需要サイドへの手当です。もちろん家計部門に直接効果のある物価高対応は必要で、マクロで見た時も需要面の手当は一定妥当なので、全面否定つもりは毛頭ありませんが、日本は本質的には人不足や投資不足で生産力や供給力が絶対的に低下している中ですので、そうした供給制約下にある場合、財政の需要サイドへの手当は、消費が拡大し景気浮揚効果はあるとしても、インフレが加速すること、加えて消費されるべき消費財は供給制約下では国内で供給できないため、輸入が増加し富が海外に流出すること、となり、日本は今後ますます価値を生まない国になってしまわないか、すなわち未来永劫稼げない日本になりはしないか、ということです。

気合を入れて取り組むべきは、そうした供給力や生産力を財政を積極的に投じて民間投資も促すことで強化することだと思います。つまり、国債発行するか否かの前に、財政を正しい方向に投じる議論が決定的に欠けているように思います。短期的な人気取り政策は厳に慎むべきだと感じます。

■CDS「で」見るべきは当然だが正しくはCDS「も」見るべき

では本題です。CDSは政策判断の指標となりうるのか、と言う問いについては、なりえます、というのが答えです。ただ、「CDSで」と「CDSも」は決定的に異なり、CDSだけで政策判断は決してできないように思います。

CDSは30年ほど前にロンドンで開発された債務不履行リスクヘッジのための金融派生商品で、平たく言えば倒産リスク保険です。リーマンショックや欧州危機など金融リスクが高まるとにわかに注目される市場ですが、衆議院の財務金融委員会で俄かに話題になったのは、リスクが高まったからではなく、リスクが小さいのではないかと注目されました。

当然、各国の国債にもCDSが取引されています。ネットでググると以下のようなページがありました。これを見ると、日本のCDSは極めて低く、世界でもドイツに次ぐ2番目。確かに日本国債の信用度は抜群に高い。

https://jp.investing.com/rates-bonds/world-cds

いずれにせよCDSは市場が国債をどのように見ているかを測れる重要な指標であることは間違いありません。しかしあくまでリスクヘッジ市場であって1指標にすぎません。そもそもCDSは、元金不払い、返済条件の変更といった、狭義の債務不履行が起きるリスクを評価する指標です。財政状況が悪いかどうか、今後金利が上昇するかどうか、という広義の財政リスクを判断する指標ではありません。CDSが低くても、市場の信任が失われたら金利が急上昇したり、円安が進行したりするのは十分にありうる話です。加えて、そもそも当該市場の取引の薄さが問題です。取引額は指標の安定性と信頼性に繋がりますから重要ですが、1日平均1~2件の取引しかなく、総額も5千万ドル程度です。決定的に少ない。

考えてみれば日本国債はこれまでほとんどが日本人自身によって引き受けられていましたので、日本国債CDS市場にそれだけの需要と魅力がなかったということなのだと思います。リスクが本当に高まった時に相当の取引量がでてくれば信頼性の高い指標になるはずです。

例えばここ最近は急激に市場が動き出し、CDSだけを見るとリスクが高まったように見えます(以下の日経の解説が分かりやすいと思います)。しかし本当に信用リスクがどの程度なのかは、現時点ではこうした取引額の薄い指標だけで判断するよりも、総合的に判断するべきものなはずです。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB095560Z00C25A4000000/

■日銀のテーパリング

現時点で私が注目しているのが日銀のテーパリング。少し遅くするべきではないかと思っています。というのも、日銀は保有する500兆円を超える国債を、今後毎年徐々に、例えば数兆円から何十兆円の規模で、市場に出していくと予想されていますが、引き受け手がどれほどいるのか。先日NHKで、投資家を一軒一軒訪れて国債を営業する財務省職員の涙ぐましい姿がドキュメンタリーで放送されていましたが、これまで国債が日本人によって引き受けられていたものが、仮に国内引き受け手の不足で、外国人投資家の引き受けが多くならざるを得ないのだとすると、これまでの国債リスクの質は大きく変わります。そうしたときにこそCDSは本格的に動くはずです。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-05-21/SWKDY6T0G1KW00

■財政は大丈夫とか大丈夫じゃないとかではない

一方でドーマー条件という理屈も当該委員会で話題になりました。これは私も基本軸としている考え方ですが、前提条件を正確にとらえておく必要があり、絶対視は慎むべきではないかと思います。ドーマー条件とは、プライマリーバランスが均衡している下で、名目金利より名目成長率が上回れば債務残高対GDP比の発散は回避できるというものですが、そもそもプライマリーバランスが赤字です。さらに、交易条件の変化に伴うコストプッシュインフレ要因が強ければ、名目GDPは伸びるけれども、金利上昇は随分と遅れるはずなので、財政はコストプッシュインフレが続く限り安定傾向にあるという妙なことになってしまいます。また、そもそもドーマー条件は、国債発行の参考にするならばその引き受け手が無尽蔵にいることが前提となりますが、先ほども少し触れたように現時点では引き受け手の問題がありますから、これも総合的に考えるべきではないかと考えます。

財務金融委員会での質疑

本日、衆議院財務金融委員会において、資金決済法改正案に関する質疑を行い、可決されました。

この法改正は、昨今急増しているオンラインカジノの違法利用や、巧妙化する投資詐欺など、利用者の財産を脅かす深刻な社会問題に対処するための重要な一歩です。

近年、SNSやインターネットを通じて違法な送金手段や金融サービスが拡大し、法の目が届きにくい新たなリスクが浮き彫りになっています。こうした状況の中で、利用者を守り、健全な金融インフラを整備していくためには、時代に即した法整備が不可欠です。

今後も、実効性のある制度設計を進め、国民の皆さまが安心して金融サービスを利用できる環境づくりに努めてまいります。