STAP細胞と科学技術政策

初当選以来、いくつかのテーマに注力してきましたが、科学技術政策もその一つです。STAP細胞の発表は、私が注力していた政策の遂行上非常に好都合でありましたが、不正の疑義が奉じられてから非常に難航するようになりました。そんな意味で非常に残念でしたし、また注目している案件です。本日、小保方さんが記者会見を行いました。そこでこの問題について想うところを記しておきたいと思います。

第一に、最大の問題は、STAP細胞があるのかどうか。これだけ注目を集めているわけですので、あると主張するのであれば、客観的管理のもとで再度実験を行って説得力のある客観的データを示すべきです。

第二に、不正であったのかどうか。所属元の理化学研究所が既に一部に不正があったと発表したわけですが、研究者とのやり取りがまったく感じられません。本来であれば、研究者自身が理化学研究所に再審査の請求を行い、慎重なやりとりのプロセスのなかで反論の論証を行い公表するべきです。

第三に、本来、論文の本質的なチェックは投稿先のNATUREという世界的権威の雑誌が担います。世界的権威の雑誌ですので当然査読(チェック)も最高レベルです。投稿のチェックは世界中の同業研究者によって行われます。つまり、彼らがどのような反応をこれからするのか、あるいはしないのか、注目すべきです。

第四に、これは本稿の最大の主張ですが、不正撲滅の取り組みのあり方についてです。不正が起きないように一生懸命管理のあり方や論文の書き方や研究記録の残し方を厳格化する努力はわからなくもないですし、最低限は研究者や所属が行うべきですが、本来あるべきは不正を行ったらそれだけ大きな制裁を受ける、という出口の部分の厳格化、厳罰化だと考えます。

例えは悪いかもしれませんが、飲酒運転という不正に対するに、警察官を増やして検問を増やして講習を何度もやるよりも、捕まって飲酒であれば100万円の罰金と免許取り消しとしたほうが、抑止力にはなるはずです。前者は、不正とは無関係の研究者の雑用を増やすばかりです。

なので、不正の疑義が生じた際の不正認定プロセスと基準の明確化、そして不正と認定された際の罰則の明確化と周知徹底が最大の課題であると認識しています。

再び航空政策について

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航空政策について少し雑感とメモを書いておきたいと思います(写真は先日羽田空港を視察したときのものです)。

以前より私は首都圏空港機能の強化を日本の成長戦略の柱の一つとして明記すべきだと思ってきました。具体的には羽田滑走路増設、成田の航空政策を中核とした国際戦略特区化と空港機能強化、そして羽田と成田の戦略的役割機能見直しです。

1.巨額投資について損得勘定はできてるのか?

羽田D滑走路の総工費は約7000億でした。高いですよね。でも、国際収支を見ると簡単に損得が分かります。今、国際収支の中の旅行収支は赤字です。それも大赤字。日本人が海外に落とすお金の方が、外国人が日本に落とすお金より、毎年数兆円多いのです。最近は赤字が減ってきましたが・・・。いずれにせよ毎年滑走路を1本以上作れる額のお金を日本は失っています。(ちなみに羽田に新規に作るとしたら工法の関係で7000億より安くなると言われています)。

2013年上半期の訪日外国人数は約500万人。最近どんどん増えています。D滑走路を作ったこととビジットジャパン政策の効果です。そして彼らがその半年に日本に落としたお金は6665億円。つまり単純計算すると、1人10万円以上落としてます。

2013年は合計の訪日外国人が1000万人を超えました。つまり1兆円くらお金を落とした。そして先日、政府は2020年のオリンピックパラリンピック大会には2000万人、そして2030年には3000万人の訪日外国人を目指すと閣議決定いたしました。しかし滑走路を作らなければそれは現実不可能です。しかしもう1本滑走路を増やし、困難ではありますがその他の諸般の課題を克服すれば3000万人も不可能ではない。

つまり、滑走路新設7000億円の1回ぽっきりの投資で毎年2兆や3兆のお金が落ちるという計算です。もちろんこの計算は穴があります。キャパを増やして本当に訪日外国人が増えるのかという問題です。少なくとも現在も傾向とアジア圏の需要増予測、中東や欧州と北米圏の乗り継ぎ需要を考慮すれば、十分に成り立つ話です。現に、韓国などは、どんどんと空港拡張を計画的戦略的に進めています。

2.東京ばっかりか?

ハブの意味を考えなければなりません。ヒトモノカネの流れは、航空路数の何乗にも比例します。つまり、路線1の空港を10つくるよりは、路線10の空港を1つ作ったほうが、遥かに有利だということです。理屈は簡単で、なぜなら、便利な空港を使いたがるからです。

最近、地方の空港が積極的に海外定期便を飛ばす努力をしています。地方がそれぞれ海外の主要都市(例えば韓国インチョンとか)に定期航路をもつのは、地方に住む人にとって便利にはなります。しかし、国際的に見れば、海外の空港のハブ化を加速することになり、日本全体で考えれば、不利になります。

なぜか。例えばアメリカからみて、羽田に飛ばしても、日本各地50箇所にはいけるけど、韓国やアジア圏の地方都市にはルートがそれほどない。しかしインチョンに飛ばせば、韓国のみならず日本の地方都市も含めてアジアの各地方都市に乗り継げる。当然アメリカの会社はインチョンに飛ばそうとする。益々インチョンのハブ化が進行していきます。地方から見ても、アジアの各地方都市に行くのに羽田やら成田は使いません。就航したインチョン便を使い、そこから各地方都市に乗り継ぐ。

事実、羽田は国内に50路線もっていますが、インチョンは日本国内地方都市に22もの路線をもっています。海外の空港が国内の地方に日本のハブの半分も持っているのです。これが究極に進行すれば、例えば高松から女満別に行くのに、羽田を経由するよりインチョンを経由したほうが安く便利になるかもしれない。航空機燃料税も取られないし・・・。そうすると、ますます日本の富は海外に流出していき、結局は地方も損をする。

つまり国際乗り継ぎ便や地方便も含めて首都圏ハブにもっていくことが地方の発展をも助長することになるということです。

3.成田はどうなるの?

成田と羽田の役割機能分担の戦略が必要になります。成田も機能強化をしていかなければなりません。ここは別途書いてみたいと思います。

4.単純計算の首都圏キャパについて

勝手な単純計算をすると、首都圏の国際線の発着枠キャパは現在、成田の30万回(一部国内線も入ってますが無視します)と羽田の9万回(現在は6万ですが)をあわせて39万回。1機150人として、離発着旅客数キャパは、

(30万回+9万回)×150人=5850万人

ここから、現状の日本人国際線旅行客や乗り継ぎ線利用者を引くと、国際線のキャパがはじき出せます。日本人国内線利用者2000万人の65%が首都圏を利用するとして、乗り継ぎ利用者500万人を考えあわせると、首都圏の外国人国際線旅客数キャパは、

5850万人ー(2000万人×0.65+500万人)×2=2250万人

なぜ2倍かというと利用者が往来(×2)して旅客数になるからです。したがって、訪日外国人の65%が首都圏利用だとして、現在の首都圏訪日外国人キャパは、2250万人÷0.65÷2=1730万人です。

次に、例えば羽田に1本滑走路を作ることを考えます。現在4本の滑走路で44万回(予定)の発着枠なので、1本11万回と仮定します。すると、訪日外国人キャパは、11万回×150人÷0.65÷2=1270万人、になります。以上から、1730+1270=3000万人が達成できるということです。

ただし、3000万人というと、これはまだまだ机上の空論です。なぜならば、現在東京上空は飛べないという空域の問題、1本作ると言っても船舶航路の問題、漁業権の問題などです。また、そもそも上記計算は日本人利用者や乗り継ぎ利用者が増えないことを仮定したもので、当然増えていく、というより特に乗り継ぎ利用者はハブ化のために増やさなければならないので、首都圏には2本、つまり成田1本、羽田1本新たに必要になってくるのではないかという結論になります。

いずれにせよ日本が輝くために必要な政策です。

 

パックスアメリカーナ2 −集団的自衛権

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アメリカには影響力のあるシンクタンクが複数存在しますが、先日、その内の1つであるスティムソンセンターから将来有望な若手研究者が5名お越しになり、自民党の国際局としてお受けをし、魅力的な議論を通じて非常に有意義な1時間を過ごすことができました。

先に書きましたパックスアメリカーナの延長線上の話です。

https://keitaro-ohno.com/?p=2171

この中では、アメリカがいつまで世界の安全保障に関与する意志が続くのか、逆に言えば、アメリカには引き続き強い関与意識をもってもらわなければならない、ということを申しあげました。

アメリカの国力はシェールガス革命やRMAなどを通じて、当面の間は世界一であり続けるはずです。そしてアメリカの潜在的なな脅威は中国の経済的軍事的膨張です。さらにアメリカの一般国民の意識は内向き傾向が加速する一方で、アメリカ政府としては、アジア太平洋に関心の軸足を移すと同時に、中東の関与を粛々と進めなければならなくなります。

つまり、世界の安定がアメリカの発展との認識のもと、安全保障の傘を世界中に提供し続けることはアメリカにはもはや困難であり、米軍の前方展開戦略はコスト的に、よりシビアになるということは明らかです。

以上の見立てで言えば、覇権のコストに喘いでいるアメリカがこのまま覇権を単純に維持するわけはなく、ただでさえ北東アジアの安全保障バランスが崩れかけている現状で、日本として、ただただアメリカの安全保障の傘を空気のように扱っていては、間違いなく日本は危機を迎えるはずです。

であれば日本としては、必要最小限の集団的自衛権行使を可能し必要な法律と装備を整備し、アメリカを国際社会の安全保障に巻き込んでおかなければならないわけです(よく集団的自衛権行使解禁は紛争に巻き込まれるという論がありますが時代錯誤です。これからは巻き込んでいかなければなりません)。

実は現在の急速に厳しくなっている安全保障環境に対応するための方策は、もう一つあります。それは日本が海兵隊機能をもち、空母を調達し、航空戦力を高め、装備を拡充することです。実際に単独の自衛権で安全を保障するためには防衛費を2倍から3倍にする必要があると言われています。しかし、これは妥当だとは思いません。

本日、たまたま石破幹事長のご講話を拝聴する機会がありましたが、まさに集団的自衛権の行使についてであり、大いに納得できるお話でした。今、日本が置かれた非常に厳しい環境のなかにあって集団的自衛権を否定するがごとき無責任なことは、私にはできません。

問題は憲法改正の正式な手続きを経るべきなのか、解釈変更でいくのかです。ここは種々の議論が何十年にもわたりなされてきましたので触れませんが、しかし解釈変更は大きな問題です。私はもともと正々堂々と憲法改正を通じて集団的自衛権の行使を可能にせしめる方法を考えていましたが、ただ解釈変更でも可能な部分はあると思っています。

1.当たり前ですが、全ての自衛隊の行動は法律に根拠があります。つまり、閣議決定で示された方向に従って関係法令が整備されて初めて集団的自衛権が行使可能になること。

2.そしてその行使可能になる集団的自衛権、つまり各法律で規定される内容は、安保法制懇で例示された類型が対象となること。

がんばる中小企業小規模事業者商店街フォーラム

今日から掲題のフォーラムが開催されており、私も見に行ってまいりました。全部のブースは回りきれませんでしたが、いろいろなアイディアが満載です。私の視点は、がんばる企業に国が支援をするとして、全体の活力とお金の循環がうまくいっているのかということです。何回も申し上げてまいりましたが、サプライチェーンやバリューチェーンなどの鎖がこの20年で切れまくっているので、そこをつないでいかなければなりません。立ち寄らせていただいたブースの一部雑感です。

ちこり=海外の産物を日本の産物に

もともと海外の銘産品であるヨーロッパ生まれの”ちこり”。芋の一種ですが、岐阜県の民間会社が、休耕地の惨状をみて、何かをしなければと始めたのがちこり。6次産業化・農商工連携にも取り組んでいらっしゃいます。全く新しい農産品を中心にして農商工連携が進めば新しいチェーンの創造にもつながります。

人口乳房=新しいチェーンの創造

切除を余儀なくされた女性に本当にびっくりするほど精巧な人口乳房を製造している名古屋のベンチャー、池山メディカルジャパン。何度も中小企業の賞を取られていますが、技術志向であり、社会的に非常に意味のあるニッチなニーズを的確に掴んでいる会社です。新しい市場が開けると新しいチェーンが創造されます。写真は、同技術で作られた顔。やばいくらい本物感の高いものです。写真で見ると人口実現(AR)みたいに見えると思います。

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三ヶ日みかん=新しい視点のブランド価値創造

いわゆるキズものになったけど、価値としては全然あるみかん。これを皮ごとまるごと液状にして、様々な商品とコラボするもの。6次産業化の流れです。面白いのは、もともと静岡の会社ですが、逆に静岡には加工できる会社がないことを逆手にとって、地域に特化しないコンソーシアムをつくることによって、逆に多様な価値をみかんによって創造し(いろいろな地域の特産品など:醤油とかタレとかスイーツとか)、それを日本のブランドとして世界に売り出そうというもの。視点の広さに感銘を受けました。

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琉神マブヤー(沖縄のローカルヒーロー):全国よりも海外に

沖縄の中小企業が、いわゆる沖縄だけのローカルヒーローものの撮影を始め、今では沖縄の99%の知名度を誇るそうな。その会社が、中小機構の協力を得て、海外に進出。綿密な分析の結果、マレーシア(だったと思う)で放映を始めるとのこと。これが外圧になって日本全体に広がれば、文化の逆輸入です。全国よりも海外に先に広まるという現象は注目に値します。

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深海8000:東京東信金

深海探査は国家プロジェクトで行っていますが、それとは別に、超安上がりな最新技術で深海の映像を撮影しようとしたプロジェクト。一台数百万円だそうです。興味深いのは、東京の信用金庫が声掛け人で、技術と資金とアイディアとマネージメントのネットワークを構築して実現したものとのこと。本来、こうした流れをどんどん作らなければならないと思います。

大川原染物本舗:香川の会社です:伝統力

もともと獅子舞の油単のお店ですが、その伝統工芸を生かして素敵な商品開発に取り組んでいます。伝統技術は、例えば数学の世界では公理みたいなもので、すべての出発点・中心点になれる世界です。大川原さんのように、伝統というポイントから、いろんな商品アイディアで種々のチェーンを創造していくことも、これからの政策として非常に重要なことだと思っています。

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マッスル:介護ロボット

既に何回もテレビ出演している会社ですので敢えて取り上げるまでもないのですが、種々の規制の網の目に挑戦して商品化に成功している会社です。こうした規制改革は断行しなければなりません。

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最後に我が地元、観音寺市の商店街活性化でいつも大変なご尽力をされている皆様のブースにも立ち寄りました。とにかく人をつなげていく作業。大変ですが、これが街の結束につながっていき、それが活性化につながる。熱い人たちです。

 

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留保せずに国際ルールを守りませんか?

WEDGE誌に刺激を受けて、今日は排他的経済水域における軍事(的)活動について書いてみたいと思います。

実は私が議員に初当選した後に初めて国会の質問に立ったのは予算委員会の分科会。国会対策委員会から質問をさせてあげるからどの省庁相手が良いか連絡せよ、という連絡を頂き、迷わず外務省を選択したのは、まさにこのEEZが気になっていたからです。そして、初めての質問に緊張しながらも、岸田外務大臣に対して議論をさせていただきました。上手く伝わらなかったかもしれませんが、今後いつかは大きな問題になると確信しているためです。

公海はもちろんのこと、排他的経済水域でも、さらに領海であっても、船舶の航行の自由は保障されているとするのが国際ルールです。もちろん領海内では無害とは言えない航行は制限を受けます。専門的には無害通航権と言いますが、これらの概念は国連海洋法条約で示されています。しかし中国は、通行の際には排他的経済水域内であれば事前に通報するよう要求する権利を保持する、とこれの一部を留保しています。

つまり、例えば海上自衛隊が中国のEEZに入っていって弾を一発海に向かって撃ったら中国は違法だと言うが、中国軍艦が日本のEEZに入ってきて同じことをしたら中国は正当だと言うということになる訳です。

私の国会での質問というか問題意識は、そもそも排他的経済水域内の沿岸国以外の軍艦の活動について規定が無いのが問題なので、条約改定に努力するか、それが難しければ、中国の軍艦については日本の排他的経済水域については中国と同様の権利を一方的に主張するか、それも困難なのであれば、留保を見直してもらうよう働きかけるか、それでも難しければ事前に衝突防止の枠組みを作るか、しませんか、というものでした。

とにかく衝突は避けなければなりません。刺激して正当性を与えるようなことも避けなければなりません。自国の領土領海を毅然と守る意志と能力は当然としても、平和が目的なのですから。

中小企業小規模事業者ものづくり商業サービス革新事業

中小企業や小規模事業者の皆様。以前ご案内申しあげました25年度補正の掲題の事
業、つまり、試作品や新サービス開発、設備投資など新しいチャレンジを支援する事
業、の公募が始まりました。受付は2月17日より、一次締め切りは3月14日、二
次は5月14日です。ふるって応募ください。

くわしくは、「みらさぽ」まで。

https://www.mirasapo.jp/

パックスアメリカーナ

パックスアメリカーナ。久しく使い古された言葉ですが、現状の一極集中の国際政治はまさにパックスアメリカーナと言ってもいいと思っています。ただ、覇権国には覇権国としてのコストが必要で、それがいつまでも続くのかという疑問に最近接するようになりました。アメリカ凋落論です。

確かに現在、アメリカの議会は少し混乱しているように見えます。米議会人に接しても、大統領に対する不信が多々聞かれます。もちろん大統領を賛美する議会人などはあまりいないと思いますが、それでも方向性がいまいち見えにくい。外交政策は特にしかりです。

もともと民主党は反戦リベラルのハト派、共和党は強硬なタカ派というイメージがありましたが(と言ってもこれはベトナム戦争前後からですが)、最近これが捩れているように見えます。

捩れというのは、簡単に言えば、共和党が国民世論的に内向きになり、民主党系が政権運営上外向きになっている。共和党がなぜ内向きになっているかと言えば、国民自身が内向きの傾向にあることがあげられます。例えばアメリカ人の38%が国際問題に関与すべきでないと考えているという調査があり、これは戦後もっとも高い数字だそうです。こうした国民の支持を背景に茶会運動というリバタリアンが共和党の中で幅を利かせ、真っ当な外向政策の党内議論ができていないように見えます。一方で民主党は、外交政策上積極政策に出ています。が、これも、例えばシリア問題や日中韓問題などで必ずしも奏功はしていません。

そして、アメリカ人自身が、アメリカは世界の警察官であるべきかについて自ら疑問を持ち始めていることに、政治が明確な指針を打ち出せていない。例えば大統領が強い意志と戦略をもっていたら、方向性も多少は見えてくると思いますが、大統領自身も内向きになっているように見える。

では、専門家の戦略はどうかといえば、これまた割れている。国際問題に、積極関与せよとか、一部限定関与せよとか、撤退せよとか・・・。私自身は、他国のことをとやかく言う資格はありませんが、アメリカは国際問題に積極関与し続けるべきだと考えています。そしてその能力も保持している。問題は意志。

そもそもこうした茶会運動が台頭してきたのは、経済の不信であり、オバマケアであり、特に失業率です。アメリカ政治は日本にいると想像できないほど失業率との相関がかなり高い。アメリカ国民としては、おそらく、自国とほとんど関係ないような海外の問題に手を出すほど余裕は無い、と考えてもおかしくありません。そもそもアメリカは現在、50カ国以上の国に安全保障の傘を提供していますが、確かにあまり関係ないような国も含まれています。

しかし、国際秩序というのは強者がいないと崩れるものです。確かに冷戦期の二強時代より、サミュエルハンチントンが指摘したように紛争は2倍ほど多くなっているようですが、それでもパックスロマーナが成り立ったように、それが唯一無二の最高の政策ではないにせよ、現在の最善のシステムだからです。

そして、これからのアメリカの国力は、シェルガス革命やRMAやらを考えれば、当面の間は高い能力を保有し続けると考えるのが妥当です。中国の台頭を指摘する人もいますが、中国には、アメリカの民主主義と自由みたいな、他国と共有しようとするイデオロギーもその対象国も、この国際社会の中には見当たりません。

問題は、アメリカの覇権国維持コストを現状のパラダイムの中で保有し続ける意志がアメリカにあるかどうかです。そして日本としては、こうしたことに思いをはせ、外交戦略をしっかりと練っておくことです。

和食、そして日本の魚

瀬戸内に住んでいると、魚を自慢したくなりますが、漁業者は漁業者でかなりの努力をされています。そこで今日は水産業について触れ、ついでに25年度補正予算と26年度予算概算要求をご紹介したいと思います。予算関連の事業詳細については各地区の漁協や漁連にお問い合わせいただければと思います。

さて、漁業者。何が一番お困りかと言えば、円安による燃油の高騰が一番。そして資源管理や外国船漁獲による減収。後継者不足、漁港インフラ老朽化などが続くと思います。もちろんこれらの問題については、しっかりとした対策が必要と考えますし、事実その方向で水産庁も予算をしっかり組んでもらっています。

ただ、今後の水産業を考えれば、農業と同じように、産業政策を真剣に考えていくべきであると考えています。つまり経営支援もさることながら、本質的に支援がなくても十分に経営が成り立っていく水産業を目指すべきです。そのためには、農業ではよく申し上げている供給サイドの水産政策から需要サイドの水産政策への転換が必要であると考えています。その中では、資源管理や輸出促進が中心になると思います。

輸出戦略としては、もともと世界需要は増大するわけですので、JETROなどとタイアップし販路を開拓し、またHACCP(ハサップ:輸出にあたっての衛生管理基準)への適合がスムーズになされるような施策を講じ、組織的なマーケッティングや販促をやる必要があると思います。無理というお声も時々聞きますが、絶対にそんなことはない。事実、中国、EU、アメリカ、インドネシアなどで高い伸びを示しています。今後の大きな成長分野です。

資源管理については、既に以下でも触れますが水産庁でも取り組みがなされていますが、今後は漁獲権売買などの仕組みも参考に新しい促進プログラムを検討しなければならないと思っています。

これらについてはいちど真剣に書いてみたいと思います。

さて、予算についてざっくりと見て行きたいと思います。まずはじめに申し上げたいのは、漁業者には、とりあえず「浜プラン」に参加いただきますようお願いいたします。

浜プランとは、浜毎に、漁村の活性化などに対する取り組みを主体的に策定していただき、登録いただくと、浜プランに認定された地域は、いろいろな面で国の補助などで優遇される仕組みです。

その上で、まずは先般通過した補正予算について触れておきます。大きく4つの項目。1つは漁業コストの低減対策でこれが補正の半分くらい。例えば、多くの漁業者がお困りの、燃油高騰対策。既に補助制度はありますが、さらに少燃油対策を講じる漁業者グループに対して上乗せ支援をするなどです。2つ目は他国船が日本近海に出没し漁獲が下がった場合の対策で全体の1/4程度の予算。3つ目は輸出促進や人材育成のための施策。最後に漁港漁村の減災防災対策。施設の老朽化などの対策です。

次に概算要求ベースの本予算についてですが、26年度も資源管理と漁業経営安定対策、加工流通促進、養殖業対策、外国船舶操業対策、そして水産基盤整備(漁港インフラ)が柱になります。

例えば資源管理(操業調整など)の枠組みに参加すれば、漁業共済や積立プラスと同じ枠組みで補償が受けられる制度や、先に述べた補正予算の1番目の経営安定対策、また需要サイド政策としては、流通加工施設の改修支援や輸出促進など。もちろん漁港整備もしっかり入っており、いずれも今年度よりも増額要求となっています。

本当にざっくりとしたご紹介ですが、漁業者が後継者不足に悩むことがないような将来に希望が持てる水産業にしていきたいと考えています。

動画コンテンツをiPhoneでも

動画コンテンツ「敬太郎チャンネル」をiPhoneでも見れるようになりました。iPhoneの標準ブラウザ、Safariでコンテンツを閲覧しようとすると、上手く動作しない場合がありましたが、解決しました。PCなどでSafariをご利用だった方もこれから見れるようになります。引き続きコンテンツを充実させていきたいと思いますので、今後ともよろしくお願いします。

香川県の経済雇用情勢

我が地元、香川県の経済雇用情勢について考えてみたいと思います。と言ってもほとんど自分のメモ用なので大したことは書いていません。

さて、私の地元に帰ったときの肌感覚と統計情報にはずいぶん差があるものだと感じざるを得ません。

香川労働局の雇用統計や香川の日銀短観を見る限り、総じて景気状況は堅実に回復していると言えます。公共投資は経済対策の影響で増加、住宅投資は消費税駆け込みで増加、設備投資は確実に伸びていますし、先行指標である設備投資計画や機械受注は十分に持ち直しています。これは公共事業中心の景気回復から徐々に民需による景気回復に移行しつつあることを示しており、全国と傾向はそれほど変わりません。

業況判断DIは、+11(全国+8)。売上高対前年度比は+5.8%(全国+3.4)、経常利益対前年度比も+13.6%(全国+17.3)。設備投資額対前年度比も+10.1%(全国+4.5)と、全国との有意な傾向の違いは見られず、おおむね堅調な回復を示しています。

また、昨年12月の香川労働局発表の雇用統計によれば、香川の有効求人倍率は1.39(全国1.03)倍。1年前に比べると0.3ポイントほど上昇。2年前から1年前はほとんど変化していないので、この一年で回復基調に乗ったといえます。

ちなみにもともと香川の有効求人倍率は高い傾向にありますが、これは平野部が多かったり道路舗装率が高いなどの理由で一人当たりの店舗の数が多かったり売り場面積が広いためであると言われています。またハローワークを通じての求人をする意識がもともと高いとの話もあり、必ずしも全国との比較で正確な経済の実態を表しているかどうかは分かりません。ただ時間軸の中での基調を見れば、経済が香川のマクロ数値としては明らかに好転していると言えます。

その他多くの指標が回復基調を示しており、繰り返しますが数字で言えば全国と同じ傾向にあります。つまり肌感覚との違いは、全業種に浸透していないということなのでしょう。この業種間のチェーンをしっかりと結ぶには多少時間がかかりますから、これから補正予算でだす中小企業対策や、防災減災対策などをフル活用していかなければなりません。