コロナ感染状況

ワクチンの普及で一時はコロナ克服が期待されていましたが、ワクチンの効果は感染力の強いデルタ株に打ち消された感は否めません。ただ、感染者数が増えても重篤化する割合は決定的に下がっています。現時点では、感染者数も落ち着きを取り戻しつつあり、今後のワクチンの更なる普及も見込まれているため、克服は再度期待できるものと思いますが、一方で、変異株出現の頻度は極めて高く、いつ強力な変異株が蔓延するとも限らないため、予断を許さない状況は続いています。

これまでの感染状況の傾向を振り返っておきたいと思います。敢えてデータだけ示します。データは全国のデータ(人流のみ東京新宿駅)で全て政府のオープンデータを参照しました。

本来、こうしたデータに経済関係の状況、すなわち、規模別・地域別・業種別の商店等の取引関係に関するデータをマッシュアップして分析することが望ましいはずです。現在、それを可能とする取り組みを進めています。

また、今後に備え、治療薬・ワクチンの開発と供給を急ぎつつ、病床確保に向けた具体的権限強化をしていかなければならないのだと感じています。


図1.感染者数(青)に対する要入院者数(赤)


図2.感染者数(青)に対する重症者数(赤)


図3.感染者数(青)に対する死亡者数(赤)


図4.実効再生産数


図5.感染者数(青)とワクチン接種率(1回目・2回目)(赤)


図6.感染者数(青)と人流(赤)


図7.感染者数(青)と病床使用率(赤)


図8.感染者数(青)とPCR検査陽性率(赤)


図9.感染者数(青)と感染経路不明者割合(赤)


図10.感染者数(青)と日経平均株価(赤)


図11.感染者数(青)と労働賃金(赤)


図12.感染者数(青)と企業DI(最新でプラス群)(赤)


図13.感染者数(青)と企業DI(最新でマイナス群)(赤)


図14.感染者数(青)と企業倒産件数(赤)


図15.感染者数(青)と雇用調整助成金支給決定件数(赤)

総裁選:政策論争と党改革

いよいよ明日、自民党総裁選が告示されます。これから本格的な政策論争が始まります。どなたが次期総理にふさわしいか。党員の皆さまには特に注目頂き思う方に投票を、また党員以外の皆さまも政策を聞いて日本のあるべき姿を共に考えられる機会になればと思います。現在4人が立候補されています。岸田文雄さん、河野太郎さん、高市早苗さん、野田聖子さんです。今回の総裁選では、私は岸田文雄さんに日本の未来を託すことに決めました。

それに先立って、書き記しておきたいと思います。前回も書きましたが、約1か月前、総裁選の実施時期を巡ってかなり分かり難い政局となりました。初当選以来、これまで厳しい政局となることは幾度かありましたが、それらとは決定的に質の異なるものでした。ズバリ言えば、有権者や党員の皆さまに対して、説明ができたかどうかです。過去の政局は、全てとは言いませんが、自分なりの理解をし、中身の説明をし、自分の意見を述べることができた。今回は、全くできなかった。

それまで菅総理は仕事では最善を尽くして確実に結果を出してました。しかし、この総裁選や解散時期をめぐった政局については、メディアは揃って四方八方からダメ出し。政治は完全に国民の信頼を失っていました。この状態で、もし、菅総理が総裁選に出たとして派閥談合で再任されたら、間違いなく皆さんは国民不在だと感じたと思います。

菅総理がだめだということではなくて、我々政治がだめだと思われたところがだめなので、そういう場合は、組織の透明性とガバナンスがモノを言うはずです。等身大の政治の姿を皆さんの前に晒して評価いただく。これが信頼回復の最大の手段になるはずです。そのためには、派閥一任の解消と開かれた総裁選を求めることが必要だった。本来、自浄作用としてこうしたことが自然に起こるのが望ましい。しかし、起きなかったことに危機感を感じたからこそ自らの手で実行した。それが福田達夫さんであり党風一新の会でした。

ここを起点にして中堅若手で党改革を訴える「党風一新の会」ができたことは既に前回書きました。打ち出したのが、今回の総裁選では派閥一任を解消して自由投票とし、国民や党員の皆さまと一緒に考え国を形作れるよう、開かれた総裁選にすることです。ところが残念だったのがレッテル貼り。この会を、特定の候補者を支持するための会だとか、選挙基盤が弱くて派閥領袖に従ったという理由だけでは選挙を戦えないから自由にしろと言っている圧力団体だとか。この薄っぺらいレッテル貼りには私は耐えれない。

そもそもこの会は何を目指しているのか。派閥一任回避と自由投票を求めたのは目的ではありません。まして、特定の候補者を支持するための母体でもなく(もしそうだったら新しい派閥ができただけで我々の主張と根本的に矛盾する)、派閥の存在自体を直ちに否定しているわけでもなく(否定するのであれば新たな根本的ガバナンス体制を直ちに構築すべき)、主目的は、一時の党勢凋落という事態に陥ったのは党のガバナンスが脆弱なことが原因だという認識の下、党改革とその先の国会改革、そして統治機構改革と、それを通じた「政治は国民のもの」という原点を目指しているものです。

国民からの密室長老政治というレッテル(実態は少し違います)に対する不信感と実態のギャップを埋めるための行動をとったもので、我々が本質的に目指しているのは、国民の意識をしっかり掴み、やるべき行動を生み出す自浄作用の仕組みです。すなわち個別の状況を把握し、やるべき行動を提示し実行する仕組みです。オカシイと思われないよう常に自己チェックができる体制や制度などのメカニズム、仮にオカシイと思われるなら分析し評価し改善するという行動につなげていく仕組みです。これが我々の言うガバナンスであって、それを通じて、党運営を近代化し、政治や自民党と国民や党員の距離を近づけ、前向きな政策論議が巷で行われるような土壌を築くべきだ、という視点に立っています。

では具体的にガバナンス強化とは何を言っているのか。

第一に、意思決定過程の透明化と原則主義の強化です。一言で言えば説明責任。冒頭書きましたが、難しい政局でも説明可能にしていかねばなりません。そして少なくとも事前に原則を打ち立てておき、それに従えないか逸脱するようなことが生じたら必ず説明する、というのが私の言う原則主義です。政治は信頼が根本だと考えています。政策は対立する可能性はありますが、なぜそういう結論になったのかを説明すれば、納得は頂けはしないかもしれないけど理解はしていただけるはずで、それが信頼に繋がっていくのだと思います。人事も資金も原則主義を強化すべきです。岸田さんは、党ガバナンスコードを主張しました。まさに原則主義の考え方です。

第二に、パブリックリレーション(PR)戦略です。PRというと、何となくアピールに聞こえるかもしれませんが、本来的な意味では、国民との関係(リレーション)をどのように構築するかという戦略です。大切なのが、国民からのフィードバックをどのように取り入れて対話(コミュニケーション)するかです。これには2つの方向があります。ネガティブな事象を扱う場合とポジティブな事象を扱う場合です。前者の典型例が緊急事態の際のリスクコミュニケーションです。その為には、リスクをマネージメントする機能が不可欠です。後者は、アジテーションや扇動にならないような仕組みをどのように構築するかです。そして両者に共通で必要なのが、インテリジェンス機能です。PR戦略部門が描く戦略に基づいて必要な情報を権限を持って収集できる体制が必須です。単に各部署から上がってくる情報を垂れ流す、平べったいPRにならないようにすることです(政府の広報担当部局はほとんどがこの類です)。国民や党員の意見を収集し党運営にフィードバックし政治の運営を改善していく。先に書いた党風一新の会の一歩目の部分です。

第三に、正統性と正当性の明確な役割分担に認識です。正統性とは民主的に皆で決めたという正しさで、政治が担います。正当性はとは、学術的若しくは論理的な正しさで、主に学者や行政などが担います。社会問題が複雑多様化しているため、政治判断だけでも、あるいは学術的・論理的正しさだけでも判断が付かない問題が多くなっており、EBPM(根拠に基づいた政策立案)と言われるように両者を融合させて政策を運用していく重要性が益々高まっています。しかし、その両者の役割分担を明確に意識しなければ、安定的運用は不可能です。例えば、学術界の中でも意見が割れるような複雑な問題の場合、学術界も民意に流されたりすることもあるはずです。また、行政組織も、大臣という政治家の上司がいるのでどうしても大臣の意向を尊重することになります。その境目と役割を相互に明確に認識するためのツールを準備しなければなりません。

第四に、意思決定における演繹性と帰納性の担保です。小難しく書きましたが、要は国民の意見を吸い上げてボトムアップで政策を実行することもあれば、国家戦略上の観点から総理総裁がトップダウンで政策を実行することもある。一方で、時間軸の中で、将来のある時点での理想的な国の在り方を定めて現在実行すべき政策を立案することもあれば、現時点での直面する課題を解決するために政策を立案することもある。いわば空間軸と時間軸のなかで、どのように政策を組み立てていくのかという基本的な概念を国民の皆様と共有しておかなければならないのだと思います。その中で、地方組織の在り方や国家戦略の在り方が定まってくるのだと思います。

第五に、政調の政治的機能強化です。政調は政策を作っていればよいわけではなく、政策の位置づけを俯瞰的に見て実行していかねばならず、その為には政治力を強化していく必要があります。これまで政調会長の属人的能力でカバーされてきましたが、それを補うために制度として担保していくべきです。例えば国会対策委員会と連携して議員立法審議優先権を獲得し、政府がやらないのであれば立法府として与党が議員立法を成立させやすい環境を整えること、税制や予算の社会的インパクト・財源を総合的かつ精緻に分析・評価・立案ができるインテリジェンスを併せた機能、その為に必要な情報にアクセスする権限とクリアランス制度、などが考えられます。

第六に、派閥の機能です。前述しましたが、無派閥である私が言うのも変ですが、現時点においては、派閥は党ガバナンス上、一定の役割を担っていると認識しています。政治はまとめるのが仕事ですので、300人も国会議員がいてそれぞれがバラバラな意見を言い続けていたら纏まりません。引き出しに間仕切りがあるように、ある程度のグルーピングは自然なことだと思います。逆に言えば、総理にしたいと思う人の周りに人は集まっていくのが人間の本質ですし自然なことです。また情と理のバランスをここで取ることを否定すれば情のない政治になります。問題の本質は、派閥の運用が説明不可能なときです。とにかく俺の言うことを聞け的な運用は、政局安定期は問題ありませんが、不安定期には混乱に陥りやすい。従って、派閥の運用も、派閥ガバナンスコード的な原則主義が必要なのだと思います。一方で、未来永劫このままでいくべきなのかは別問題です。それを超える高いレベルのガバナンスが得られるのであれば、移行することも選択肢だと思います。問題はそれがどのようなものかを見つけられていない事です。

第七に、政府(官邸)と与党(自民党)との役割分担です。安倍政権で官邸機能が強化されたのは皆様もご存じの通りだと思います。これは絶対的に正しい方向ですが8合目に到達できたところなのであと2合昇らなければなりません。国家ガバナンスの更なる強化です。ここはまた深い議論があるので別稿に譲りますが、一方で、自民党の役割が低下しすぎた。単純に党の役割を強化すると、多様な意見が噴出し、いわゆる決められない政治や非合理な政治になりかねない。そうならないためにも、党ガバナンス強化を前提として、党の機能や権限の強化が必要になってきます。

追伸(9月21日)

党風一新の会による総裁候補者との意見交換会を実施しました。まずは事務段取りを完璧にこなし、当日は見事な司会進行を務めた同期、田畑さんに心から感謝とエールを送りたいと思います。

今、政治が直ちになすべきは経済対策を含むコロナ対応などの政策ですが、それらは既に他の公開討論会で議論され深掘りされているため、この会では政策については敢えて触れず、むしろ政策を実行するやり方や仕組みを中心に議論いたしました。まさに党改革や国会改革(本質的には統治機構改革)です。

https://www.news24.jp/articles/2021/09/21/04943136.html

https://www.youtube.com/watch?v=mmwuW40gQSU

菅総理の辞任と中堅若手の会による令和型自民党の実現

(菅総理辞任と1週間の政局混乱)
菅総理が任期をもって退任することを表明しました。報道にもあったように、政局の動きが激しい1週間でしたが、その責任をおとりになったということなのだと思います。コロナ禍の政権運営は大変であったと思いますし、本当に休み無しの状況だったのだと思います。まだ任期まで少しありますが、心からご慰労申し上げたいと思います。

(総裁選)
一方で、国民の皆さまはコロナ禍で苦労も忍耐も限界に達しているわけで、そのことを我々政治がちゃんと理解し、やるべき方向を示さなければなりません。このゴタゴタ劇について、殆どの国民の皆さまは、呆れに近いものであったのだと感じます。中身のないまま政治家だけの政治をやって突き進んでいたのでは、たんなる能天気です。だからこそ、ちゃんと中身を議論してリーダーを決めて大方針を出すために行うのが総裁選であって、開かれた総裁選を行わなければなりません。

(中堅・若手の会)
ドタバタ劇の間、報道にも取り上げられていたように、福田達夫代議士が言い出しっぺの中堅若手10数人で、断続的に会合を開き、党のガバナンス改革を骨格として、あるべき総裁選の姿などをメディアを通じて訴えてきました。理解を超える政局の動きであったためです。繰り返しますが我々の思いの中心は、国民に開かれた政治です。では開かれたとは何か。その必要条件は説明責任であり納得のいく説明です(十分条件ではありません)。例えば、総裁選前に人事を断行するとか、総裁選前に解散するとか、納得できる説明もなく行先不明の場所に突き進めば、混乱しか残りません。我々が、総裁選前に人事を行う理由の説明を求めたのも、派閥の縛りからの解放を求めたのも、ガバナンスのためであり、開かれた政治のためです。

(党の新しい胎動)
連日のようにリモートで中堅若手の意見交換会を実施しております。下記の報道リンクは、メンバー中核の山下たかしさんに対する取材の様子です。山下たかし代議士もSNSで触れているように、昔は政治家と言えば料亭やホテルで会合、今や一言声かければどこにいてもリモート接続。新しい時代の政治の姿です。景色が変われば意識も変わる、とメンバーの小林ふみあき代議士も常々言ってますが、まさに新しい政治の胎動を感じています。

news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4352528.html

(残念な報道)
ただ、残念なのが、メディアの取材の目線。何かにつけて、「選挙基盤の弱い」「中堅若手」が「浮足立って」「派閥の縛りから解放を求めている」などと、我々の意識とは程遠いレッテルを張っていることです。というか、恐らくそういう固定観念で取材している。正直、メディアの目線こそが旧態依然としているように見えます。同グループ内で議論されている内容は全く違う視点に立つもので、自民党のガバナンスを強化しないと、国民から信頼されなくなり、もって正しい政策も実行できなくなり、日本が機能しなくなることが問題だと言っているのです(昔ありましたよね)。参加議員全員が、自己保身など全く感じない発言を続けている議論であることを、私でよければ証明します。いい仲間ですよ、この世代の議員は、本当に。(念のためですが、若いから良いと言うものではありません)。そろそろこれをきっかけに、党の体質を令和型に切り替えていきたいと真剣に思っています。

デルタ株の猛威

デルタ株が猛威を振るっています。まずは対応に当たられる地方自治体、関係行政や医療機関の皆様に心からご慰労を申し上げます。全国各地に緊急事態宣言やまん延防止措置が発令され、県境を跨ぐ移動の自粛が求められていますので、私も東京との往来は控え、必要な東京の会議はリモートで対応しています。

コロナ対応に関しては、昨年より自民党内に様々な会議が設置され連日のように議論を重ねてきました。筆頭格の新型コロナウイルス感染症対策本部、そのもとにワクチンPT(プロジェクトチーム)、危機管理オペレーションPT、情報戦略システムPT、また関連して社会保障制度調査会に創薬力強化PTなどです。そして私自身、何本かの提言を事務局長として取りまとめ、政府に提言して参りました。

そうした提言は、政府に採用され実行されているものもありますし、残念ながらスルーされているものもありますが、採用されたものでも、功を奏したものと、全く効果がなかったものもあり、非常に忸怩たる思いが致しております。コロナ以外の重要な仕事もあるわけですが、それでもコロナ対策には相当な時間をかけてきました。それでも政治は結果ですので、コロナに打ち勝ったという結果を残せていない以上、政治は無策だという批判は甘んじて受けなければらないのだろうと思っています。

(緊急事態下の権限強化)
先般、更なる感染拡大と医療逼迫の現状を前に、全国知事会が、ロックダウン並みの強い強制力行使や、ワクチン接種証明書の利活用などを提言しました。行使すべきかどうかは経済状況を精緻に勘案する必要があるとしても、私自身は感染症のみならずあらゆる緊急事態時における行政権限強化は必要だと痛感しています。国産ワクチンが出遅れたのも、もとをただせば政府の権限がなかったからに他なりませんし、人口当たりの病床数が世界一多く感染者も国際的には多くはないのに医療崩壊が叫ばれる理由も、もとを正せば民間医療機関に行政権限が及ばないからに他なりません。このことは後程深掘りしたいと思います。

(デルタ株の猛威)
デルタ株の感染力は通常の2~3倍だと言われます。この数値は深刻です。通常株の基本再生産数は1.4程度だと言われていましたので、3倍だとすると4.2にもなります。例えば東京の人流はコロナ前に比べ恒常的に5割になっていますので、通常株の場合、感染力は1.4×0.5=0.7<1なので、基本的には感染収束がベースラインとなります。更にワクチン接種が進んでいたので大きな期待が持たれました。一方で、デルタ株の4.2の場合、半分でも2.1ですから、更に人流を半分にしても1.05で感染拡大傾向。1回目の緊急事態宣言を出した直後の状態の8割抑制でも1を少し切る程度ですから、効果は大きなものではありません。現在ワクチン接種が半分に迫っていますので、人流を半分に抑えたものと同等の効果になるとすれば、ほぼ再生産数が1程度の状態になっているのだと思います。結局のところ、ワクチン接種の期待はあったけども現時点ではデルタ株感染力によって相殺されたことになります。ただ、ワクチン接種がこのまま進めば、必ず1以下になるのだと思います。人流抑制については、後程更に深掘りしたいと思います。

(ワクチン接種の推進と政府コロナ対策運用目的の明確化)
少なくともワクチン接種を着実に進めることが最大の効果であることは間違いありません。今後、若年層への接種が進展すると、確実に接種率は下がります。従って、若年層に理解が得られるよう積極的に働きかけるとともに、奨励策なりを打っていくべきとだと考えています。一方で、従前からの主張なのですが、政府のコロナ対策の主目標が何なのかをより明確にすべきではないかと思います。すなわち、人流を抑制したいのか、重症者や死亡者を無くしたいのか、それとも感染を抑制したいのか。政府はどれも最大限務めるとしていますが、コロナウイルスの知見は相当集まっているので、ここで整理をした方がよいはずです。私は重症者と死亡者を出さないことを明確に掲げるべきであると思っています。

(ワクチン供給量)
なお、一時、ワクチンの供給が滞っていて各自治体に届かないという指摘を受けることがありました。現時点でも比較的人口規模の大きな自治体では予約が取れずに困っているという声を聴きます。前者については、国から市中には十分な量が供給されていました。結局、自治体や医療機関によって、接種スピードの違いがあったり、特に2回目の接種に必要な量の確保を待たずに接種に踏み切る方針をとったり、また単に必要量以上に確保しようと考えたりなどで、供給量に地域的偏在が生じたという現象でした。早いところは早いという実感と合致します。国は接種効率を上げるために地域の要望に応じて供給をしているからですが、接種地域格差を完全解消し平等原則を取れば接種率は落ちるため必ずしも悪い方針ではありませんが、接種効率と平等のバランスを多少は考慮し調整する必要があるはずです。現時点では多少考慮されているようです。

(類型指定変更)
加えて昨年より党でも多くの議論があった点が、感染症法上の2類から5類への指定変更です。コロナは現在2類というのは極めて深刻な感染症に分類されています。もちろん運用は柔軟化されていますが、医療機関や保健所など法律に基づいた作業義務が重く、システム崩壊するので、5類に落とすべきだという論です。私も少なくとも区分変更はすべきだと考えていますが、単純5類では権限を弱めてしまうので、コロナの知見も集まっていることもあり、新設類型を上記の目的に絞って新設し、現場負担軽減と行政権限行使による医療提供体制の合理化を図るべきだと考えています。

(日本の医療機関)
先ほど医療機関の確保について触れましたがここで深掘りしたいと思います。日本医師会は、国際的に病床が多くて感染者が少ないのに医療提供体制が十分でないことに対する見解を発表しています。欧米は公的機関が多いので行政権限が及び合理的に提供体制を組めると言われます(未確認)が、一方で、日本は8割が民間病院で行政権限が殆ど及びません。メディアで様々なセンモンカが様々なことに言及しますが、結論はコロナ患者受け入れ要請に応じて頂ける民間病院が圧倒的に少ないということになります。理由は様々です。感染症法上の対応ができない、多額の協力金があっても経営の見通しが立たない、他疾患対応のバランスを取る上で受け入れ困難、スタッフから理解が得られない、医師自らその意思がないというのもあります。

メディアではコロナ対応に当たられる医師やスタッフの窮状を目にしますが、受け入れていない医療機関は、通常業務+クラスター等感染予防ということになります。大変さは違う。受け入れていない医院がけしからんという意味ではなく、そもそも医師法で医師には応招義務が課せられており、正当な理由がなければ診療拒否できないことになっているので、正当な理由というのはあるはずです。なので原則主義を適用し、受け入れるか、若しくは受け入れられない理由を開示する、程度の努力義務は考えうるのだと思います。ただこれには反対も多いでしょう。それ以上にやるべきは、合理的なオペレーションです。実体験からすれば、受け入れていない医師でも、協力する準備はできているというのが殆どです。従って、野戦病院と巷では言われているように、専門の病院を丸ごと借り上げるか、市民体育館なり市民会館なりを利活用して、輪番で対応いただく方が、より現実的なはずです。ここは要請ではなく命令にすべきです。命令というと、嫌がる方も多いと思いますが、政府がすべてに責任を持つということになります。

(人流について)
人員が足りないのではないかという指摘もメディアでされます。病床数で見ると、病院全体の稼働率は8割、救急対応が1割、残り1割と言われていますので、余裕があるように見えます。もちろんこれはマクロの数値であって個別病院にはあてはまりませんし、日本は病床は多くても医師はそれほど多くはありません。通常の疾患であれば、この残り1割でも対応可能なはずですが(できないのであれば不要な病床を抱えていることになります)、指定感染症対応では確かに容易ではないと思います。ただ、医師によって余力に大きな差があるのも事実ですので、不可能ではないのだと思っています。

先ほど人流抑制について触れましたがここで深掘りしたいと思います。先ほど東京の人流は恒常的にコロナ前の5割程度に落ちていることを申し上げました。緊急事態宣言では更に1~2割下がるのですが、徐々に元に戻り1カ月程度で5割に戻ります。この5割を仮に岩盤層と言うことにしますと、岩盤層は通勤通学者によるものです。実はオリンピックや夏休みによる人流の影響はこの岩盤層に比べると数%と非常に微々たるものです。逆に言えばこの岩盤層に切り込むと経済的に多大なインパクトが生じるということだと思いますが、医療への負荷を軽減することを目的に必要なことだと考えています。例えば公共交通機関への努力義務を法律で課して利用者にワクチン接種証明書の提示を求めるなどが考えられるはずです。ワクチンを打ちたくても打てない人がいるのに差別が生じるなどの意見もありますが、危険にさらさないことが目的です。

地方移住のススメー介護事業とSDGs

介護施設に勤務する方からメッセージを頂きました。コロナ禍前からの人不足に加え、労働環境は厳しく、疲弊しているとのこと。介護現場の労働環境の改善に向けて努力して参りたいと思います。直ちには、既に流れはできていますがコロナ対応助成事業の拡充、そして賃金(介護報酬)。加えて、テクノロジー利活用による労力軽減、そして究極的に言えば人材。ただ、構造的な問題に切り込まなければ本質的な解決にはなりません。

人口減少問題を消滅可能性都市としてセンセーショナルに世に問うた増田寛也さんが、以前、東京に住むご年配層の地方移住について提言したところ、地方自治体から大きな反対の声があがったことがあります。その理由は、ご年配層の介護医療サービスに関わる負担を地方に押し付けるな、というもの。

介護現場の方々にとっても、担い手が少ないなかで、これ以上利用者であるご年配層が増えていけば、益々疲弊するのではないか、と思うのだと思います。しかし私は、この増田さんの考えは構造的には正しいと思っていました。簡単に言えば、地方移住を進めれば、地方の負担も下がるのではないか、というものです。その理由は何か。

東京は高齢者人口が激増しています。東京は若者の街のイメージがありますが、そもそも人口規模が大きく、当然ご年配層の人数も多い。それに加えて、若年層が毎年東京に流入しそのまま東京に住み着くため、ご年配層は年々益々増え、というか爆増しています。すなわち、既に介護リソースは限界に達しており、新しい施設が所狭しとひしめき合っています。しかし、そのコストは誰が払うのか。利用者もさることながら、税金も投じることになります。

国費であれば東京と何の関係もない地方在住者も払うことになります。国から見れば、東京に施設を新造しご年配を受け入れる場合よりも地方に受け入れる方が遥かに負担は少なくなります。すなわち国民の負担が減るはずです。そして地方から見れば、ご年配層を受け入れるよりも、多くの負担を地方に関係ない東京の新造介護施設に払うことになるのだと思います。ここは、まだデータを確認していませんので、いずれか推計してご報告したいと思います。

ついでに言えば、雇用面の利点もあります。介護事業を行うには若手の担い手が必須です。東京ばかりに介護施設が新造されると、担い手である若者は地方から吸い上げられます。逆に、地方に高齢者が増えると、それに伴って介護事業者の雇用が増えます。また、さらについでですが、消費面の利点もあります。単純に地方移住が進むと地方の人口は増え消費は拡大します。その消費は新たな雇用を生みます。介護事業者のサプライチェーン(というとドライに聞こえるかもしれませんが)が豊かになります。

もちろんご年配層の地方移住促進こそが地方創生だなどと言うつもりは毛頭ありません。本質的には若者の地方移住促進こそが地方創生の主要な政策です。また、東京在住のご年配層に無理やり地方に移住しろという話でもありません。個人の意思が前提です。しかし、どの世代でも東京在住の人の半数は地方移住を望んでいます。ではなぜ望むのに移住しないのかというと、雇用、移動、社会の3つの課題に直面するからです。そのため、政府や地方でそれらの指標化を行って、改善の目標を立て、達成に向けて様々な事業を実施しています。

コロナ禍で地方移住が人気を集めていることはご存じのとおりです。豊かな第二の人生を送る環境という意味で、豊かな地方の介護事業を作っていくことは必要だと思っています。そしてそこには温かさを求めたい。

もちろん既存の地域包括ケアという考え方は本筋として捉えた上での話です。単に施設を作ればいいとか在宅ケアを推進すればいいということではなく、担い手を補助する温かい担い手が第二の職として元気で活躍できる環境、利用者が知人と集い、生きがいを持ってそれぞれが仲間で共に何かに取り組め、支えあえる環境を作っていきたいと思っています。

その為には、介護事業が他の事業者と協業し新しい価値を作ることが必要です。農福連携という方向もあるでしょう。香川県は農福連携分野では全国に先駆けた取り組みを行っています。保育所との連携もあるでしょう。介護保育農業の連携事業を行って成功している事例もあります。あるいは全く異なる分野の事業者との連携もあるかもしれません。その為には多少の保険制度や規制の改正も必要な場合も出てきますが、国としてそうした事業を育成すべく助成事業を拡充すべきです。しかし補助金だけを出し続ける事業は、ほとんどの場合、持続しません。ではどうするのか。

少し難しい話になりますが、持続可能社会とかSDGsという言葉がちまたにあふれています。素晴らしいことですが、重要なことはマネーフローを生むことです。実際に、持続可能社会に資する事業に出資したいと考える事業者なりファンドなりがかなり増えてきました。社会を良くしたいということがもちろん主だった理由だと思いたいですが、持続可能な事業を行わなければ出資を受けられない事業者が増えつつあり、その為に仕方がなく持続可能社会に資する事業を行う必要がでてきたということが背景にあって、新たなマネーフローを生んでいるとも言えます。すなわち、例えば農福商連携などに対する資金環境も今後ますます良くなっていくものと思います。

ではどのような事業がそうした出資対象になりうるのか。細かい話になりますが、そうしたSDGs事業の活動内容の投資家に向けた開示ルールの標準化が必要になるのだと思います。だんだん難しい話になってきて恐縮ですが、投資家にとって良いSDGs活動をやっている事業者に投資したいと思う一方、SDGs事業は多様なため、評価が難しい。

先日、SusLabというSDGsの標準化というか物差しを作ろうと取り組んでいらっしゃる若いベンチャー企業家と意見交換をしました。とても素晴らしい取り組みです。こうした取り組みが進むことで、社会がより豊かになるのだと思います。我々は、こうした事業者が活躍できる環境を作っていきたいと思います。

https://suslab.net/

再び最低賃金について

数年前から最低賃金の引上げを巡り党内で議論されてきましたが、引き上げに慎重な意見が太宗を占めるものでした。そしてそれは今でも変わっておらず、特にコロナ禍で疲弊する産業を抱える現状において、最低賃金の引き上げは極めて慎重であるべきです。

参考までに2年前に書き下ろした記事を引用します。

最低賃金について

先日、政府は早期に全国加重平均1000円とすることを目指す方針を表明しました。正直驚きでした。先の金融機関を使った感染拡大防止協力依頼と同じで、間違っていると言わざるを得ません。

党の中小企業小規模事業者政策調査会並びに雇用問題調査会は、政府に対して、事業者に寄り添った具体的かつ大胆な支援、国民への説明、を強く求めました。ただ、それはそれとしても、最低賃金で生産性を上げるという理屈が間違っている以上、素直に消化できるものではありません。少なくともコロナ禍においてやるべき政策に今は専念すべきなのだと思います。

月面産業ビジョン Planet6.0

直接宇宙とは関係ない民間企業も含め30社以上が結集し、近い将来に月面活動が盛んになることを見越して月面での産業を創出するため、日本全体でビジョンを共有しようと立ち上がったのが、月面産業ビジョン協議会です。Bloombergの報道のタイトルが面白く、「Sonyからカップヌードルまで」というもの。それだけ多様な会社が参画しています。産学政の団体ということで私も脇役で参画しておりました(メンバーは下記資料)。

爾来、数か月に亘り、大勢の参加者のもと(リモート)議論を重ね、過日、月面産業ビジョンとして発表させていただきました。併せて、井上担当大臣に提言書を申し入れました。ビジョン策定の主体は、あくまで参画されている企業群です。そこに最大のかつ過去に類を見ない画期的な価値があるのだと思います。

月面産業ビジョン

目指すビジョンは題してPlanet6.0。Society5.0の次のビジョンを意識したもので、Society5.0とは、私も党調査会PT事務局長として策定に参画した第5期科学技術基本計画で示された目指すべき社会のビジョン。すなわちサイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)と定義されていますが、Planet6.0は地球を超えて他天体も包含する次世代のビジョンという非常に意欲的な名前としています。

ガガーリンが有人宇宙飛行を達成し、アポロ計画が発表されてから丁度60年が経ちました。そしてスペースシャトルが初めて打ち上げられて40年、国際宇宙ステーションから約20年が経ちました。

一方で、日本が、宇宙を科学探査のみならず産業や安全保障として捉えて宇宙基本法を制定してから13年が経ちます。この13年は宇宙空間にとって劇的な変化でした。

最近ではSpaceXのクルードラゴンが有名ですが、国際的に見て、宇宙開発利用が政府主導から民間主導に移った時代です。実際に、宇宙ベンチャーは世界で1000社以上に上り、リスクマネーは1兆円以上と言われ、市場規模は40兆円に達しており、明らかに100兆円市場が見えています。

日本でも、iSpace,Ale,AstroScaleなど、一昔前では考えられないくらいの資金調達を市場から実施している企業も多数あり、未確認ながら日本の宇宙ベンチャーは40社を超えると言われています。

政府や議会も民間の活動を後押しするルール作りを進めてきました。宇宙基本法以降、宇宙活動法や、最近では先に報告いたしました小林鷹之代議士と努力して成立させた宇宙資源法などです。

今こそ、もう一度、なぜ宇宙なのか、なぜ月面なのかを再確認し共有したいと思っています。それは、単に夢とか希望という、それはそれで絶対に必要な価値を超えて、ビジネスの可能性です。アルテミス計画は、その一つの官民結節点でしかなく、それを超えた将来ビジョンです。その一つが今回の月面産業ビジョンだと思います。

このビジョンを政府側にも共有頂き、本格的な宇宙利活用時代になることを目指していきたいと思います。

関連記事

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210713/k10013137381000.html

https://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/2107/14/news060.html

https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-07-13/japan-lunar-council-urges-action-to-secure-lead-in-space-economy

https://news.yahoo.co.jp/articles/9a7277744af5b452b1660109ce011400a2aa46a8

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC08DVT0Y1A700C2000000/?unlock=1

https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00605214

コロナ水際対策

水際対策のオペレーションがかなり複雑で、分からない、とのご指摘を賜ります。確かに、変異株が出現するたびに、また各国の感染状況が変わるたびに、強化したり対象を変えたりしているので分かり難い。その上、政府のWEBの分かり難さは天下一品で、改善要望すれども虚しい。入国当事者であれば国別検索をすることで調べることは可能なのですが、全体像を把握することはまず不可能な構成になっています。

そこで、過去の政府の資料を参考に、現時点で最新の水際対策の全体像を掲載することにしました。いずれにせよ、引き続き、政府には厳格な運用を求めていきたいと思います。

(1)入国は、原則止めており、日本人と在留資格をもつ外国人だけに限定しています。
(2)変異株拡大などで懸念される特定国からの入国については、状況に応じて検査を強化するなど厳格な運用を行っています。
(3)全ての入国者は、出国72時間以内の検査と入国時の検査が求められ、さらに14日間の待機を求められます。
(4)このうち、懸念される特定国からの入国者については、自宅等ではなく検疫所が用意する宿泊施設で待機することが求められ、その国の感染拡大状況に応じて、入国後も検査を複数回求められます。

なお、外国の水際対策の資料を入手できましたので、参考までに以下に添付します。恐らくこれらの国のオペレーションも頻繁に変わることが予想されますので、あくまで参考程度にお考え下さい。



これを見ると、比較対象としている国だけで言えば、入国時も検査を求めているのは日本のほか、カナダとオーストラリア、中国だけで、それほど一般的ではないようです。また、指定施設での停留を求めるのも多くはありません。ただし、資料には載っていませんが、総じていえば、欧米は比較的甘く、アジア圏は比較的厳格な運用を行っているようです。

水際対策の強化に係る措置について(外務省)
水際対策に係る新たな措置について(厚生労働省)
水際対策強化措置に係る国・地域の指定について(要旨)(6月28日)(厚生労働省)

公正さとデジタル化

立憲民主党の枝野幸男代表による内閣不信任決議案の趣旨説明の内容が結構話題になっています。政策としての方向性の問題。立憲は旧民主から一貫して自民党の経済政策をトリクルダウン(会社が豊かになれば人が豊かになり社会が豊かになる)だと断罪し、人が豊かになれば社会が豊かになる、つまり、政府が個人に給付すれば、国民所得が増えるので消費が増え、会社も元気になるから社会も元気になると。

耳障りは良いのですが、森の中で一本の木を見るだけで政治が務まるなら、枝野代表は社会主義だ、と断罪すれば事足ります。しかし、我々はトリクルダウンを採用したこともないですし、社会保障をないがしろにしたこともない。現実の政策構成をご覧いただければ分かるのですが、両方の要素のバランスをとろうと努めています(このバランスが適正かどうかは別問題)。同期で経済政策に最も明るい(性格も)ナイスガイの小倉まさのぶ代議士も、自らのSNS記事の後半で、枝野代表の演説内容は、昔コンクリートから人へが間違いだと気づきコンクリートも人もになったことを想起させるとしています。

http://www.facebook.com/masanobu.ogura.9

そもそも既に30年前にこの手の論争に結論は出されていますし、国民はそうした無益な言い争いを見たいわけではないはずです。

そしてこの問題は、究極的に言えばどうやって再配分するのか、に行きつきます。財政をかけて中間層を厚くする方向はアメリカでも同じですし(というかもっと極端)、実は中国もそのことを意識しています(4億人の中間層)。もはや世界的潮流とも言えます。国力とは中間層の厚さであるとも言えます。そして中間層が厚くないと国力は豊かになりません。問題は、どうやって、というところです。

小倉代議士のページに、小黒一正法政大教授の論説が紹介されていますが、小黒教授は、再配分構造の日豪比較を通じて、日本の社会保障給付の非効率さを指摘しています。つまり、必要とする人に必要なだけ適切に効率よく給付できていない。

http://www.kazumasaoguro.com/20210528Nikkei.pdf

教授曰く、政府による家計への給付のうち低所得者層向けの割合は豪州41.5%、日本15.9%。家計の負担(税+保険)のうち低所得者層の割合は豪州0.8%、日本6%だそうです。単純に鵜呑みにすべきではありませんが、この推計が正しければ、財源が仮に1兆円あったら、豪州の場合は4150億円が低所得者層に向かうが、日本の場合は1590億円しか行かず、また、家計が払う税金や保険は、豪州の場合は低所得者層から80億円徴収しているのに対して、日本は600億円も徴収していることになります。日豪比較でみると、公平さが歪んでいるように見えます。

では、なぜこうなるのかというと、ちゃんと所得を補足できていないから。では、なぜ補足できていないかというと、反対が多いからということになります。英国や豪州では、公正な社会の実現のため、リアルタイムで所得の補足ができるシステムを運用しているのだとか。日本では国民の意識的な抵抗感も相まってデジタル化が進んでおらず、補足もできないから、公正な再配分に至らない。

もちろんこれだけではありませんが、大きな要素であることは間違いないと思っています。

因みに、枝野代表の演説が話題になっている理由は他にもあったりします。例えば、「税率5%への時限的な消費税減税を目指す」としながら「公約ではない」と明言したとか、その減税対象は影響を強く受けるところだとしているので対象範囲の限定は困難ではないか、とか、5%の支援であれば直接給付の方が政策効果は高いのではないか、などです。全否定はしませんが、アジ演説にしか見えないので、そもそも真面目に議論する必要もないかもしれません。、

https://www.nishinippon.co.jp/item/n/755716/

宇宙資源法成立!

本日6月15日、宇宙資源法(宇宙資源の探査及び開発に関する事業活動の促進に関する法律案)が参議院本会議にて可決、成立しました。米国、ルクセンブルク、UAEに次いで世界で4番目となる宇宙資源に関する法律となります。この法律は、昨年2月初旬から同僚小林鷹之代議士と一から構想を練り、法案を起草し、多くの審議プロセスを経て、同僚議員(特に党国会対策委員会や衆議院内閣委員会関係者)や国会関係者(職員スタッフ)のご厚情を賜り、成立に漕ぎ着けたものです。我々に真剣に向き合って頂いた先輩議員の心意気に人間として熱いものを感じました。

この間は、本当に紆余曲折と苦労の連続でした。過密な国会スケジュールの中でどのように審議時間を確保できるのかが最大の問題なのですが、何度も無理だと宣告を受け、何度も心が折れそうになりました。それでも前に進もう!と小林代議士と互いに励ましあい、我がまま承知で先輩諸氏に掛け合い、辛うじて閉会ぎりぎりに間に合ったものです。内容への想いが強いだけに、先輩諸氏への感謝と成立の達成感は一入です。もちろん法律といえども法律で価値が格段に向上するわけではありません。これからが本番だという思いを新たにしております。

内容は、既にご紹介しておりますが、簡単に言えば、宇宙資源を開発し採掘採取した民間事業者に所有権を与える法律です。内容上の困難は、国際法上のルールが定まっていないことにあります。従って、同法では国際法や国際約束との整合性に最大の重きを置いています。

国際法では天体の領有は禁じられていますが、資源についての規定はありません。2015年前後に米国が宇宙資源の所有権を規定する国内法を制定した当時は、直接的な批判が一部の国から出されました。しかし、例えば国際宇宙法学会は、2015年に明確に宇宙資源の所有権は認めうるとの立場を鮮明にしているほか宇宙資源に関する国際検討会議(ハーグ宇宙資源ガバナンスワーキンググループ)でも、現行国際法と整合的な形であれば各国の法整備により所有権は認めうるとの立場で議論が進んでおり、現在では直接的に批判的な意見は国連でも出されていません。そして今月、まさに国連宇宙空間平和利用委員会(COPUOS)法律小委員会で宇宙資源に関する国際ルール制定に向けた議論が始まっています。

こうした国際場裏での議論の動向を注視しつつ、民間による宇宙開発利用が更に発展することを願い、そのために更なる努力を傾注したいと思います。また、本日成立した宇宙資源法を土台に宇宙資源に関する国際ルール作りを日本が主導的に担えるようになると考えています。

法律案作成に当たっては、有識者である青木節子先生、小塚荘一郎先生、水島淳先生をはじめ、多くの関係者から貴重な意見を頂きました。この場をお借りして厚く御礼申し上げます。