リスク(責任)を取れる社会へ=イスラエルやDARPAに学ぶ

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(写真は2030年のあるべき国家像を議論する自民党国家戦略本部の会議の様子。敬愛する同僚衆議院議員鬼木誠先生のFACEBOOKから無断で拝借しました・・・)

ということで、昨日の「リスクマネジメントとリスクテイク」の続きになりますが、どうやったらリスク(責任)を”負う”のではなく、リスクを”取って”安定成長を目指す社会への軌道に乗るのか、乗せれるのか、という議論をしたいと思います。

イスラエルに注目しています。この国の戦略は何度かこの場で触れていますし、いつか本格的に書いてみたいと思いますが、米国のシリコンバレーあたりのハイテク企業がこぞってイスラエルのハイテクベンチャーを買収するという動きが続いています。

フェイスブックはスマホ用データ圧縮管理アプリ企業であるオナボ社を買収しましたし、グーグルはスマホ用地図情報アプリ企業のウエイズ社を約1000億円という破格の高額で買収しました。アップルもIBMも、マイクロソフトもインテルも、その動きを強めています。今話題の3Dプリンタでも世界シェアトップはイスラエル企業のストラタシス。そこも米国と合併した。また別の話題のぶつからない車の車載カメラシステムもイスラエル企業(シェア9割)。スマホをパッドにおくだけで充電できるパワーマットもイスラエル企業。MS社のXboxのキネクトもイスラエル新興企業の技術。このあたりは、シャウル・シンゲルの「アップル、グーグル、マイクロソフトはなぜ、イスラエル企業をほしがるのか?」に詳しい。

米国企業のイスラエル企業買収総額は2012年は2011年の3倍である3000億円にもなっていますので、今年はもっと多いはず。そして韓国のサムスン電子やLG電子、中国の華為(ファーウェイ)、ドイツのシーメンス、オランダのフィリップスも、同じ動きを昨年から始めています。

その心は、買収すればイスラエルに研究開発拠点を築けるから。人の流れと技術の流れのハブを世界規模でよく見ている証左だと思います。このことは、アレキサンドリア図書館のところで触れました。

https://keitaro-ohno.com/?p=33

一方で日本のプレゼンスはイスラエルではきわめて弱い。当たり前です。日本は未だにイスラエルをきな臭い国としか見ていない。資源のない国はアラブ諸国と仲良くしないといけないから、イスラエルとは付き合ってはいけない、という雰囲気が無きにしも非ずなのではないかと見ています。日イスラエル貿易はきわめて少ない。

まったく時代錯誤。時代は進んでいます。日本もイスラエルに学ばなければなりません。幸い、日本にも、サムライインキュベートの榊原社長のようにイスラエルに住んでまで学ぼうとする若き起業家がいるのは頼もしい限りです(WEDGE2014年2月号参照)。また、佐藤優さんの先見性ももっと社会に認知されるべきです(みるとす2013年3月号)。

ではなぜイスラエルは斯くもハイテクベンチャーが多いのか。私は以下のように見ています。

・資源が無い小さな国で成長するためにシンガポールがとっているようなハブ戦略は絶対にイスラエルは取れないので(ある種敵に囲まれている)、そもそも危機感が強い。

・敵に囲まれているからこそ、軍需が盛んになり、リターンを求めない先行投資が可能。

・ベンチャーキャピタルが発達している。

つまり、リスクを文化というか、リスク(責任)を取らざるを得ない環境がある。取らないと滅びるという悲しい現実があるからだと見ています。

アメリカの国防総省にDARPAという組織があります。何度も触れていますので、詳しくは触れませんが、これぞまさしくリスクを積極的にとる文化だと思うのです。だからアメリカからはインターネットやGPSが生まれる。

DARPAは最近、ロボット技術コンテストを実施した。なんと最高評価は日本に与えられた。SCHAFTという企業というか組織ですが、問題は、このSCHAFTがDARPAに認められた直後に、どこの会社がSHAFTを買収したかと言えば、グーグルです。折角の日本の技術がアメリカに吸い上げられる。まさにリスクをテイクしていく文化の有無が将来の命運を分ける構造です。

今年から、日本でもDARPAに似た構造を導入できる運びになりました。私も昨年通じて結構議論に参加させていただきました。Impactというプログラムで、550億円の先行投資を行う。私としてはまだまだ不満なところもありますが、第一段階目としては良いのではないかと思っています。

輝かしい国にしたい。

がんばっていきたいと思います。自民党で2030年のあるべき国家戦略を策定しようという組織が存在します。国家戦略本部という名前で、私もそこの主査を勤めさせていただいていますが、あるべき国家像を描き、そこからバックキャスティング手法でやらなければいけないことを策定する。私はそこに、リスクを負うのでなく、取れる社会というのを、一つのキーワードとして入れていきたいと思っています。

とにかく、輝かしい国に。

皆さん是非一緒に考えましょう!

リスクマネージメントとリスクテイク

リスクを取れる上司と、責任を回避する上司と、どちらがいいですか。

リスクマネージメント部門を設ける企業が多くなりましたが、そのリスクマネージメントとは何か。企業が社会から責任を追及されないようリスクを回避することなのか、あるいは、企業行動が結果的にもたらす社会へのダメージをコントロールすることなのか。本質的には後者であるべきですが、前者も多いような気がします。

JR北海道。どういうリスクを誰が何の目的でどのようにマネージメントしていたのか。深く考えさせられる事件です。

リスクマネージメント部門にいた人を見ていると2種類に分かれるような気がします。後者の人はリスクを取って責任も引き受け社会を切り開くタイプ。前者は自分を守ることに精一杯でリスクを恐れ責任を回避し自分で決断しないタイプ。

以前、地元の企業の社長さんがいい言葉を教えてくれました。俺が責任をとるんだから、君たち従業員は俺が責任を取れるように責任を持ってくれ、と。こういう企業だと何となく安心できます。

そしてリスクを後者の意味のマネージメントしながらテイクできる企業が増えていかなければ社会は前進しない。だから政治はテイクできる環境を作っていかなければならないのだと思います。

自信という名の政策ー中小企業などのあらゆる地域産業について

全員が「どうせ駄目だろう」と思っていては、絶対に駄目なのです。ですから、皆様方におかれましては、是非、ご自身を信じて日本復活を共に歩んで頂ければと思います。

年末より暫く地元で慌しい年末年始を過ごしておりますが、やはり感じるのは景気感の報道との乖離です。もちろん、各種機関から報告されている指標を見ると、大企業から小規模事業者まで間違いなく景気は好転しているのですが、全国津々浦々、全事業者には浸透していません。

「今んとこ、ワシ等とは関係ないけど、頼むわのぉ〜」。期待も滲んだ地方の現状を訴える声を良く頂きます。

私自身、大胆な金融政策と財政政策の他に、選挙前からお訴え申し上げてきた点があります。それは、活力の流れです。活力の流れを変えていかなければならない。

過去の失われた20年の間に、サプライチェーンやバリューチェーンは寸断されてきました。したがって、大きなマクロ政策を組んでも、昔のようにすぐには全国津々浦々すぐに浸透しない。根っこには「どうせ・・・」という疑心暗鬼と自信喪失があるような気がします。

だからこそ、私自身は中小企業や小規模事業者、はたまた農業や水産業も含めての地域の全産業を応援する政策、つまりミクロの政策が大切だと思っています。これをやってこそ、マクロとミクロをつなげられて、所謂アベノミクスが奏功するものだと確信しています。

昨年、政治サイドも官僚サイドも一緒になって随分とこの中小企業政策の餡子を詰め込んで参りました。まだまだ不足だと思われる向きもあるかもしれませんが、是非一度覗いていただければと存じます。

例えば、中小企業庁には、中小企業・小規模事業者の未来を応援するという意味の、「ミラサポ」というポータルサイトを開設していただいております。是非ご参照ください。

http://www.mirasapo.jp

また、来年4月から消費税があがります。価格転嫁対策室を経済産業局に設けていただいております。是非ご参照ください。

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2013/131002bessi.pdf

また自民党では全省庁横断で地方活性化に資する国の政策を纏めた冊子を作成しております。お入用の方は是非事務所までご連絡ください。

現状ではまだまだ公共事業主導の景気回復ですが、徐々に民需主導の景気回復路線に乗りつつあります。ポイントは設備投資。今年度末までには民間部門の設備投資もプラスに転じるように誘導していかなければなりません。先に申し上げた地域の自信を取り戻せる政策が必須です。

その後は、日本の起業率の改善。リスクをとってビジネスを創める方々をしっかりサポートし、日本の元気を育てなければなりません。イスラエルは起業率が非常に高い。廃業率も高いのですが、新陳代謝が激しい。源泉にあるのはテクノロジー。だからというわけではありませんが、科学技術もイノベーションの中核です。

雑駁なことを申し上げましたし、まだまだ書き足りないことがたくさんありますが、とにかく、今年と、遅くても来年までが日本の勝負です。正念場です。なぜならば、今の政策は何年も何年も続けられないのだから。

そして、もう一度申し上げます。全員が「どうせ駄目だろう」と思っていては、絶対に駄目なのです。皆様方におかれましては、是非、ご自身を信じて日本復活を共に歩んで頂ければと思います。

後援会に関するページをリニューアルしました!

team敬太郎 – 後援会に関するページをリニューアルしました。メールニュースの配信や、後援会の入会、自民党入党、勉強会などをご案内しております。

またまだ至らぬ点あろうかと存じますが、何卒末永く、あたたかくご支援賜ればと存じますので、宜しくお願いします。

今後ともご指導ご鞭撻の程、宜しくお願いします。

https://keitaro-ohno.com/?page_id=2083

新年のご挨拶

 午(ウマ)年の新年を迎えました。謹んでお慶び申し上げます。皆様の御祈願されたことが、駿馬の如く成就される一年になりますよう、心からご祈念申し上げます。

 この日本という国を、20年以上も包んできた閉塞感という名の得体の知れない霧が、少しずつ少しずつ薄らいでいくことの喜びを実感しつつ、その実感を、山積する課題に立ち向かう原動力に変換しながら、微力ながら世のため人のために尽くす喜びを感じております。

 「敢えて遅れたるに非ず、馬進まざればなり」。魯の時代。敗走兵を率いていた孟之反が、自ら進んで馬を遅らせ、最後尾に回って追っ手と一戦交えてそれをかわし、敗走兵を無事に逃した後に、配下の兵に言った言葉です。「いやぁ、別に私がやろうと思ってやったんじゃないんですよ、馬がぜんぜん進まなくてねぇ」。論語に収められている話です。

 論語を生んだ彼の国は、文革を通じて別の国に変り果て、今では我が我がと前に出ることをよしとする。それが良いとか悪いとかは論じませんし、孟子や孔子を語ったところで国が必ずしも良くならないのは、既に文明開化のころに福沢諭吉翁が文明論之概略で仰っていますが、それでも凛とした日本らしい日本でありたいと、馬に乗りて背筋を伸ばしたる騎手を想像したりしています。

 旧聞に属しますがその昔、路上喫煙が話題となり、禁煙を条例化する動きが加速していた時代、マナーからルールへという標語を見たときに、若干背筋に寒気が走ったことを今でも記憶しています。自らを律するもの。それがなければ政治は機能しない。源流は法治。ルールに自らを律するものを求める態度は当然であるとしても、馬進まざればなりと思う謙虚さは、マナーでもあり決して忘れたくない態度です。

 今年一年、改めて騎手の精神で自らを律する大切さを肝に銘じ、汗馬の労を厭わず頑張って参りたいと存じますので、引き続きご指導ご鞭撻を賜りますよう心からお願い申し上げまして、私の新年のご挨拶とさせていただきます。

【善然庵閑話】数学と音楽の美学と研究開発法人制度

18世紀くらいにオイラーという偉大なる数学者がいました。実用上有益な数学です。数学をかじった人なら必ず知っている人です。この人がいなければおそらく、アポロやはやぶさはおろか、テレビも生まれていないし、ビルの耐震設計もできなかったのではないかと思っています。

人類史上最も多くの数学論文を書いた人。

数学のやりすぎで両目を失ってもなお、雑念にとらわれる必要がなくなった、と、更に数学に没頭してしまう人。

このブログで過去に触れたことのあるロシアの女帝エカテリーナ2世の治世にロシアに生きた数学者で、先日のマキャベリ・アンチマキャベリで触れたフリードリッヒ2世など、世界を魅了した為政者の支援を受けながら、ひたすら数学に没頭した人です。

果たして当時の技術水準で、オイラー数学のこれ程までの内面の実用上の素晴らしさについて気づいていた人がいたかどうかは甚だ疑問ですし、フリードリッヒ大王が今の技術水準を予想したとは思えません。しかしそれでもこうした為政者が、いくら当時天才数学者の名前を縦にしていたとしても、何に役に立つかわからないオイラーに莫大な研究資金を供出し続けたことは無視できない史実です。

ここで触れておかなければならないのは、今、日本で研究開発法人制度が議論されていることは申し上げましたが、効率性を重視する独立法人制度のもとに置かれては、有効に機能しないのは目に見えています。フリードリッヒ大王とオイラーの間に、効率主義者が官吏としてい間に入っていたら、おそらく微分積分もここまで進歩はしていません。

さて、今回は、善然庵閑話シリーズなので余談がメインです。

何を言いたかったのかと言うと、数学の美しさと音楽の美しさの共通点です。実はこのことは私の大学の親友(白血病で残念ながら他界してしまいましたが)とよく議論していました。で、先日、まさにそんなタイトルの本を見つけてしまいました(人生を変える数学そして音楽)。

著者は中島さち子さんという高校生のときに世界の数学オリンピックで金賞をとった東大理学部数学科卒の女の子で、現在30歳台。堅物かと思ったら文体も気さくな感じの普通の女の子に見えますし、何と言っても、社会人になって何をやっているかというと、ジャズピアニスト!成人してからジャズに取り憑かれたとか。

曰く、例えばオイラーの公式に、Σ( 1 / nˆ2 ) = πˆ2/6というのがあると。nは自然数でΣは級数、πは円周率ですが、なんで自然数の級数からπという円に関わる数字がでてくるのか。不思議じゃないですか?これはとても美しいと感じてしまいます、と。もちろん私がダイレクトにこんな疑問を呈すると変人扱いされて政治生命が絶たれる危険性がありますが、実は同じような感覚をとてもとても多くもっています(やばい?)。

この公式は世界で最も美しい公式とも呼ばれているものですが、素数を論じる空間を想像すると想像できる公式です。難しく聞こえるかもしれませんが、素数というのは普通の縦横軸で表現できて、公式が描く図形をこの空間上で想像するだけなんです。それが美しい。美しいと感じれるかどうかは感性の問題かもしれません。

そしてこうしたオイラーの美しさは、後に振動工学などに非常に役に立つことになった。なぜかといえば、振動は、円周をぐるぐる回るのに似たりだからです。で、振動というのは、音楽の音に直結する。

だから音楽も同じ美しさをもっている。大学の友人と語っていたのはそのことで、例えば音の周波数と音階を数学表現すると面白いことに気づく。ドの音に最も親密なド以外の音は、3倍周波数のソであり、次に5倍周波数のミであり、次に7倍周波数のシ♭。合わせて弾くとメジャーコードであり、セブンスコードになる。和音には数学的美しさもあったということ。一方で悲しく聴こえるマイナーコードと数学の関係はよく分からないという結論になった。分からないから美しいとという結論にもなった。

前回の、ぜんぜんあかんわ、でも書きましたが、やはり感性は大切に磨いていきたいと思っています。

年末を迎えて農政を考える

今年一年でずいぶんと多くの議論に参加させていただきましたが、あえて今年最後の記事としては農政を取り上げたいと思います。

というのも、他の分野と同様、大きな方針転換があった分野だからです。財政金融政策や外交安保政策などの方が大きく報道されてきたような気がしますし、私自身もそういう分野の書き込みばかりしてきましたが、実は農政も非常に重要な転換がありました。

私の視点での最大のポイントは需要サイドの農政に転換しつつあること。私が政治の世界に飛び込んで以来、たった1つだけのことをずっとお訴えし続けてきました。ブログでも何度か書きましたが、それは生産調整をやったり戸別所得補償とやらをやったりというのは、それ自体が全く誤りだとは言いませんし、社会政策としては正しいのかもしれないけど、産業政策としては間違いではないか、むしろ需要を喚起する方向にお金をつかった方が良いのでは、つまり供給サイドから需要サイドへの農政、ということをお訴えしていました。

端的に言えば日本が世界に誇るべき農産品を世界に輸出することであり、また6次産業化です。

そして何のことは無い、私ごときが考える事でしたのですでに皆様もお考えであったようで、国会で特段の運動をすることもなく、大方針として決まりました。

今から少し長くなりますが、全般の説明をしたいと思います。もしご関心があるようでしたら、先般発表されましたプランをリンクしますのでご参照ください。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/nousui/pdf/plan-honbun.pdf

1.現状認識

敢えて言うまでもなく、例えば20年前という私が社会人になった時代に比べると、農産品生産額は3/4に、就農者は1/2に、そして就農平均年齢は10歳上がって66歳になりました。改革まったなしです。

ただ悪い点ばかりではなく、世界需要でみれば、人口が例えば2050年までには今の1.3倍に、そして当然食料需要も増えるわけで、例えば過去の10年で中国の大豆輸入量は4.5倍に上がってきたそうです。

2.産業政策と地域政策

農政の視点として改めてこの二つの切り口が柱になりました。別の観点から言えば、この政策に直接かかわりがなければ止めていくということです。

例えば減反政策。地域政策と言えなくもないけど、生産調整、つまり供給量の調整による価格の調整は直接的に地域政策にはならない。ですから今後5年かけて廃止の大方針が打ち出されました。

個別所得補償も来年度から半額の7500円にし、5年後には廃止。これは、細かいことを言わなければ、頑張ろうが頑張るまいが、面積あたりに支給する方針なので社会保障のような政策になってしまう。農地を守る地域政策でもなければ産業政策にもならないのでこういう方針だと理解しています。

2ー1.産業政策

地域の潜在力に加え、先ほどの現状認識で触れたような世界重要の増加や、多様な主体の参加と、大きなトレンドである食料品価格の上昇をしっかりと睨んで、稼げる農業、強い農業の構築をする必要があります。必然的に、今までの供給サイドだけではなく、需要サイドの農政、そしてその需要と供給をつなぐバリューチェンの強化です。

1つめの供給サイドの構造改革としては、担い手への農地利用の集積のための農地中間管理機構(農地バンク:すでに立法化済)の立ち上げが決定されています。そして就農促進のための種々の政策を強化することになっています(青年就農給付制度など)。

2つめの需要サイドは世界市場を睨み輸出の倍増(1兆円)を目標とします。私の夢は地域の農協や組合が直接貿易実務とマネージメントを担える人材を雇い、それが直接アジア圏に出張に行って商談をまとめ、例えば組合員を集めて「来年の商談をまとめてきたから来年農家の皆さんがんばってね」と言える地域の制度を創設することですが、いずれにせよ輸出政策。直接輸出補助を行うとWTOなどに引っかかってくるのでできないとしても、ターゲットとなる国に合わせた何かの設備が必要なのであればそうした補助を創設することは考えなければなりません。

そもそも和食がUNESCOの無形文化遺産になったわけですし、和食は世界的にブームになりつつあるので、必ずしも価格競争力がないとあきらめることは慎むべきであると考えています。

3つめのバリューチェーンは主に6次産業化です。農政ファンドの創設や再生可能エネルギーなどの導入促進、生産流通の高度化や地域のブランド力強化などが盛り込まれています。私自身は、既存の農家に突然そういうことを担ってほしいと言っても無理だと思うので、まずはそうした人材を紹介したり育成したり、またそうした人材の雇用に助成制度を導入する必要があると思っています。

もちろん医療や福祉や学校などとの連携によって新たなニーズを開拓し、または対応していくことも絶対的に必要だと思っています。

2-2.地域政策

稼げる農政ばかりでは農業は継続できません。供給源をしっかりと守ることも絶対に必要です。農家という人間ではなく、農地やその地域をしっかり守るために必要な施策は継続・強化もしくは新設すべきは当然です。

まずやらなければならないのは、こうした根本的な問題について、国民の理解を得ること。安心安全な食料の供給源確保は社会コストであるということについて消費者理解を浸透させることが必要です。

その上で新設された制度としては多面的機能支払制度です。日本型直接支払制度ですが、これは従来からあった水路や農道整備などの資源向上のための支払制度の拡充に加え、法面整備などの農地維持についても支払制度を拡充したものです。

2-3.その他

産業政策と地域政策の柱にしたがって組み替えたわけですが、かといって大手を振って完璧な制度になっているかといえば、私はそうは思っていません。それは例えば飼料米対策のための補助制度の拡充。

これは理想と現実のギャップを埋めた制度であると理解しています。大胆な改革に伴うリスクヘッジの意味合い、食料自給率改善のための方策、飼料需要者負担軽減など、トータルとして考えた現実的オプションであると考えます。具体的に言えば反あたり8万の補助であったものを、反収に応じて増減させる。さらに多収品種への取り組みや藁利用などの取り組みに対しても補助が上乗せされるので実質米とコンパラの所得が得られる制度です。

こうした飼料米政策以外にも、割り切れない政策はありますが、十分に社会の中で十分に理解の得られる制度であると理解しています。

3.農政のこれから

まずは2-3で申し上げた政策の出口戦略を早急に検討すべきであると考えています。あと20年たったときに私は60才代。そのときに、安定した農業が産業としても地域の風景としても維持されるような制度を今築いておかないと手遅れになると感じています。

少し書きなぐった感じの雑駁な乱暴な議論をしましたが、以上が現時点での農政の方向と私が考えている視点です。

ForumK in 香川-新年会を兼ねて

先般は東京で忘年会を兼ねたForumKを開催いたしましたが、このたび新年会をかねてのForumKを香川で開催する運びとなりました。皆様奮ってご参加賜りますようお願い申し上げます。

ForumK-大野敬太郎君を励ます会-

日時:2014年1月26日(日) 午後6時より

場所:オークラホテル丸亀2階 鳳凰の間

会費:20,000円

詳しくは事務所まで気軽にお問い合わせください。

 

フォーラムK懇親会を開催いたしました

東京にてフォーラムK(大野敬太郎を囲む会)のささやかな懇親会を開催しました。年末のお忙しいところ、ご来場賜りました皆様には厚く御礼申し上げます。

改めて我がふるさと我が祖国のために、謙虚に真摯に大胆に、微力ながら誠心誠意、尽くして参りますことをお誓い申し上げます。

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高市政調会長には過分なるお言葉を賜りました。

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新人同期当選の仲間たちと先輩議員の先生方に恐縮ながらお励まし頂きました。

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石破幹事長にはご多忙の折、身に余るお励ましをいただきました。

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気心知れた同僚の愉快な仲間たち。

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いつも気にかけていただいている衛藤征士郎先生にも過分なるお言葉を賜りました。

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古川財務副大臣。初当選以来、何かとお心遣い賜っています。

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外務部会長。最近富にお世話になっています。

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香川県を代表して県連会長、平井卓也先生にご挨拶賜りました。

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司会をしていただいた同僚福田達夫さんと打ち合わせ中。話していると首が痛くなるのが難点。行き当たりばったりの現場対応臨機応変の司会をありがとう!

 

 

【善然庵閑話】マキャベリとアンチ・マキャベリ

議会で議員の議論を聞いていると、与野党を問わず面白いことを発見することがあります。さすがそれぞれいろんな苦労をされ、いろんな人生訓があったり、いろんな勉強されているんだなと思わされます。

先般も中山泰秀先生の国会論議を拝聴していたところ、「軍事なき外交は楽器なき音楽だと言われる」と仰った。委員会が終わり誰の言葉か伺ったところ、プロイセンのフリードリッヒ大王だとのこと。

フリードリッヒ大王と言えば、昔ハプスブルク家に凝っていたときに出てきた人だなぁと思いながらいろいろ調べてみると、更に面白い発見をたくさんすることになった。フリードリッヒ大王はハプスブルク家のマリア・テレジアの宿敵だった人なのですが、あるべき君主像が意外と面白い。

フリードリッヒ大王の時代にさかのぼること2世紀、メディチ家の時代に活躍したマキャベリという政治思想家がいましたが、現代でもマキャベリが語り継がれるのは、その著書「君主論」があるためです。いわゆるマキャベリズムで、それは何の事かと言えば、リアリズムを追求せよということ。むしろプラグマティズムと言ったほうが良いかもしれませんが、とにかく目的は手段を正当化する、という考え方。塩野七生さんもよく引用されています。

そしてフリードリッヒ大王は、そのマキャベリズムを真っ向から否定するアンチ・マキャベリズムの本を出版しています。何を書いているかといえば、マキャベリは政治を堕落させ、健全な道徳を破壊しようとしたと批判。策に対しては徳、情念に対しては理性の優越とし、正義こそ君主の主たる目標であり、人民の福祉こそ他のすべての利害に優先されるべきで、君主とは人民の主人であるどころか、逆にその第一の従僕に過ぎない、という主張です(Wikipedia)。

なぜそういう美徳の精神をもった君主がプロイセンに現れたのかと思っていたところ、私は母親にルーツがあるのではないかと思っています。母親は芸術の愛好家で、フリードリッヒ大王もその影響を受け、自らフルートを上手に奏でる腕をもっていたそうな。

政治に浸ると、時には心が乾き、無性に文化的な匂いに哀愁の想いを抱くことがあります。そんなときに、心を打つ音楽に出くわすと、水を求めるスポンジの如く、心が満たされる想いがしたりします。

藤原雅彦先生は、情緒が大切だと説き一時は一世を風靡しましたが、私も情緒というものが人間にとってきわめて重要な要素であると思っています。だから音楽を解する政治の方が解さない政治よりも勝る、とまでは言いませんが、望ましいのではないかと思っています。

実はフリードリッヒ大王も、こうした芸術を解することが幸いし、命拾いすることになります。ここで詳しくは述べませんが、ざっくり言えば、7年戦争で窮地に陥っていた際に、敵国の同盟であったロシアの女帝が急死し、その後継者であるピョートル3世がフリードリッヒ大王のこうした人格の崇拝者であったために、奇跡的にロシアと講和が結ばれ、和議が結ばれたというもの。

音楽が国家を救ったとも言えます。まぁ、あくまで善然庵閑話ですが・・・。

ちなみに善然庵閑話(ぜんぜんあかんわ)というのは、どうでもよいことを書き綴っておこうと思い立ったときにつけているタイトルで、もともとは遠藤周作の狐狸庵閑話(こりゃあかんわ)をもじったものです。