【善然庵閑話】自民党機関誌「りぶる」掲載原稿ーすっぴん

 小学校低学年の時であっただろうか、ピアノを習い始めたものの、何が良いのかさっぱり分からないまま、数カ月後には転校することになり、そのままピアノから遠ざかっていた。

 ところが中学校の時である。初めてショパンのノクターン一番を聴いた時、身体の震えが止まらないほど感動した事を今でもはっきりと覚えている。そして感動とは人生に数回起こるものである。二回目の衝撃波が私を貫いたのは、フジコ・ヘミングのラ・カンパネラを聴いた時だ。何が悲しいわけでもないのに涙が止め処どもなく溢れ出てきた。自らのその様を見て笑ったくらいだ。爾来、鍵盤を見つければ見様見まねの独学で叩いていた。

 議員になってからはその機会はすっかり減ってしまった。しかし、未だにピアノの音には魅せられている。地元の後援会の方がその事をどこからか聞きつけ、後援会の総会で突然弾けと命じてきた時がある。正直困った。楽器オタクの範疇を超えるものではなく、人様にお聞かせするようなものではないからだ。とりあえず音を鳴らしたが、図らずもその場は盛り上がった。漫才で言えばボケの役割を果たしたからに他ならない。人間万事塞翁が馬と言うが、何が役に立つか分からない。そんな事を思わせられたひと時であった。

 いずれにせよ、第三の衝撃波が訪れることを密かに楽しみにしている。

りぶる

CS-TBS News Bird「イノベーション総合力強化について」

10月17日、TBSのNews BirdというCS番組の国会トークフロントラインという番組に出演し、日本のイノベーション総合力強化についてお話をして参りました。18日19日とも再放送があるそうです。日本の成長戦略である日本再興戦略では、日本をもっともイノベーションに適した国にすることが主要戦略として掲げられましたが、その主要部分である科学技術イノベーション力総合力の強化のために、何を成し遂げたのか、そして何をこれからすべきなのか、について、議論しました。外交安保の話も少しだけしております。

http://news.tbs.co.jp/newsi_sp/frontline/20141017.html

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宇宙政策は岐路に立たされている

久しぶりに宇宙政策について考えてみたいと思います。宇宙政策は、5年ほど前に大きな方針転換をしました。これまで宇宙というと、科学技術、つまり夢の分野でしたが、夢だけではどうにもならなくなった。だから、科学技術のみならず、産業応用につながる事と、安全保障(もちろん専守防衛)の3本の矢を宇宙政策の基本柱にしました。基本方針である宇宙基本法ができ、宇宙政策基本計画ができ、内閣官房に宇宙開発戦略本部(閣僚会議)ができ、事務方としての司令塔として、内閣府に宇宙戦略室ができた。とても素晴らしいことで、先輩代議士の努力のおかげであると感謝しています。

問題はこれからです。前提は予算に制約があるというところです。

まず第一に、産業応用というけれど、視点はナイスですが、何やるの、というのが明確にない。一つは準天頂衛星。GPSが超高精度化される衛星です。とても意味がある。でもそれを打ち上げたから、宇宙政策は産業応用と必ずしも言えるのかという問題。また、防災衛星という案も一時期浮上しました。とりあえず感が満載です。だからこの部分のレイヤー。つまり、科学技術と産業応用を別物と捉えるのではなく、ここの溝をどのようにして埋めて橋渡しをするのかという戦略を立てなければならないと思っています。そして、産業応用に比重を置くといっても科学技術を疎かにしては絶対になりません。具体的には宇宙科学、国際協調宇宙政策、宇宙探査。全部重要政策です。

第二に、安全保障というけれど、これも視点はナイスですが、どうやるのという問題。昨年すったもんだの議論で国家安全保障局ができて、本当の意味での安全保障の戦略文書が、国家安全保障千戦略という形で発効した。で、それに基づいて、防衛計画の大綱ができ、中期防ができた。でも、宇宙を安全保障の切り口でどうするの、という戦略がない。国家安全保障戦略ができたのだから、宇宙の切り口での国家安全保障宇宙戦略が作られるべきだと考えています。恐らくこれは、宇宙基本計画を更新することで成就されることになりそうです。私は、科学技術と産業応用と安全保障が三位一体となっていくべきだと思うので、宇宙基本計画にこの三位一体戦略を書いて、国家安全保障宇宙戦略文書をつくって、安全保障からみた宇宙政策を書くべきだと思うのですが、どうもそうはなりそうもない。もちろんだからと言って、必ずしも駄目なことはないので、後はどのように運用していくかだと思っています。

第三に予算。中長期の宇宙開発計画があって予算も中長期展望がなければ、民間の会社はそれに投資はできない。技術者も維持はできない。だから、絶対に少なくとも5年、できれば10年の予算計画を策定するべきです。前々回の宇宙基本計画には5年でいくらという規模を目標とすることが書かれてあったのですが、新しい計画には絶対に盛り込むべきです。

第四に、一番重要なことですが、国民に納得できる説明ができること。政策担当者と話していると、ものすごく感じるのが、実は宇宙開発を推進していかなければならないという意味では私とものすごく一致しているのですが、予算をとってきて、前に進めなければいう思いの方が強い。私も宇宙関係の技術者だったのでよくわかるのですが、思いが強いと、分かってくれない人にであったときに、こいつ分かってない、で切り捨ててしまう。政治家になって、それでは駄目だということを肌で実感しているので、このギャップを一生懸命埋めなければならないと思っています。

いずれにせよ、分かってくれない人に分かってもらえるように説明できるようにしておかなければなりません。

【善然庵閑話】信じる心とカラマーゾフ兄弟とエル・サルバドル

カラマーゾフ兄弟。亀山先生の翻訳が世に出てから一世を風靡しましたが、私も時流に乗って本屋に出向いた口です。結局読み切っていませんが、なぜ読もうとしたのかというと、これも随分前に、ITUの事務総長を務められた同郷の内海善雄さんに、名著、仏像ー心とかたち(NHKブック)、を勧められ、それにカラマーゾフ兄弟の話がでてきたからに他なりません。

この仏像の著者(60年代の著書)は、日本人の思想のルーツの1つになっている阿弥陀信仰について、このカラマーゾフの件をひっぱり出してきているのですが、何を言っているかと言えば、現代人(半世紀前の)は西方十万億土で極楽往生できるなんて思っている人は少ない、のだけど、経典を知らずに阿弥陀信仰に根差した日本文学を最高文学と言ったりしている人が多いことの意味を分析しています。

引用されているカラマーゾフ兄弟はどの部分かと言うと、神や悪魔は存在するのか、という問いを、酔っぱらった父親のフョードルがカラマーゾフ兄弟にふっかけるところです。無神論者のイワンは存在しない、と言い、信心深いアリョーシャは存在するという。では不死は存在するのか、という父親の問いに対して、同様にイワンは無いと言いアリョーシャは不死は神の内にあるという。結局、フョードルはイワンの方がもっともらしいと言い、その理由として、もし神がいれば人類は苦労していない、ということを言う。そして、この件の最後は忘れえない表現で終わっている。それは、フョードルが、誰が神などということを考え出したのだ、と憤慨するのに対して、イワンが、神を考え出せていなければ、文明もない、と結ぶところです。

神を考え出せていなければ文明もない。この言葉の意味は実に深い。しかもイワンが言うところ。

じつは、ダン・ブラウンの「天使と悪魔」でも、カメルレンゴ(ローマ教皇秘書長)がラングドン教授(トム・ハンクス)に「神を信じるか」としつこく問いただすシーンがでてくるのですが、それに対してラングドン教授が、正確な言葉は忘れましたが、学者だから信じないけど信じたい心は信じる、という趣旨のことを言っています。

信じたい心というのは、無信心なイワンでも、宗教象徴学という難しい理論家のラングドン教授でも、持っているものだということでしょうか。

信じたい心。夢や希望に通じます。そして吉田松陰は、「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし、よって夢なき者に成功なし」という言葉を残しています。世界一イノベーティブな環境を作る。

今日、エル・サルバドルの素敵な大使が事務所にお見えになり、いろいろな素敵な雑談を交わしましたが、そのあとに想った徒然なることを書き綴ったまでです。

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祝ノーベル賞:改めて科学技術イノベーション総合力について

今年のノーベル賞が発表され3人の日本人が受賞されました。誠におめでたいことです。そこで今日は、科学技術とイノベーション力について、改めて書いてみたいと思います。

 最初に、というか、最初からちょっと脱線させてください。

 第一の脱線は、国家はなぜ衰退するのか、逆に言えば、なぜ国家によって栄華を誇ったり維持できたりするのかについてです。ギボンじゃありませんが、何世紀も前から同じ問いが繰り返されてきました。古代ローマが栄華を誇った時代の、発展的持続可能性の本質的ポリシーは、「勝って譲る」の一言に尽きると塩野七生さんは分析していますが、現代において、なぜ種々の不安を指摘されながらアメリカが大国を維持できてなお国際競争力があるのかといえば、確信をもって言うことはできませんが、この「勝って譲る」の精神、分かりやすく言えば、懐の深さ、があるのかなと思っています。

 第二の脱線は精神力。精神力のみに頼る戦前戦中式の思想は排除されるべきは論を俟ちませんが、がんばることの素晴らしさを今一度考え直さなければなりません。例え話が悪いかもしれませんが、デフレの正体で一世風靡している藻谷浩介先生。ご高話を拝聴したこともありますし、素晴らしい方です。ただ、私の理解不足かもしれませんが、この里山資本主義というのは、間違った方向に進むと、がんばらない文化になってしまう。縮小均衡政策ですね。藻谷先生の主張の柱はミクロ政策ですが、ここにマクロの視点があれば、頑張る社会になるのかもしれません。しかしいずれにせよ、そのままだと、何度も引用している内田樹先生の日本辺境論の結論に近いし(念のためですがこの日本辺境論に書かれている途中経過はすごく好きです)、究極的には丸山真男先生(名著「日本人の思想」も途中経過はとてもいい)の方向なのではないかと思っています。思想淵源というのは、政策を策定する際には非常に重要な出発点だと思います。

 以上を踏まえて、私がずっと考えていること、つまり、アメリカのイノベーション力、つまり、0から1の価値を生み、産業化できて国力となせることの源泉は何か、つまり、日本は大丈夫か、という話をしたいと思います。ちなみに、私は、アメリカが全ての分野で目指すべき国だとは思っていません。ただ活力を創造する源泉がある国であることは間違いないのです。そして、アメリカのイノベーション力の源泉をそのままコピーして導入しても機能するとは思っていません。

 第一に、アメリカは0から1を生む活力があると申し上げましたが、日本にはこれまで100から10000を生む能力はあった。大量生産技術です。コア技術を借りてきてそれを改良する能力。ところがこの100から10000を生む能力は、近隣諸国の方が高くなりつつあるのが世界の現実です。アジアの興隆です。

 であるならば、日本はこれまでどおり、100から10000のレンジを狙い続けていては、衰亡するしかありません。一方で、後に述べますが、0から1を生むためには相当なリスクが要ります。なので、少なくとも、1から100くらいのコア技術、コアコンピタンスを狙うべきなのです。ここに、科学技術イノベーション総合力を大革新しなければならない私なりの真剣な思いがあります。

 例えば、お金の切り口でみれば、日本の研究開発費を見ると世界トップクラスです。が、ほとんどが民間の研究開発費による。で、もう少し分析すると、その民間によるものは、ほとんどが既存技術の改良のための研究開発費(約9割)になっています。つまり、100から10000にしか対応していない。

 例えば、産業と研究の交流という意味で言えば、大学の民間資金活用比率などを見れば明らかに低い。産業が研究に期待していないし、研究も産業のニーズを拾っていない。研究開発効率という、研究がどれほど価値を生んだのかという指標があるのですが、日本は35弱程度。アメリカは40強、フランスは50強。つまり、100から10000にしか対応していない。

 例えば、起業比率廃業比率を見ると、これも米英が10%程度(件数)なのに対して、日本は3程度。明らかに新陳代謝が悪い。つまり、100から10000にしか対応していない。

 だからこそ、1から100のレンジで勝負できる社会構造にしていかなければならないと考えています。

 第二に、将来への投資をしっかりと継続的に確保できているのかという点。社会保障費は毎年1兆円増えていますが、そのために税金を増やしたり借金して充当している。社会保障制度を殆ど変えないまま高齢化を迎えたので、当然負の不安定システムになります。なので、単純に言えば、一人が生む価値を増大させるしかない。できなければ、広義の社会保障制度が充実した温かい社会を築くことはできません。したがって、予算構造を変えていかなければ、レジリエントな社会とはならないのは明白です、というのが第二のポイントです。

 では、研究開発費を増やせばいいのか、というと、すでに日本の研究開発の対GDPは世界最高クラスです。問題は、先にも述べたように、政府支出の割合が少ないということであり、それは増やしていかないと基礎から応用研究が発達しないのは事実です。そして、より本質的には、どうやって資金を供給するのかという問題があります。

 以上ひっくるめて必要なマクロな政策は、国に科学技術イノベーションの司令塔を確立すること、であり、基礎から応用と産業化までを見据えた一気通貫の研究開発を府省庁横断でやり遂げること、であり、さらに0から1をも生めるような革新的かつリスクのある研究をしっかり支援すること、になります。

 党内で科学技術イノベーション戦略調査会という組織があり、私も積極的に参加して参りましたが、以上申し上げたことはここで議論された課題であり、政府には実際に政策として立ち上げて頂きました。一番目の司令塔は、総合科学技術会議の運用を改めていただきました。二番目は、SIPというプログラムを、三番目はImPACTというプログラムを立ち上げて頂きました。

 残る問題はミクロ政策です。

 研究者が研究しやすい環境をつくって、日本の研究開発力をどのように高めるのか、それを産業にどのように結び付けられるのか、という課題です。マクロとミクロはやはり両方やらなければならないと思っています。

 例えば、研究者の事務などの周辺業務を預かる人間が日本の場合は少ない。10人に2~3人といわれていますが、諸外国では6~7人になっている。また、例えば研究に必要な物品役務などの調達は随契できるのは上限がきまっていますが、その額があまりに少なく、研究の世界のスピードにマッチしておらずに競争力を失うという問題もあります。また、研究資金獲得のために奔走する必要があったりします。

 また、研究者の評価をどうするのかという問題、産業化への死の谷を埋めるにはどうするのかという課題、そして今制限されているような安全保障分野などの研究領域にもしっかりと足を踏み出さなければならないという課題、そうしたものも改善しなければなりません。

 この研究者が研究しやすい環境を作って研究開発力を強化するために、6人チームですったもんだの議論をして議員立法で研究開発力強化法を昨年末に作りました。

 ただ、まだまだやることは多い。私なりの代表例を申し上げれば、先ほど申し上げた0から1を生める可能性のあるImPACTというプログラム。画期的です。しかし、もっともっと改善してもらいたい部分がある。

 このプログラムは私も国会で質問させていただいていますが、アメリカのDARPAという組織の思想源流を一部輸入しています。DARPAというのは、国防省の革新的技術を研究するためのファンディングエージェンシーです。ここにファンドマネージャのような人物が何人かいて、全米中を徘徊して回っている。そこで面白いと思った研究には資金を供給する。しかも金はだしても口は出さない方式です。さらに面白いのが、先ほどの「勝って譲る」思想が明確に存在する。

 「勝って譲る」ことを現代的に言えば、「イノベーション力の解放」です。GPSはこのDARPAが巨額の投資をしてシステム確立させたものですが、今に至っては全世界に無料で一般開放している。まさに解放の一例です。また、例えば科学技術力(具体的にはロボット)のコンペをDARPA予算で行っているのですが、優秀と思えば平気で海外研究者に資金を供給することも積極的に行われています。何が起こるかと言えば、優秀な人材が集まる。DARPAとは関係ありませんが、例えば現に先日ノーベル賞を受賞された田中さんもアメリカの国籍をとっていてUCSBに在籍しています。

 つまり、知の集積ができるわけです。研究者というのは世界のいろいろな研究機関に席を置いて研究を進めたりしますが、その移動を地図に落とすと、日本だけすっぽりと取り残されている。知のハブ化が全然すすんでいない。この地図を見て、日本に線が沢山増えればいいなと思っています。

 この知のハブ化のためには、理化学研究所などの主要な国立研究所が、もっともっと威力を発揮しなければならない。だからこそ、独立行政法人などという効率を重視するような枠組みから外してやらなければなりません。これも法案提出を目指しているところですが、STAP細胞の件で水を差された形になっています。

 雑感を書きました。長くなりましたが、目的は、日本を世界一イノベーションに適した国にすることです。

地方創生へ:地元開催決定!増田寛也先生をお招きして

来る11月24日、地元の保守系議会議員の先生方主催(当方共催)で、下記の通り、日本創成会議座長で元総務大臣の増田寛也先生をお招きして、人口減少対策・地方創生に関するシンポジウムを開催する運びとなりました。

ご多忙とは存じますが、奮ってご参加賜りますよう、お願い申し上げます。(参加無料)

人口減少対策・地方創生シンポジウム」(⇔クリックでパンフ)

講師:日本創成会議座長 増田寛也先生

日時:11月24日(祝・月) 13:00~15:00

場所:オークラホテル丸亀(香川県丸亀市富士見町3-3-50)

主催:保守系県・市・町議会議員(丸亀・善通寺・観音寺・三豊・多度津・琴平・まんのう)

共催:自民党香川3区支部、大野敬太郎後援会

問い合わせ:大野敬太郎事務所

 

自民党機関誌掲載原稿「座右の銘」

先憂後楽自民党機関誌の9月30日号の「座右の銘」のコーナーに投稿した原稿です。ご笑読頂ければ幸いです。

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 「先憂後楽」。天下の憂いに先んじて憂え、天下の楽しみに後れて楽しむべし。十一世紀前後の宋の時代に生きた范仲淹(はんちゅうえん)が政争に明け暮れる北宋にあって、為政者の心得として残した言葉です。

 物事には必ず核となる本質が存在し、その本質には必ず皮となる見た目が存在します。皮の見え方は、光の当たり方によっても違うし、見る人によっても変わる。敢えて見たくないとか、敢えて違った風に見たいと思う人もいます。作家の塩野七生氏は、古代ローマのカエサルが残したとされる、「人間は見たいものしか見ない」、という言葉を現代に伝えています。

?現実を見たくないと思えば見えないよう皮を被せ、違うように見たいと思えば見たいと思うレッテルを貼る。そういう政治から本質を突いた良い政治が生まれる筈はありません。だからこそ、本質を見誤らないようにしなければなりません。

 自衛権発動の新三要件が発表され、時代に合致した安全保障法制が議論されようとしています。一方で、徴兵制、海外派兵、再び戦争する国、などのレッテル貼り運動が盛んです。これから議論する安保法制の本質は、今の国際環境に合わせて安保法制を変えることが平和と抑止力を高める、の一点に尽きます。その本質が見えなければ、何を変えて何を守るかさえも見えてきません。

 かつて田岡嶺雲は徳富蘇峰の変節を批判して「説を変ずるはよし、節を変ずるなかれ」という言葉を放っていますが、時代が変わって政策を変えるのは当然です。目的である平和と戦争放棄という節は絶対変えてはなりませんが、手段である説は変ずるべきです。先憂後楽で憂い守るべきは、自説でも組織でもなく、国民という生身の人間なのだから。

第4回目のForumK(東京勉強会)を開催

去る9月17日、都内にて、第4回目となるForumK(東京勉強会)を開催いたしました。多数ご来場賜りましたこと、心から感謝申し上げます。

今回の講師は、日本有数のシンクタンクである国際問題研究所の理事長兼所長である野上義二様。世界の中のシンクタンクランキングを13位まで向上させた方で、外交の現場に長らくいらっしゃったご経験から、世界の動きと日本の進むべき道について、示唆に富むお話を賜りました。

野上義二 日本国際問題研究所理事長兼所長

1966年に東京大学を卒業後、同年外務省入省。国際機関課長、経済局長、OECD代表部大使、外務審議官などを経て、2001年に外務次官。その後、駐英大使、内閣官房参与、日本オリンピック委員会理事などを務めた。高校時代はラグビー部で全国大会ベスト8に進出、外務省時代は論客として知られた。2009年より現職。2014年、米国ペンシルベニア大学が発表しているシンクタンクランキングで同研究所を世界13位(アジア1位)に押し上げた。

次回、ForumKは懇親会となります。12月15日18:00~よりホテルニューオータニで開催いたします。ふるってご参加ください。詳しくは、事務所まで、電話かメールにてご連絡ください。

第4回ForumK-1第4回ForumK-2

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イノベーション:研究からビジネスでモノづくり立国復権

日本のものづくり立国の復権に向け、今日は久しぶりに、イノベーション力強化を考えてみたいと思います。研究から産業の死の谷の問題の一部について触れたいと思います。

先日、東京ビッグサイトにて大学見本市が行われました。イノベーションジャパンというタイトルの展示会で、独立行政法人科学技術振興機構(JST)と新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)が主催しているものです。これまで一度も伺ったことがなかったので1時間弱お邪魔してまいりました。

http://www.ij2014.com/

約400の研究機関等がそれぞれの研究成果をブースで紹介し、約2万人の来場者が見て、実際に100程度の契約につながるそうです。

第一に、研究の話ではなくても、意外と展示会というおは効果が絶大で、中国や韓国などもそこに目をつけ、世界中で展示会場拡大にしのぎを削っています。日本のビッグサイトもあれだけ大きいにも関わらず、世界で言えば見る影もない。なので、展示会場の開設は国際競争力そのものと言っても過言ではありません。そういう文脈で、私も展示会議連に所属し、議論に参加しましていました。

第二に、JSTについて、ここでも何度か取り上げていますが、非常に面白いことに取り組んでいます。JSTというのは、言わば大学や研究機関の研究成果を蓄積している集団だと言えますが、ビジネスとのマッチングという意味では残念ながら弱い。一方で、全国各地にはいろいろな技術をもっている企業がたくさんあるわけで、そうした企業のの情報をもっとも持っているのは地方銀行。そして融資のアレンジもできる。実はJSTは地銀との連携を積極的に模索しており、イノベーションにつながる可能性が広がっています。私もこの流れは非常に賛成ですし後押しを積極的に行っていきたいと覆っています。http://www.jst.go.jp/

第三に、だとしても、実施するのは人間ですので、仕組みを作ったから満足というだけに終わらず、主に地銀の皆様が真剣にJSTのやろうとしていることを理解して協力しあるいは自ら率先してアレンジしていただかなければ機能しません。この部分は肝になると思いますので、これからフォローをしっかりとしていきたいと思っています。

写真は、種々のブースにお邪魔したときの様子です。

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台湾出張with盆栽

9月8日から2泊3日で台湾に、同僚の津島淳代議士、中川俊直代議士、武部新代議士と共に、出張して参りました。台湾は、申し上げるまでもなく東アジアの平和と繁栄のためには非常に重要で、今後この関係を維持し強化していく必要がありますが、正式な外交関係が無いだけに議員外交が特に重要との認識をから昨年の2回に引き続き3回目となります。

概略は、馬英九総統・王金平立法院長・李鴻釣台日友好議連会長・李嘉進亜東関係協会会長・羅坤燦同秘書長・簫長瑞台湾銀行総経理(社長)などと面談の機会を頂き、また経済省中小企業所・同エネルギー局との意見交換をして参りました。番外で、梁悦美アジア太平洋盆栽協会会長の御宅に訪問し盆栽人脈を築いて参りました…(香川は盆栽の生産で有名だったりします)。

詳細は省きますが、馬英九総統からは、台湾故宮博物院展、日台漁業協定、TPPやRCEP、日台EPA、東シナ海平和イニシアティブのほか、広島で発生した土砂災害のお見舞いと、日台間の自然災害に対する減災防災協力メカニズムの構築など、非常に多岐に渡る話があり、表敬だけで終わるかと思っていましたが非常に光栄かつ有意義な意見交換の時間となりました。

王金平立法院長やからも、錦織圭の話から転じて、馬英九総統以上に多岐に渡るお話を賜り、また簫長瑞台湾銀行総経理ほか皆様からも、台湾の現状についてご説明賜りました。今後、こうしたご意見をベースに、日台関係のみならず、東アジア全体の平和と繁栄のために、努力して参りたいと思います。

ちなみに日台双方の人的交流は益々増加しているとのことで嬉しい限りですが、台湾から日本への訪問の内訳は、関東46%、近畿37%、九州16%、北海道12%、沖縄5%で、四国はわずか0.6%だそうです。頑張らなくては・・・。ということで、馬総統ほか皆様にはには希少糖など地元の宣伝もしてきました。

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左:市中での訪問団/右:経済省エネルギー局の皆様と意見交換

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梁悦美アジア太平洋盆栽協会会長のご自宅にて

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馬英九総統との会談

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台湾銀行総経理との意見交換

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王金平立法院長との意見交換会(李議連会長同席)

http://www.roc-taiwan.org/content.asp?mp=202&CuItem=543737

http://a.excite.co.jp/News/economy_g/20140909/sum_Jpcna_CNA_20140909_201409090005.html

http://www.noodls.com/view/64B7887E9DFCD2453C3AFF0D1ADC9B260ED18B1D?9060xxx1411098651

以下台湾総統府発表の記事です。

President Ma Ying-jeou met on the morning of September 9 with a delegation of members of Japan’s House of Representatives. The president briefed his visitors on the current status of ties between Taiwan and Japan, and called for continued cooperation to add further depth to the bilateral friendship.

President Ma noted that this was the third visit to Taiwan since last year by House Member Keitaro Ohno. Mr. Ohno holds a Ph.D. from the University of Tokyo, worked at Fujitsu Laboratories for 11 years, and was a visiting industrial fellow at the University of California at Berkeley, so he is very familiar with the industrial, academic, and public sectors in both Japan and the United States, and is a rising star in Japan’s political arena, the president stated. Meanwhile, President Ma remarked, three generations of the Ohno family have maintained strong friendship with the ROC. Mr. Ohno’s grandfather served in Japan’s pre-war Office of the Governor General of Taiwan, while Mr. Ohno’s father Yoshinori Ohno was born in Taiwan and, during his tenure as Minister of State for Defense (2004-2005), took part in the “two-plus-two” talks with the United States, where he suggested that the Treaty of Mutual Cooperation and Security between Japan and the United States also provide for the defense of Taiwan. The president said these facts all show that the Ohno family has deep and close ties to Taiwan dating back many decades.

President Ma commented that after taking office in 2008 he designated the relationship between Taiwan and Japan as a “special partnership” to recognize the unique nature of bilateral relations, and to promote ties on a wide variety of fronts. Over the past six years, he said, important progress has been seen in economic and trade ties, tourism, and cultural relations, adding that relations are now better than at any time since the severing of diplomatic ties in 1972.

As for economic and trade ties, the president told the visitors that Japan is Taiwan’s second largest trading partner, while Taiwan is Japan’s fourth largest, and important breakthroughs in bilateral ties have been seen in recent years. He specifically pointed out that Taiwan has established a representative office in Sapporo, while the two sides have signed a youth working holiday agreement and the Taiwan-Japan Bilateral Investment Arrangement. In addition, the two countries have inked an open skies agreement, which paved the way for the commencement of direct flights between Taipei’s Songshan Airport and Tokyo’s Haneda Airport. Closer aviation ties have pushed bilateral trade and air cargo volume to new highs, the president stated.

President Ma also noted the frequency of interaction between the citizens of the two countries, remarking that over 460 scheduled flights ply routes between the two nations weekly, with service covering airports in 18 Japanese cities. ROC nationals made 2.34 million visits to Japan last year, while Japanese made over 1.4 million visits to Taiwan. That number set a new high, the president said, further expressing hope that the total number of visits this year will break through the four million mark.

Commenting on Taiwan’s participation in regional economic integration, President Ma stated that in June of this year Japan’s Foreign Ministry Press Secretary Kuni Sato said at an international press conference that the Japanese government welcomes Taiwan’s participation in the Trans-Pacific Partnership (TPP). The president expressed hope that Japan will help Taiwan join the TPP and the Regional Comprehensive Economic Partnership, thereby further strengthening cooperation between the two countries in the area of trade and economic ties.

President Ma also mentioned that Japan responded positively when he put forward his East China Sea Peace Initiative in 2012, then the two countries last year signed a fisheries agreement that has effectively reduced the number of fishing disputes between the two sides from 17 in the year prior to the signing of the agreement to just one since the agreement was implemented. In the meantime, catches by fishermen from both sides have increased, he said. The president stated that this agreement constitutes an important model for resolving international disputes through peaceful means, and is a substantive realization of the principles set forth in the initiative. He noted that government leaders such as US Secretary of State John Kerry, Assistant Secretary of State for East Asian and Pacific Affairs Daniel Russel, and Australian Defense Minister David Johnston have publicly praised the contribution of the fisheries agreement to peace in the East China Sea.

President Ma further explained that Taiwan and Japan have established a standing committee that carries out negotiations on an ongoing basis for recurrent problems. This, he said, ensures that the rights of fishermen from both countries are protected. The president remarked that the “joint conservation and management area” created under provisional measures agreed to by both countries is in line with the provisions of the United Nations Convention on the Law of the Sea pertaining to overlapping economic waters with neighboring nations. In addition, Taiwan and Japan have set out principles which provide for fishermen from the two countries to operate in specific areas and times. President Ma said this has strengthened mutual trust.

The president then commented on the devastating mudslides that hit Hiroshima in August this year, killing over 70 residents and highlighting the great destructive power of natural disasters. He stated that both Taiwan and Japan are located along an earthquake belt and frequently experience typhoons. The two sides, he said, are cooperating on disaster preparedness and rescue, and he called for continued efforts to strengthen their cooperative relationship in this area. The delegation also included House of Representatives Members Jun Tsushima, Arata Takebe , and Toshinao Nakagawa.