所信表明演説に想う

国会が始まりました。冒頭、安倍総理の所信表明演説を聞いて膝を打ちました。

基本的に、先の総選挙以降、総裁と幹事長が常々おっしゃっている謙虚さと丁寧さ路
線の所信表明でした。安倍総裁らしい保守色がなかったのが少し物足りなさを感じま
すが、持論よりも、日本の危機を脱出し突破するために、与野党はじめ日本人全員の
一致団結を訴えるような内容であり、私は現時点の所信表明としては最高だと思いま
す。

内容についてですが、経済再生が最優先である。そして震災復興、外交安保も重要な
課題。なぜ経済再生を最優先課題に据えたのか。それは、頑張っても報われない社会
になってしまっている。そのような状態で、政府が所得の再分配を繰り返しても、こ
の状況が改善されるわけがない。民間の活力を引き出す施策を打ち出さない限り、日
本が活性化し強くならない。そして、アルジェリアの事件に触れ、絶対に国土を守
る、との強い意志も示しました。また、国民に対して、強い日本を創るため、自信と
誇りを取り戻そう、とのお訴え。日本再生に向けた驕りのない力強い意欲を感じるも
のでした。また、前回総理を辞任したことにも触れ過去の反省を心に刻み、丁寧な国
会運営に当たるともおっしゃいました。

私もよくお訴えさせていただいていますが、今の閉塞感漂う日本を再生させるために
は、もちろん政治が先頭を切って粉骨砕身努力しなければなりませんが、日本人全員
が一つの方向を向いて、がんばろう、とお互いに言い合える状況にならないといけま
せん。であるならば、政治は徹底的に謙虚になって襟を正し、必要な政策を一つ一つ
着実に実行していく必要があると思っています。

日本再生の土台は、誇りと自信。それを裏付けるのは経済の再生と国家の基盤確立
(安全保障)です。走りぬきます。

所属委員会など

所属委員会などが決まりましたのでお知らせいたします。

自民党
-青年局次長
-国会対策委員
-広報戦略局次長
-その他

衆議院
-安全保障委員会
-海賊対処・テロ防止特別委員会
-科学技術特別委員会

中国の行動に関する米国の対応

昨年末から、アメリカの議会で中国の挑発的、好戦的行動に関して、活発に議論が行われています。例えば昨年の9月の下院公聴会。下院の外交委員長である共和党のイリーナ・ロス=レーティネン氏は、中国の近隣国に対する好戦性と敵意について、「学校のいじめっこ」のような「おかしな」行動であって、「米国は同盟国フィリピンや日本を支持し、今後もその役割を継続することを伝えたい」と発言しています。

また、民主党の同委員会の筆頭委員であるハワード・バーマン氏も、同海域の「平和的な解決に(米国は)強い国益を有している。米国は中国がこの地域に派遣を主張することを許さず、問題を平和的に解決するよう中国に圧力をかけ続ける必要がある」と発言しています。

CSIS(米国の戦略国際問題研究所)のボニー・グレイザー中国研究部長も、中国の行動を「周到かつ計画的」であって、「強制外交を段階的に高めるという中国指導部の意思決定の証拠である」と証言しています。さらに、元国防次官補代理(ブッシュ政権)のピーター・ブルックスは、アジアでの足場がなくなれば形成は一変すると証言しています。

このような発言が延々と続くのですが、つまるところ、アメリカの海軍力は中国よりも遥かに勝っているけれども、全世界で活動しなければいけないので、戦力密度が低く、そこを中国はつけこんでいるが、米国と関係国はこれに立ち向かう必要があるとの論調が多くなっています。

ご存知のように尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用範囲内であることは公的にアメリカも認めているところです。しかし問題は、日本がそれを絶対に守ろうという意思がなければ発動されることはないということです。

今年1月2日にアメリカは国防授権法を成立させていますが、その中でも尖閣条項はあります。上記を確認したものですが、明確に「尖閣諸島の最終的な領有権については米国はいかなる立場もとらないが、米国は尖閣諸島が日本の施政下にあることを認める」とあり、「施政の下にある領域における」武力攻撃について第5条が適用されるという認識ですから、日本が自分で絶対に守らなければなりません。放って置いて抗議だけしてもしょうがないのです。交渉と強い意志が必要だということです。

安全保障委員会に所属することが決まりました。しっかり頑張って行きたいと思います。

日銀の英断

これまで選挙の遥か前の1年以上前から、ず〜っとお訴え申し上げておりました、日銀による金融緩和と財政出動についてです。

https://keitaro-ohno.com/?p=1276
https://keitaro-ohno.com/?p=40

今日、日銀と政府が共同声明を出しました。安倍総理が選挙中から訴えておられました2%のインフレターゲッティング。2人の委員の反対、7人の賛成で、導入が決定されました。昨年、擬似インフレターゲッティングが導入され、1%を目処に、という表現でしたが、今回は2%の「目標」とされました。しかも無期限の資産買い入れも全員一致で通っています。デフレ脱却に向けた本気度が感じられます。私は何もできていませんが、思っていたことが実現されたことは本当に感慨深いものがあります。これから24年度の補正予算と25年の本予算が決まっていきますが、これで需給ギャップの埋める本当の作業が始まります。がんばって参りたいと思います。

ついでながらですが、今日、税制調査会に参加して参りましたが、税制でも本気度を感じます。税制調査会では私も何度か発言をさせていただきましたが、幹部の皆様の本気度も感じます。例えば、住宅ローン減税。4年間の継続の方向。しかも控除額はかなり拡大されています。事業承継税制も、これまでなかなか使いにくかった評判のあまりよろしくない制度でしたが、随分と使いやすくなったのではないかと思います。車体課税も懸案事項でしたが、取得税は廃止の方向に進みます(地方税収には十分な配慮があります)。正式には近日中に税制大綱で発表されると思いますので、そのときにまた報告したいと思います。

10年後、あぁ、あの2013年という年は、日本が復活するきっかけとなったあの年だよね、と言われるような、そんな2013年になれば、と思いますし、そうしていくように努力して参りたいと思います。

今後ともご指導賜ればと思います。

謹賀新年

新年あけましておめでとうございます。

巳年の新しい年を迎えました。皆様にとりまして本年が素晴らしい一年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

新しい時代を築いていかなければなりません。今年がそのきっかけの第一歩になるよう我々現役世代が全力を尽くさねばなりません。この難局の時代を、私が築いていきます、とか、変えてまいります、とかの表面的な意気込みを申し上げるつもりはありません。全員で頑張っていかなければ、この難局を乗り切って新しい時代を築けるとは思えません。

皆さんは、それぞれお就きになっているそれぞれのお立場で全力を尽くされることを願ってやみません。その上で、私は政治の切り口で全力をつくして参りたいと思います。

そのためには、新しい政治にしていかなければなりません。その新しい政治とは必ずしも華々しいものとは限りません。昨年の衆議院選挙を終え、我々は新しく安倍総理を迎えての新年になりました。重要なのは、浮き足立つことなく、パフォーマンスや批判のための批判合戦ではない、まさに今年の干支である蛇のように、地に足の着いた政治をしていかなければなりません。

と言うことをとある方に申し上げたところ、蛇には足がない、と言われました。そういう批判を排したいのです。謙虚に真摯に、ときには大胆に、前進することが危機的な難局を乗り越える唯一の手段であると感じています。

我が祖国、日本のため、そして我が故郷、讃岐のため、パフォーマンスや批判合戦を排して、我々全員で、全力を尽くそうではありませんか。

平成25年元日 衆議院議員 大野敬太郎

初登院を前にして

今年のゴールデンウィークの頃、ミャンマーでアウン・サン・スー・チーさんが、連邦議会の補選で初当選し、その後、初登院を前に一悶着あったのを思い出しました。

ミャンマーの連邦議会では初登院する際に、憲法を遵守することを宣言しなければならないとのことでしたが、軍事政権化で制定された憲法を軽々に遵守するとは宣言できないので、「尊重する」に文言を修正しなければ登院できないとアウン・サン・スー・チーさん側が拒否。与党側も、修正には応じませんでした。

結局は、「暴力なしに目的を達成するためには柔軟な対応が必要」として、宣言して初登院したのが記憶に鮮明に残っています。

日本の議会は宣言することはありませんが、何かを拒否しなければならないような憲法でないことは幸いだと感じています。しかし、時代は変わりました。新しい時代の新しい制度に変えていかなければなりません。その変える過程で絶対に必要なのが、謙虚さです。

謙虚さは有権者に対してだけではなく権力に対して謙虚でなければなりません。何でも変化・変化・チェンジ・チェンジと叫んで好き放題変えまくるような権力は歴史が許さないでしょう。

常に謙虚に明日の初登院に挑みます。

ゴラン高原・PKO撤収

ゴラン高原でPKO活動をしている自衛隊に撤収命令が森本防衛大臣により下されました。ゴラン高原という言葉は皆様も聞いたことがあると思いますが、イスラエルとシリアの国境にある高台で、停戦合意後に日本も3番目のPKO活動として1996年から自衛隊を派遣しており、17年間という長期間のオペレーションで、実は私の地元、善通寺にある第14旅団も、昨年2011年2月から第31次派遣隊として活動に従事しています。今回の撤収はシリアの治安悪化が理由。

ちなみに同PKOは、我が親父・大野よしのりが自民党国防部会長であったときに派遣決定したPKOで、派遣するべきか否かを判断するために現地に調査団副団長として乗り込んでいます。

http://www.e-ohno.com/activities/golan.html

そのときにイスラエルのラビン首相から、「平和維持活動(peace keeping
operation)は血を流さなくて良いが、平和構築活動(peace making operation)は血を流す必要がある」という印象深い言葉をもらったそうで、その後親父が何回も何回も引用していたのが私には印象的でした。

私は私で、PKO元年と言われた1992年頃から理系の研究者でありながら当事のガイドライン関連法案と並んで大変注意深くこのPKO問題を見ていましたので(何故かは私の公募論文をご参照ください)、このころから親父のWEB作成のためと称して資料を事務所から取り寄せていたのを今でもよく覚えています。そういう意味で、今回の撤収は大変感慨深いものがあります。

ゴラン高原PKOは、しばらく地味な活動でしたが、中東の平和と安定を維持する上では極めて意義があったと思いますし、PKOの学習センターとしての機能も併せ持っていました。

撤収は致し方ありませんが、従事された自衛隊の皆様には最大のご慰労を申し上げます。

そしてここからが本題ですが、国内からは、「え?まだやってたの?」との残念な声が聞こえます。海外の関係者からは非常に高い評価を受けているのですから、少なくとも国民には自衛隊員の涙ぐましい努力と活動内容を知ってもらう必要があると思います。

参考までに、内閣府にある、国際平和協力本部事務局のWEBを紹介します。

http://www.pko.go.jp/

驕(おご)った葦は人心を掌握できるのか

第46回衆議院議員選挙が終わりました。自民党が大きく議席を伸ばしましたが、決して圧勝ではありません。むしろ危機的状況なのかもしれません。

比例票を見ると、圧勝した小泉郵政解散の05年、自民が惨敗した09年と比較すると以下の数字になります。

05年   09年   12年
2588万 1881万 1662万

つまり、前回の惨敗選挙よりも更に得票できていない結果です。議席だけ増えて中身が伴っていない。物価だけ上がり続けて中身が伴っていないインフレと同じです。なぜ議席だけ増えたのかと言えば、第三極と民主が票の食い合いをしたから。決して自民党が信任を頂いたとは言えません。

パスカル。圧力の単位にもなっている物理学者ですが、パンセという哲学書も残しています。「人間は考える葦である」という有名な言葉のルーツです。曰く、”科学という理性の世界には限界がある。人間は葦にも似た大したことのない存在だからだ。だけど、考えるから他の動物よりはましだ。しかしだからと言って驕(おご)ってはいけない。なぜならば、たかが葦だからである。”

今、政治に必要なのは、驕りを戒め、謙虚に真摯に、政策の中身を、地に足をつけて議論することだと信じています。驕った葦は踏み潰されるだけです。

そして最大の政策内容は、絶対に景気対策です。

今、安倍総裁の経済政策に一部批判が出ていますが、私は方向は間違っていないと確信しています。私のブログでは散々書いてきましたが、今は金融だけ緩和しても意味はありません。需要を作るしかありません。消費も増やせない、投資も増やせない、輸出も増やせない、としたら、後は政府が需要を作るしかありません。財政制約の下でできるとしたら、このリフレ政策しかありません。国債暴落と金利上昇、更には急激な為替リスク。全て承知の上です。1年以上前は私もかなり否定的でしたが、やるしかないと思っています。驕らずに。