ネルソン・マンデラ

南アフリカ共和国の元大統領、ネルソン・マンデラ氏のご逝去の報に接し、謹んでお悔やみ申し上げます。

インビクタス負けざる者たちという映画をご覧になった方も多いと思います。映画ですからどれだけ真実なのか知る由もありませんが、マンデラの強靭な精神力には言葉では言い表せない思いが残ります。

マンデラは若い時から反アパルトヘイト活動家として頭角をあらわしますが、1964年に国家反逆罪で投獄され、1990年までの27年間、牢獄で過ごすことになる。しかし、この間、人種差別撤廃への強い意志は変わらなかった。その強靭頑健な意志を支えたのが、ウィリアム・アーネスト・ヘンリーの詩。

I am the captain of my soul. I am the master of my fate.
(我こそは、わが魂の指揮官なり、わが運命の支配者なり。)

この詩は永遠に忘れられないものです。私の心の座右の銘です(心のとしたのは、「貴方の座右の銘は何ですか」と聞かれてこれを答えるとキザッぽいので)。

改めて心よりお悔やみ申し上げます。

社会保障と生活保護と生活困窮者と

昨日、我が地元紙に、昨年の香川県の生活保護不正が過去最悪の289件、1億5000万であったことが報じられていました。景気の悪化と雇用情勢の変化で生活保護需給世帯自体が大きく増加してきたので、当然不正も増えてきたものと考えますが、私はこうした行為は絶対に許せない。不正に受給する人がいればいるほど、正規の受給者の受給額が減るのをこの人たちはどう考えているのでしょうか。と憤る前に、不正を排除し適正に運用できる制度にしていかなければなりません。今般、生活保護扶助制度が変わりましたので、この機会に触れておきたいと思います。

まず社会保障全般を概観したいと想います。現在日本は、110兆円の社会保障給付を行っています。内、年金54兆円、医療36兆円、介護9兆円、子育て5兆円、生活保護4兆円、その他です。そして毎年1兆円づつ増えている。一方、国が国民から徴収しているのは、保険料として62兆円(個人と事業者でほぼ折半)、社会保障税として41兆円(内国が30兆、地方が11兆)です。収支ギャップは積立金の運用収入で賄っている構造です。

今、4人に1人が65歳以上ですが、オリンピックムードが落ち着くであろう202 5年には、既に3人に1人が高齢者になります。さらに言えば、労働人口何人で高齢者を支えるかというと、現在は2.5人に1人、2025年には1.8人に1人、実は私が大学のときは5人に1人。超ハイペースで社会構造が変革しています。

ここから多くの課題が想起できます。

1つは人口構成の問題。少子化対策をこれまで以上に推進することです。私はまず、担当大臣が2人以上生もうとアナウンスすることが意外と大切だと思っていますが、それ以外にも、N分N乗の税制(世帯同居人数を増やすような政策誘導)の導入も強く訴えていかなければなりません。そしてそもそも子育て系の支出。社会保障給付全体に比べれば現在は10分の1。これはOECD諸国の中でももっとも低い部類で、先進諸外国は10に対して3〜4。つまり先行投資をしていると言えます。こどもを生み育てるのにやさしい国づくりをしなければ少子化は改善されません。

2つめは雇用問題。高齢者・女性労働力や就労支援やマッチングの問題、テレワークなどの雇用問題に今まで以上に真剣に取り組まなければならないと考えています。なので、当選以来ずっと雇用問題調査会という党内の会議に参加してきました。外国人の労働力も考えるときが来たと思っています。実は計算方法にもよりますが、女性や高齢者や若年者の労働力をフルに活用しても、現在の計算上の経済成長を2020年以降も維持できるかというと微妙な問題があるのです。現在は外国人の単純労働者の受け入れには政府も党内も否定的な意見が多いのですが、ここは理性をもってちゃんと考えておかなければなりません。

3つめは、給付の改善。年金・医療・介護などの改善。年金給付額は今後どうなるのかというと、ベビーブーマーや団塊ジュニアなどがいて人口構成が複雑なので単純に増え続けるわけではなく、制度もずいぶんの改善されてきたので、例えば2025年にはそれほど増えず60兆円、しかし医療は54兆円と1.5倍に、そして介護は20兆円と2.5倍になります(数値はちょっと鉛筆舐めてます)。つまり、喫緊の課題は医療と介護ということになる。ここは来年から少しづつ取り組んで行きたい課題です。

さて前置きが長くなりましたが、冒頭、生活保護の話題に触れましたが、その本題に入りたいと思います。生活保護給付は現在正確に言えば3.7兆円程度ですが、それを670億円削減することになりました。例えば都市部在住の40代夫婦に子供2人で28万程度だったのが26万に、都市部在住40代単身で12万が11万に、などです。5〜10%減額世帯が全体の25%、0〜5%減額が70%、0〜2%減額が3%です。大幅な削減ではないですが、それでも670億削減できるのは大きい。単純に給付全体が多いということでもありますが・・・。

そして、それよりも大きな問題は、一度生活保護対象になると、そこからなかなか抜け出せないという問題。なので、就労支援を行い、その状態から脱却するための給付金を創設することになりました。そして、不正不適切受給対策として、福祉事務所の権限を拡大してより詳細な調査を可能としたり、現場にあまりにも過大な負担をかけていた指定や取り消しに係る条件をより明確化するようになります。

さらに、生活保護にいたる前の段階で食い止めるための制度、生活困窮者支援プログラムが創設されます。

つまり、普通の人が解雇などにより生活が困窮した場合、まずは通常の既存の求職者支援制度を使ってもらいますが、その時点で生活保護者になりそうな場合の手当てです。まず、各自治体に自立相談支援窓口をつくってもらい、ワンストップサービスの提供が行えるようにする。で、一般就労が困難な場合には、就労準備支援を行う。これは半年から1年程度の支援になります。それでも困難な場合は、就労訓練事業を使ってもらう。これはまさに手取り足取りですが、例えばNPOやら社会福祉法人が主体となって、軽易な作業をやってもらうなどです。

とにかく一度生活保護に入るとなかなか抜け出せないという状態を作らないようにするのが趣旨ですが、思想的に言えば、塩野七生さんがおっしゃっていたように、給付には自尊心が大切だ、ということに尽きると思います。

雇用問題の今

失われた20年の間、特に小泉内閣以降の格差が声高に叫ばれた時代(私は決して小泉改革で格差が生まれたと必ずしも思っていませんが)、正規雇用とか非正規雇用とかが大きく取りざたされてきました。

少子化が進み、労働力がシュリンクし、今後やるべきはご年配の労働力、戦後、血のにじむような努力をされて今の日本を築いてくれたご高齢の皆様の、その知恵と経験を日本の再出発に生かすべく、シルバーパワーが一番大切だと、現時点で思っています。そしてそれ以上に大切なのが女性のパワー。先般、総理がこれまで初めての女性首相秘書官を登用しました。秘書官は結構体力のいる仕事ですが、それでも女性パワーの大切さのメッセージとしては最高のものであったと思いますし、大変だと分かっても総理の想いを請けて立ち上がろうとしている新秘書官には、ただただ脱帽するばかりです。

そしてさらに大切だと思っているのは、現在労働力不足が叫ばれている中で、今後日本がとるべきは、少子化対策。労働力の確保です。少子化担当大臣がこれまで一度も発したことのないメッセージ。それは、「子供を少なくとも2人生もう」というメッセージです。是非このメッセージを熱く語って欲しいと想います。

しかし、さらに大切だと思うのは、今後、どう考えたって10年後には労働力が不足します。今から少子化反転攻勢をかけても10年後には間に合わないのです。

であれば、10年後を見据えて、近隣アジア圏の迸るほどのエネルギーを日本でも活用させていただけないかということです。

現在、外国の単純労働者は、政府方針としては受け入れていません。海外の国際貢献の一環として、日本で学んでもらって自国に帰って日本の技術を生かしてほしいという、ソフトパワー路線の、外国人研修制度というのはあります。しかしこのまま、表向きの看板と実態が乖離していていいのだろうかと思っています。

地元で、農業でがんばっていらっしゃる方がいます。おっしゃるには、今このまま農業に全神経と全体力を注いでも、後継者が育ってくれない。どんなに国が後継者育成事業をやろうとも決定的な問題がある。それは、今の農業収入では若者は見向きもしないということなのです。

しかし、もし近隣アジアのエネルギーを日本で活用させていただけるのなら、農業のスタートアップはできます。ある程度、農業事業が成功したら、農家の息子さんや後継者は育ってくると確信しています。

あるいは、今、これも地元ネタですが、建設関係従事者のマンパワーが決定的に不足しているということです。今、建設関係者は、長引いた不況で技能者を切ってきました。そして、景気は現在少しは上向きになってきましたが、この状況がいつまで続くのが最大の関心ごとになっています。長く続かないのなら、技能者を育てる人的先行投資の計画はできない。つまり躊躇しているのが現状です。

では、誰が担ってくれるのか。東京オリンピックに近くなると決定的にマンパワーが足りない。だからこそ、時間軸をしっかり捕らえて戦略的に考え、今の政府方針を若干修正し、外国人のマンパワーを年配と女性と若者を登用した後の戦略として掲げるべきだと考えます。

決して海外のマンパワーをこき使おうなんてことではありません。日本人と同等の条件を提示すべきです。問題は、今の日本人でそういう大変な仕事を担おうとする若者が少ないということなのです。スタートアップの時だけ、そうしたアジアンエネルギーを拝借して、日本を立て直すべきだと考えています。

そのためには労働政策を真剣に考えていかなければなりません。党の雇用問題調査会の幹事として、そしてテレワーク推進特別委員会のメンバーとして、真剣に雇用問題を考えて生きたいと思っています。決して、正規・非正規という枠組みにとらわれずに。

行政改革と独立行政法人と研究開発法人と

研究開発法人(通称、研発法人:国の研究機関)は、現在独立行政法人(独法制度)という枠組みの中にいます。橋本行革の際に移管されましたが、それは研発法人でも効率と効果で管理するべきだという理念に基づいています。しかし、爾来、あまり成果はでていません。

そして現在、研発法人の中で最先端の研究開発を行っている理化学研究所などを対象に、独法制度から切り離し、新しい研発制度を発足させようという動きがあります。先日、テレビでも放映されましたが、山本科技担当大臣と下村文科大臣がそれを要求し、稲田行革大臣と麻生財務大臣が反対。安倍総理が引き取り年内に閣僚間で調整して結論をだすように支持したところです。

私は是非別制度をとらないと、日本の科学技術はだめになると思い、1年間がんばってきました。明日の党内会議が山場の一つになります。心のそこから自分のポリシーとして、どこを守るとか守らないとかの話ではなくて、日本を世界一イノベーティブな国、つまり研究開発力が設備投資につながり、アベノミクスの成長戦略に資する、という観点で、一言申し上げたいと思います。もう日本は100から10000を生む大量生産技術だけでは生きていけない。0から1を生むところで勝負していかなければ、他のアジア圏に負けます。

一言で言えば、独法制度下で研発法人を運営せよとは、全部じゃないにせよ、2位じゃだめなんですか、と言っているのと同じことだと思っています。独法制度の元でうまく機能する研究というのは、民間が絶対にやっています。民間はそこまでばかじゃない。そして、民間の研究所のなかで、市場を創造できるようなイノベーティブな会社というのは、社長が無駄かもしれないというリスクをとって、海のもんとも山のもんとも分からないことに、投資してるんです。身包み剥がされる覚悟でやってるんです。でも身包み剥がされてもできない領域がある。それがまさに国が担う領域なんです。今の独法制度下では、日本から絶対にインターネットやGPSやは生まれないんです。

決して研発法人の全部を別法ということを言っているのではありません。しかし、本当に極一部、その一部で、ご承知のとおり、本当に最先端の科学技術を担っているんです。如何にリスクを取れるかが、日本が本当の意味でゼロからイチを埋める国になれるか、イノベーティブな国になれるかの勝負です。

逆に言えば、そういう一部の独法制度からはずれて運営できる組織があるからこそ、独法制度下の既存の一般の研発法人が生きる。全部独法制度下の研発法人であれば、さきほど申し上げた民間でできることに毛が生えた程度のことしかできないので、それこそ全部無駄。売ってしまえばいい。

だから、先端の研究者もこの結果をものすごく注目してます。実際に、自分の研究領域とは関係ない研究者、自分のところにおカネが回ってこないと分かっている研究者も、国の本気度を測るという意味で、今回の件は注目してるんです。ああ〜やっぱりな、ということになれば、日本の研究者は、どんどんアメリカに行ってしまいますよ。なぜならば、リスクをとってくれる上がアメリカにはいるからです。

もちろんそこも当然、無駄というものを徹底的に排除しなければなりません。当たり前です。事務処理やらルーチンワークに無駄があってはいけないのですが、しかし、どんな研究分野をどれだけやっていくか、という問題について、無駄か無駄じゃないか、効率性だけでは絶対に図れません。

野放図な経営になるではないかという指摘があります。考えてれば分かります。先ほど申し上げた、身包み剥がされる覚悟で運営しているイノベーティブな会社の社長が、一般事務の効率化を追求しないわけがありません。成果がでるか分からないからこそ、成果を生まなければいけないリスクを抱えれば、他を最大限削ろうというインセンティブが働く。それをチェックする機関を作ればいいのです。行革の理念とはまったく逆行しません。全てはトップのリスクテイクです。

DARPAという組織がアメリカにありますが、何年かでまったく成果がでなければトップはすぐに首になる。しかし自由度の高い予算運用ができる。だからそういうDARPAからインターネットやGPSが生まれる。もし、DARPAが独法制度下にあったら、今、スマホなんてありません。

独法制度でも効果的というのが目的だから独法制度でも効果的な研究が行える、という話もありますが、では効果的にとはどうやるんですか。効果があると分かっている研究は、そもそも民間がやってるんです。やってみないと分からないから、すごい成果がでたりだめだったりするわけです。

情報の収集

初当選後に予算委員会の分科会で外務省所管の予算について岸田外務大臣に質疑をさせていただく機会をいただいたことは既にご報告申し上げました。そこでは、EEZの国際ルールの話をメインにお訴えさせていただきましたが、最後に情報について質疑させていただきました。

情報の発信、情報の保護、そして情報の収集の3つが必要だということです。当時は特定秘密保護法案なるものが審議されようとは思っても見なかったので先般の法案通過は感慨深いものがありました。そこでついでながら情報について書いてみたいと思います。最近この手の記事ばかりで恐縮ですがお付き合いいただければと思います。

特定秘密の保護はアメリカとの協調に必要だというのを法案の必要性の理由として挙げる場合があります。もちろんそういう側面もあるのですが、実は本質はそうではなく日本を守るためにある。日本が日本として機能するために作るという側面が本質です。

例えばアメリカから特定秘密として指定した情報をいただいたとします。特定秘密ですからそれを日本独自に料理しなければなりません。しかし秘密ですからどこにも出せない。だからなかなか誰とも相談できない。そうなるとその情報に盲目的に従属しなければならない状況が生まれる。

私が兼ねてから情報の収集の必要性を3点セットでお訴えしてきたのは、情報保護だけでは日本が独自に判断できないことになってしまうからであって、ここは情報収集機能を強化しなければならない。

現在情報収集はやっています。あたりまえですが。外務省・防衛省はじめ、関連諸省庁です。もちろん収集には必ず分析が含まれますがここは先に衆議院を通過した国家安全保障局が中長期的戦略立案の部署として創設されますので、ここで分析が期待されます。

であるから残るは情報収集の強化です。ここは困難な課題ですが国民国家に必要なものとしてがんばっていきたいと思っています。

防空識別圏

中国による一方的な防空識別圏(ADIZ:Air Defense Identification Zone)の設定と発表について、国際社会が懸念を表明しています。日本にとっても、あるいは北東アジアの安全保障上も、認めがたい行為であると認識しています。

第一は、近隣諸国に対して何ら事前の交渉もないこと、第二にそもそも武力の行使をADIZの設定に際して明示すること自体、もちろん明確なADIZの定義こそないものの、このADIZは通常の慣習上のADIZの設定とは言えず、この意味不明な線を何と呼んだらいいのか分かりませんが、国際社会に対する挑戦とも受け止められる内容であると理解しています。国際ルールを大幅に逸脱した行為だからこそ、アメリカはB52を事前通告なく飛行させています。

また、中国はADIZ設定に際し飛行予定のある航空機に対して事前の飛行計画の提出を義務付けていることに関し、日本の民間航空会社が事前に飛行計画を自らの判断で中国に提出していたことを受けて、それは中国の思う壺だ、という批判があります。

私は、まずすべきは国家として民間航空を守れることを確認した上で、民間航空会社に対して事前に飛行計画を出さないよう要請することが必要だと思いますし、事実、官房長官からその旨発表されました。それができないのであれば、飛行計画を出さないよう要請するのは、逆に思う壺だと思っていました。なぜならば、乗客の安全が確保できない飛行区域に民間航空が進入できるはずもなく、結果的に中国の既成事実化が進むからです。

いずれにせよ、考えなければならないのは、挑発に容易に乗らず、かつ毅然とした態度をとることです。そして、こちらからの挑発であると決して思われるような行動は慎むことです。

特定秘密保護法案が衆議院を通過しました

特定秘密保護法案が昨日、衆議院を通過しました。予算税制など他の重要審議もある中でかなりの時間を審議に費やしたため、これから他の部分に全力を注ごうと思っています。

さて、世論調査ですが、数日前の調査結果は、FNNが6割は法整備が必要、今国会の成立にこだわらずに慎重に審議が必要だという意見が8割。日本経済新聞とテレビ東京の共同調査が、反対が50%、賛成が26%。共同通信が支持が46%、反対が41%とのこと。そもそもこれだけ社によってばらつくのは、理系の私としては統計のとり方(質問のしかた)に問題があるのではないかと思います。

さて、質問に立たせていただいて第一にお訴えしたのは、この法案の最大のポイントは、現実に直視する必要性を訴えている法案だ、ということです。この部分は塩野七生さんの「密約に想う」を是非お読みいただければと想います。日本人は、政府のとある秘密が外部に流出したら1000人死にました、という事態が発生する可能性を肌感覚でなかなか理解できません。ではそれはどんな秘密ですかと言われたら秘密だから言えないでしょうとなる。で、反対者はだからだめだとなる。

イラク人道復興支援活動の際、日本の自衛隊は一切司令部に出入りさせてもらえなかった。当たり前であって、もし司令部に入って情報がリークされ、他国部隊の若者が1人でも死んだら、いったいどう日本は責任がとれるのか。逆に、だからそんな海外派遣はだめだと言うなら、日本が実際に侵攻された場合、どこの海外の若者が日本のために血を流して戦ってくれるのか。そういう肌感覚がまったくない。

あるいは、2005年中国潜水艦の情報を漏洩した事件、初めての防衛秘密の漏洩と言われました。政府は何が秘密なのかを公表していませんが、勝手に想像するに、なぜ火災と分かったのかがポイントではないかと思っています。火災かどうかなど分かるはずがない。それは通信傍受か人的収集か。その手段が中国側に分かってしまったとしたら、中国側はどのような対処をするでしょうか。これは、想像力の勝負なのです。だから秘密は必要なのです。

反対派と呼ばれる人の問題意識は共有しています。第一に、もっとも多いのが、特定秘密の範囲があいまいだ、という問題。これは、国会審議の中でも、死ぬほど繰り返された質問で、私もやりましたが、理屈の上では、現在国家公務員法で縛られている秘密の範囲の方が遥かに広大なのであって、特定秘密はその範囲を超えないのです。今だって隠そうと思えば隠せる。その現在でも秘密の一部を限定して特に秘密にしようというものなのです。今回特定秘密にしようとしているのは、国家公務員法ですでに秘密なのです。だから本法案に反対なら、国家公務員法の秘密にも反対してほしいと思うのです。もしそれを反対するなら情報公開法も自動的に崩壊してしまいます。

第二に、国民の知る権利です。当たり前です。以前にも書きましたが、情報公開が原則で、その権限が強ければ強いほど、秘密も強くなれる。秘密の指定とチェックは5年毎。原則大臣がやる。大臣は政治家です。そして永遠同じ人が大臣でありえない。30年経てば閣議でチェック。その間も国会の秘密会などでチェックできる仕組みになっています。この部分に対する批判で、指定もチェックも政治じゃないかというものがありますが、高度に政治的なものを第三者に判断できるのか私には疑問です。国際社会の現状を正確に認識し、日本のとりえる可能性を正確に把握した上で、苦渋の判断をする必要があるから政治があるのであって、その付託を受けているのが政治ではないかと思うのです。だから有権者は横暴があれば選挙で審判できるという強い強い権限が与えられているという仕組みになっているのだと思っています。ここは、政治というものが何であるのかが理解できるかどうかの境目だと思っていますが、総理は第三者チェック機関を設置するほうが望ましいとおっしゃっているので、今後設置を前提に議論していきたいと思っています。いずれにせよ、この部分も塩野七生さんの「密約に想う」を是非お読みいただければと想います。

第三に、政府が不正な情報や都合の悪い情報を隠蔽してしまうのではないかというものですが、これは第一の指摘で述べましたし、私も質問させていただきましたが、不法不正な情報は対象範囲にならない。しかし、それでも秘密だからでてこないじゃないかという批判があります。不法不正な情報は内部告発できますし、現行法で告発者を保護する法律が既にあります。

いずれにせよ、委員会での法案審議では、他党からなるほどと思う指摘もあり、何度も先輩議員が丁寧に話を聞き、修正に応じることを繰り返しています。質問も、最終段階では同じような質問ばかりになっていました。現場にいるから分かります。長い審議時間だったので、私のような新人にもお鉢が回ってきたものだと思っています。

国家安全保障に関する特別委員会

国家安全保障に関する特別委員会にて質問に立たせていただき、特定秘密保護法案についての議論を森担当大臣とさせていただきました。政府に対する質問は、1)本法案の意義について、2)特定秘密の範囲について、3)秘密の範囲と違法性のある事柄、の3点について質問させていただきました。また、詳細は後日述べたいと思います。

第11回国際政治・外交論文募集

先般国際局次長を拝命いたしましたが、自民党では第11回国際政治・外交論文コンテストを行っています。総裁賞は賞状と賞金10万円です。原稿用紙10枚。東京オリンピック・パラリンピックに向けて7年後の日本のあるべき姿というテーマでの募集です。われこそと思う方は是非応募ください。締め切りは平成25年11月29日です。詳細はこちら。

http://www.jimin.jp/involved/campaign/113868.html

空き家対策について

何度かこの場で触れさせていただきました空き家対策について、法律案が明らかになりましたので簡単にご報告したいと思います。

念のためですが、この法律の目的は、適切に管理されていない空き家が防災や衛生といった観点で近隣住民の生活に深刻な影響を及ぼしていることに鑑みて、その住民の生命・身体・財産などを守り、さらに空き家の活用を促進することです。

施策の概要は以下のとおりです。まだまだ審議中ですががんばって行きたいと思います。

1.国が基本指針を策定
2.市町村は、国の基本指針に即した空き家等対策計画を策定し協議会を設置。
3.都道府県は、市町村に対して技術的な助言、市町村相互間の連絡調整等必要な援助を行うことになります。
4.市町村は、法律で規定する限度において空き家等への立ち入り調査が可能になります。
5.市町村は、空き家の所有者等を把握するために固定資産税情報の内部利用が可能になります。
6.市町村は、空き家に関するデータベースをできるだけ整備し、空き家や跡地の情報提供やこれらの活用に関する対策を行います。
7.特に管理不十分で倒壊の危険性があるような「特定空家」については、除却・修繕・立木竹伐採などの措置の指導・助言・勧告・命令が可能になり、さらに要件の緩和された行政代執行の方法で強制執行が可能になります。

ご関心の向きは事務所までご連絡ください。