香川県護国神社春季例大祭

終戦80年、昭和で言うと100年の節目となる今年。誠に僭越かつ光栄なことに香川県護国神社春季例大祭の大祭委員長を仰せつかりました。歴史の重圧に緊張しつつ、ご英霊の安らかならんことを参列者の皆様とともに祈念いたしました。

祭文

本日ここに、讃岐宮香川県護国神社春季例大祭を挙行するにあたり、明治維新以来、我が祖国の礎を築かれたご英霊の御霊を前に、謹んで哀悼の誠を捧げる次第です。

我々は今、平和と繁栄を享受しつつ、日常を謳歌できる時代に生きています。一方で、街角に立てば、我が国が過去に直面した幾多の困難に纏わる顕彰碑や追悼碑が、ここ善通寺のみならず、いたるところに残されており、見かけるたびに、当時の国情と国民の窮状を感じ、深い思いに至ります。

今から丁度八十年前、大東亜戦争終戦の年、張り詰めた緊張感に包まれた、暑い夏の日に、昭和天皇から「終戦ノ詔書」が発布されました。『堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ万世ノ為ニ太平ヲ開カムト欲ス』。陛下のこの御言葉は、今を生きる我々の心に、そして未来を生きる全ての日本人の心に、戦禍に苦しみ戦禍に散ったご英霊の、未来に希望を託さんとする熱き想いを、未来永劫、刻み続けるものです。

爾来日本は、八十年間、ご英霊の護国の護神徳によって、平和国家として、経済国家として、そして文化の香り高き民主国家として、世界に確固たる地位を築いて参りました。国連加盟国の中で、大東亜戦争後に戦争を経験していない国は、日本を含め僅か数か国と言われています。

翻って今日を見渡すと、ロシアによるウクライナ侵略や、イスラエルとハマスの武力紛争、北朝鮮によるミサイル恫喝、中国による軍事活動の活発化、など我が国を取り巻く安全保障環境は更に一段と厳しさを増しております。

この祭典を通じて、国の御盾として身を挺し、ひたすら祖国の隆盛と同胞の安寧を念じられたご英霊の、その崇高なる精神に想いを致し、引き続き平和国家の維持と必要な対処に邁進し、以って県民お一人お一人が、その持ちうる誠実さと責任感によって、引き続き日本人としての誇りを持ち、未来の子孫に対して誇れるよう、邁進して参ります。

本日この大祭にあたり、香川県民を代表して、御英霊の安らかならんこと願いつつ、香川県民、そしてご遺族の皆様に、なお一層のご加護を賜らんことを、ご参会の関係者の皆様と共に祈念し、祭文といたします。

令和七年五月五日

讃岐宮香川縣護國神社
春季例大祭委員長
衆議院議員 大野敬太郎

米国訪問ー米国の動向と今後のポイント

(写真:キャピトルヒルにある下院議員の応接室で)

アメリカは今後どうなっていくのか。トランプは何を何時どの様に判断するのか。世界各国が注視し憂慮している関税や予算削減の措置。同僚小林鷹之代議士ら5名と共にした今回の訪米は、トランプ政権発足100日のタイミングであり、日本からの交渉団の訪米とも重なったため、米国でも非常に関心が高い時期の訪米となった。そうした中で、議会人として大統領と直接かかわりのある7名の連邦議員(上院下院・民主共和)の意見をバランス良く直接聞くことができたほか、LNG精製現場、事業者、予算削減にあえぐNASA、国防省兵站担当元高官、NSC元高官などの意見を聞くことができた。

我々からは、同盟国として、防衛力の抜本強化とセキュリティークリアランスやサイバー防御などの必要な法整備やインテリジェンス能力向上に継続して取り組んできたこと、加えて日本が対米投資額1位であることを必要に応じて共有した上で、①国際収支の認識の是正(貿易赤字でもサービス黒字でトントン)、②国際社会に対する負のインパクト(敵を作る)と自由で開かれたインド太平洋の継続、③大統領が日米同盟を片務的だと言うことに対する懸念、④防衛協力の深化、⑤国際共同事業に係る予算削減が国際秩序に与える影響、⑥有事の経済安全保障に関する認識、について打ち込みを行った。

関税政策に関する認識は、直接言及しなかった方もいたが、同志国に対して発動すべきではない、あるいは関税措置そのものに反対だと明言された方もいた。真っ向から反論されることはなく、総じて言えば懸念の方が大きいとの認識であった。デジタルサービス収支については、既に認識していたかどうかは分からないが、十分に理解を得た感触はあった。

一方で、関税措置によって国際社会に遠心力が働き、間隙を中国が埋める形になるのではないかとの認識については、完全に認識が共有できた。今回会談した殆どの方が、中国に関する何らかの認識を表明しており、立場や党派を超えて中国の懸念が共有されていることは明らかであった。ただ、米国には今回の米国の措置を受けて日本が中国に重心をシフトするのではないかとの懸念も一部にはあるようだ。裏を返せば米国の突然の米中合意の可能性もリスクシナリオとして考えておかなければならない。

防衛協力に関しても当然だが認識は共有された。多少の驚きとしては、日本は既に情報共有メカニズムに貢献できる国であるとの認識を示された方がいたことだ。いわゆるファイブアイズと呼ばれるもので、これまでの制度的取り組みを自負できるものであったが、運用面ではまだ実態は伴っていないと認識しており、改めて実運用の強化が必要と感じた。中心的な議論は、防衛装備品の産業政策の協調であり、具体的には共同開発であった。第三国移転の予見可能性を問題視している旨の発言があった。改善に向けた取り組みが必要だ。

一方で予算削減措置については、実施されると国際秩序にも拘わる重大な影響が生じる可能性がある。未だ何も決まっていないが善処したいとの回答であった。ただ、帰国直後にNASAのアルテミス計画については、開発中の大型ロケットや宇宙船の運用を将来的に終了して民間に切り替えるなどの大幅な計画変更の方針が示された。既に退官された高官が宇宙分野は通信衛星以外は政府投資がないと絶対に成功しないとしきりに言っていたことがメッセージだったのかもしれない。おそらく宇宙分野は今以上に民間移転が進む可能性があるだろう。

有事を見据えた経済安全保障上の協調の指摘が何度かあった。トランプ政権は当初から造船業の復活を宣言していたが、確かに世界を見渡すと中国の建造量は米国の200倍以上であり、大きな懸念となっている。日本もコロナ禍以前から造船は安保だとの指摘が相次ぎ具体的な措置を行ったが到底足りるものではなく、加えて直ちに実現できるものではないため、当面は日韓協力が主要なテーマとなるはずだ。その点、韓国大統領選は同志国陣営にとって最も注目すべき国際政治スケジュールになるはずだ。その他、中国が以前から不可欠性を有する資源を多様化する必要もある。

最後にLNGについて。アメリカが資源輸出大国になってから10年は立っていない。シェルオイルやシエルガスの技術開発に成功したためだが、我々が訪問した日本企業が出資するヒューストンのフリーポートも当初は輸入基地として始めたものだそうだ。米国の安保上の最大の貢献がLNGだと豪語する方もいた。副産物として半導体製造に必要なヘリウムの生産地ともなっているのは目新しい情報であった。LNGが今やアメリカの力の源泉となっているようで、ヒューストンの戦略的企業誘致も相まって、今や全米から人が押し寄せる地域となっている。輸出拡大に熱心だが、パナマ運河問題と移送コスト問題があるため、中国を含むアジアへの輸出よりも欧州向けが主眼のようだ。一方で話題となっているアラスカLNGについては、6兆円以上の巨額投資が必要なうえ、収益性も不明な点が多く、否定的な声が相次いだ。

NewPort LNG Project

■代表的な訪問先
ーキャピトルヒル議員会館(連邦議会議事堂)
ーLNG精製現場(フリーポートLNG基地)
ーLNGインフラ事業者(TCEnergy)
ー日米海洋石油ガス連携事業DeepStar(シェブロン本社)
ーNASA(ジョンソン宇宙センター)
ーその他会議場

トランプショック

言うまでもなくアメリカは、日本にとって極めて重要な国であり、今後も同盟国として緊密に連携すべきは当然です。一方で、トランプ政権の荒療治で、我々はどこに引きずり込まれるのか、見通し難い状況となりました。関税操作はディールのための一時的なものとの憶測もありますが、トランプ政権の公約に多くのアメリカ人が賛同していることを考えれば、関税への言及については、実際に実施するかは別にして、政治的に簡単に引っ込めるはずはありません。そして実際に実施するとなると明らかに返り血を浴びるので、慎重になるはずだと考えるのが普通です。

実際に、これだけの規模の関税ですから、アメリカにとっての返り血は巨大で、産業構造や国際収支に現れるのみならず、金融市場にまで混乱を与えます。追加関税の発表で株式・為替・債券のすべてが売られ、世界で10兆ドル以上蒸発したとされています。債券売りが90日延長判断に繋がったと言われますが、特に債券市場の混乱は金融市場全体の、そして世界全体のシステミックリスクにつながりますから、90日後に同じことを実施するとは到底思えない、と考えるのが普通です。ちなみに翌日にたまたま会った金融庁幹部が、市場動向を夜通し注視し、目を真っ赤にして国会答弁に臨んでいたのが印象的でした。それほど巨大な危機であったはずです。

しかし、トランプ政権の真意が全くわからない。今後、仮にトランプ関税が金融市場を混乱させない上手な方法で実施されたとして(できるかどうかは別として)、更に仮に中国との覇権争いの文脈で、勝てるうちに勝ちに出た、と見れば、勝てるまで何らかの言及を続けるでしょうし、これまでの発言通り自国産業の保護だ、と見れば、単に産業構造シフトになるだけで、全体がプラスになることはなく、混乱のうちに言及は収束するように思います。

いずれにせよ何がやりたいのかの真意が分からないので、何もしようもない気もしますが、何れにせよ自由貿易秩序への挑戦となることは間違いなく、歴史が物語っている通り、経済秩序の転換は、安保秩序を含む国際秩序の転換につながる可能性すらあります。それだからこそ、我が国には、より一層、米国を始め各国と、緊密な連携とコミュニケーションが求められます。

改めてこのトランプ関税について、国際秩序、国内経済、関税交渉、の3点で見ていきたいと思います。

■国際秩序~新しい貿易管理の仕組みを

そもそも貿易はWTOによって国際管理されています。当然その理念は自由貿易です。歴史をたどれば、第二次大戦は世界のブロック経済化(関税応酬)が対立の起点であり、だからこそその反省から、終戦間際に連合国らによって構想されたのが自由貿易協定のGATTです。そしてWTOはその流れで設立されました。これが国際通貨基金(IMF)と並んでアメリカ中心の経済秩序ブレトンウッズ体制を構成することになり、更に軍事力と並んでパクスアメリカーナを形成します。

ところが、WTOが機能不全に陥ったのが2019年の年末ごろ。中国の不公正な貿易慣行に応えていないとの理由で、アメリカが紛争解決を行う上級委員会の委員選任を拒否したからで(WTOの紛争解決システムは2審制で、1審目がパネル、2審目が上級委)、その後、MPIAという暫定処理の仕組みはできたものの、機能不全は決定的になっています。

ただ機能してないからと言っても、本質的には自由貿易は2つの意味で理念として正しいはずです。第一に、経済の安定と成長のためです。かつて経済学者のリカードが比較優位論を主張したように、それぞれの国がそれぞれ得意なことを担って、お互いに特異なものを融通できれば、全体的に発展する、というのが本質的なポイントです。アメリカは歴史的にはそのメリットを享受してきたわけですが、中国が2001年に加盟してから、WTO体制のバランスが狂ったとも言えます。

そこで第二に国際秩序です。国際秩序の安定には経済相互依存が機能する、と主張された時代はすでに今は昔で、権威主義国家の台頭によって、相互依存を武器化する勢力の出現によって、相互依存に完全には頼ることができなくなりました。従って威圧国を包含する相互依存は修正されるべきで、自由貿易を前提としつつも経済安全保障の追求が必要となります。

そして現実的には2つの課題を念頭に置く必要があります。第一に米欧中の3大マーケットパワー国の存在です。これ自体で相互依存の時代から非対称依存の時代にシフトしたとも言えます。中国は巨大なマーケットパワー保有国であるため、トランプ関税への対抗措置を打てる国で、そのため両国は関税紛争に突入し、世界経済に深刻な影響を与えるはずです。加えて中国は、その力を利用し、世界の経済を自国に引き付ける戦略をとっており、トランプ関税で需要を失った国を取り込み、覇権の基礎固めをする可能性も指摘されてます。その点、欧州も巨大なマーケットパワー国であり、今後の対抗措置の動向も念頭に置く必要があります。

第二にASEANなどグローバルサウス諸国にもしっかりと目を配るべきです。貿易依存が高く、かつ米中双方との距離感が中心的な課題である諸国にとって、今回のトランプ関税は深刻な課題です。特にASEANは政治統合していませんので、マーケットパワーはありますが武器化はできず、防衛力が高いとは言えません。日本はそもそも貿易依存度がそれほど高くなく、マーケットパワーはありませんが、輸出拠点をアジア諸国など第三国に築いています。こうした構造を念頭に置く必要があります。

以上を踏まえたうえで、自由貿易の理念を守るためには、理想的にはWTO改革。包括的な安全保障条項を廃止したうえで経済安全保障を前提として再構築する。次善策は、同様の趣旨で貿易管理の新たな国際機関を設置する。ただ直ちには困難です。従って現実的には、自由貿易を基調としつつもサプライチェーンリスク等を管理しながら権威主義国に翻弄されないよう貿易関係を多様化し、加えて自由貿易の魂を絶やさないため、同志国との緩やかな自由貿易グループや、少数国間で協定などを志向し始めることは考えうるはずです。産業サプライチェーンは再構築を検討せざるを得ません。

■国内経済ーアテンションポリシーは混乱を生むだけ

日米の貿易取引は、自動車は6兆円程度の輸出超過、その他、医薬品1兆円弱、農水産物は2兆円弱、医療機器は1兆円弱の輸入超過、加えて貿易収支ではありませんが、サービス収支のうち、有名なデジタルサービス赤字は7兆円で対米赤字はその半分程度と言われます。その上で、日本は、対米投資は世界1位、対米GDP貢献は英に次ぐ2位、R&D投資はスイスや独に次ぐ3位の国です。以前のように対米黒字が大げさになっていることはないことがわかります。これは、何度か指摘していますが、日本の企業が生産拠点を海外に移したこと、国内投資より海外投資に積極的であったことが理由です。

現時点でトランプ関税の上乗せ措置は90日間停止していますが、上乗せ措置がなくても10%。加えて産業ごとの個別の措置は残っています。世界に対する影響は甚大です。ただ、マーケットに助けられています。皆様ご存じの通り、上乗せ措置を発表した直後、株も為替も、そして国債も売られたため、これを嫌気して延期となったと言われています。90日後も同様の傾向をマーケットは示すはずなので、果たして実際に上乗せ措置解除が可能なのか疑われます。そもそもトランプ政権の本位がどこにあるのかも定かではないので、上乗せ措置で一喜一憂することないのではないかとさえ思います。

その中で、日本にとって最大の課題は25%の関税が残る自動車です。また医薬品も近く発表するとされており、不安定な状況が続きます。従って、日本としてとるべきは、関連産業の国内雇用を死守するために、影響を受ける輸出業種を中心に、産業支援を供給サイドと需要サイドの両面で実施する必要があります。資金繰り支援や相談窓口設置はすでに政府が対応しています。一方で、国民全員への給付や減税の話も出ていますが、根拠不明です。SNSのアテンションエコノミーならぬ、政治のアテンション政策(政策の中身より注目される政策)は、混乱を生むだけです(アテンションの設計も良くありませんが)。政策効果の説明責任が果たせる確実な政策が必要です。

中長期的にはどうなるのか。まずアメリカですが、トランプ関税による輸入物価上昇要因と、中国対抗関税による在庫調整の輸出物価下落要因が混在することになるはずで、業種によって大きく分かれるはずです。総合的に言えば、貿易取引構造と貿易赤字国であることを考えれば、インフレ要因が強いはずですが、関税で直ちに価格転嫁が進むとは考えにくいので、デフレとなった後にインフレ圧力が強くなると見ています。従って、金利もそれに従って動くはずです。在庫調整や生産調整の期間の見通しは立ちにくく臨機応変の対応となるはずです。その後の見通しは、深刻なスタグフレーションは考えにくいですが、経済鈍化傾向に転じる可能性は高いと見ています。

そして日本ですが、米国国内インフレは輸出物価に価格転嫁されますので、アメリカからの輸入物価は上昇します。アメリカの輸出は、原油やLNGなど原材料が最も多く、次いで計算機や半導体などの資本財、医薬品や携帯などの消費財、そして自動車などが続きます。見落としがちなのですが、貿易収支だけではなくサービス収支にも目を向けるべきで、日本はネットサービスの消費が多く年間7兆円、そのうち半分をアメリカから調達しています。これらについても調整期間を得たのちには、価格転嫁される可能性が高いと見ています。つまりそれだけ経済にマイナスの影響となります。

こうした交易条件の悪化は、本来は付加価値創造と成長力で埋めなければならないのですが、トランプ関税の直接の影響で、単純に生産拠点を米国にシフトしようとの動きには警戒すべきです。それは、もはやすでに日本は国際収支構造でみると貿易立国ではなく、産業空洞化が相当すすんでおり、所得収支が海外に再投資されているので、日本は国内投資が進まず、付加価値を生まない国になっています。従って、国内投資を促進する方向に向かわなければなりません。その上で、あらゆる支援を成長力強化に繋がる視点で積み上げていく必要があります。その基礎になるのが、既存の国内経済政策の着実な実行であり、それは国内供給力・生産力の強化や、賃上げを伴う価格転嫁構造の実現です。

■関税交渉ー志向すべき方向性

トランプ関税は、貿易赤字額を輸入量で割って半分にした数字だと言われています。これが本当なのだとすれば、コメ関税700%などの誤解を解くことは、絶対に必要だとしても、殆どディールにならないようにも思います。政策というよりは、むしろ交渉なので、あらゆる選択肢を携えて、丁々発止で議論するしかありません。交渉ごとですので、詳細を書き連ねることは控えますが、上で述べた国際秩序構造や国内経済を念頭に、トランプ大統領というよりは、アメリカ国民が負担だと感じている問題に大統領が応えられる方向での交渉であるべきで、単に許しを請うようなことではなく、共に国際政治的にも経済的にも価値を築き増やす方向を志向し、アメリカの真の友人として毅然と交渉すべきだと感じます。

日仏友好議員連盟総会

先日、駐日フランス大使フィリップ・セトン閣下をお迎えし、事務局長を務める日仏友好議員連盟総会を開催いたしました。これまで率いていただいた甘利明会長のご勇退を受け、新たに岸田文雄前総理が会長に就任しました。欧州安保環境の劇的な変化のなか、日仏両国の関係深化は必須との認識のもと、経済、安全保障などの幅広い分野における意見交換を行いました。今後も両国の経済連携、安保連携を一層深めるべく、引き続き議員連盟として積極的に活動を進めて参ります。

トランプ関税ー衆議院財務金融委員会

昨日、衆議院財務金融委員会での一般質疑に立ち、トランプ関税や目下のインフレに関する議論を、加藤勝信財務大臣と行いました。

関連記事:「報復関税は可能」加藤財務相 トランプ氏の相互関税 自民・大野氏「根拠薄弱で遺憾」

内容は、第一に、トランプ関税について。過去に党経済安保推進本部で、他国から経済的威圧を受けた際にとれる対抗手段の在り方を議論し、具体的な措置を講じるよう政府に求めてきましたが、その際の結論は、打つか打たないかではなくて、打てるようにしておく、と言うことでした。今回は関税定率法に定められる報復関税の議論。何が問題だったかというと、法律上はWTOの承認が必要なのですが、それが機能していない現状で、打てるかどうか、すなわち法律上可能なのかどうかが争点でした。交渉上は重要な要素です。加藤勝信大臣に答えを出していただきました。

第二に、目下のインフレもそうですが、議論の前提として、海外との交易条件の悪化が生じた際、その負担は価格転嫁が進めば家計の負担、進んでいなければ企業の負担になり、価格転嫁が決定的に重要であることを共有した上で、物価上昇では税収は自然増となるので、歳出も増やすべきことを政府に求め、加えて国内の供給力が低下していることから、供給力の向上に資する投資を中心に経済対策を打つべきことを指摘増しました。

在豪米国研究所安保局長

オーストラリアのシドニー大学内に設けられた米国研究所(United States Studies Centre)のHayley Channer経済安保局長がお越しになり、時宜にかなった有意義な意見交換を行いました。

言論安全保障

空気感からの自由

言論の自由が危機に瀕しています。と言っても、検閲や法的規制など、政府からの自由ではなくて、巷の空気感からの自由です。SNS等の言論空間のなかで、先鋭化したコンテンツを発信する発信強者がほぼ無制限の自由を謳歌し、いじめの構造にも似た独特の空気感によって、その他の者の発信の自由が委縮し、穏健で成熟した議論の積み上げがなくなり、発信強者が世論を形成し、健全な言論空間どころか健全な民主主義にまで影響を与えうるようになっているのではないか。選挙に対して海外から組織的な影響力工作がなされる可能性すらあるのではないか。そうした現状を前に、様々な方面から懸念が表明されています。

先鋭化するSNSの脅威

極端な意見がバズり拡散される傾向にありますが、そうしたコンテンツは強い発信動機のある先鋭的な層から発信されます。一方で穏健で思慮深い層はそもそも敢えて情報発信をする動機に乏しく、先鋭層に対して敢えて戦いを挑もうとするはずはなく、結果的に先鋭な意見が穏健な意見を押しつぶす傾向になります。その結果、極端な意見がSNSを埋め尽くし、健全な意見集約にはならず、全体が先鋭化します。かつて英元首相ボリス・ジョンソンが退任するとき「我々は国民の代表だ。ツイッターの代表ではない。」という演説をしていたのが印象的でした。

政治家も回転すしの醤油瓶

先鋭的な意見であっても、健全な動機で発信している人ももちろんいますし、自らの意見に反対する意見に、全ての人が攻撃を仕掛けるわけでもありません。ただ、問題とされるべきは、コンテンツとは関係なくインプレッション獲得による収益最大化を狙っている者です。いわゆるアテンション・エコノミーです。大規模災害のときに収益目的で扇動的な偽情報を拡散する輩がいることは皆様もご存じだと思います。人の不幸をカネにするとは非道だと私は思います。

政治がそうした収益目的のインフルエンサーと合体すると、偽情報が拡散しやすい。政治に無関心でも政治家をネタに収益化できるからです。ほぼ何も考えずに面白おかしく収益化できるからです。政治家の発信を多少細工して先鋭化させれば収益化できてしまいます。切り抜き動画などを作成している間に偽情報になっていくというものです。これは昔、回転すしの醤油瓶を舐め回すコンテンツでインプレッションを獲得し収益最大化を狙った者と同じ動機です。舐め回された政治家はたまったものではなく、普段から舐めまわされないようにおとなしくしている他ありません。ある種、政治家が消費されている状態です。

テレビをしのぐSNS等の広告収入

テレビ等の放送業界は基本的には広告収入が収益の中心になります(もちろんそうではない放送会社もありますが)。従って、広告主に極端に有利な番組内容にならないようにガバナンス体制を整えています。ただ報道の自由は大切なので、政府は当然ながら厳しい個別規制ではなく、合理的な範囲のルールということになります。その意味で、放送業界は無制限の自由を獲得しているわけではなく、健全な報道の自由や言論の自由を担保するために、放送法という業法の下で、自主的な取り組みをしてきた業界です。

一方でSNS等は業法規制対象では当然なく、唯一、情報流通プラットフォーム対処法が整備されているだけで、基本的には事業者の自主努力に大きく委ねられています。もちろん自主的だからダメということではなく、事業者自身も相当の労力を費やしていることは承知をしていますが、こうした自主努力は世論に弱い。従って、放送法に類する何らかの法的基盤が私は必要だと思っています。

情報を多くの人に伝える手段という意味では、もはやSNSは放送事業者と変わりません。SNSの空気感による言論危機も、戦前の反戦国賊の空気感と同じで、基本的には国民リテラシーの問題ではあるのですが、だからと言って先鋭化し始めた社会のなかで、何もしないわけにはいかないと思っています。

SNSの健全な発展のために何をするか

ポイントは、SNSにあふれる不適切な情報、嘘の情報とをどのように扱うのかです。何が嘘で何が不適切かを行政が判断するという方向には絶対にならないので、ビジネス全体の健全化のための取り組みが求められます。

既存ビジネスモデル

SNSは1人で気軽に無料で世界中に情報を発信できますが、インプレッション(閲覧数)やエンゲージメント(反応)に応じて収益化できるため、刺激的な情報や正確ではない情報でも、バズれば得だ、と考えるようになります。「テレビは絶対報じない○○」とか「削除覚悟の暴露」とかのタイトルをご覧になったかたもいると思います。いわゆる炎上商法もあるでしょう。

プラットフォーム事業者(PF事業者)の収益は主に広告主です。PF事業者からみると、無料でアカウントを提供している一般ユーザが、コンテンツ配信でインプレッションを稼いでくれて初めて、広告主から広告料を徴収できる。そういう意味ではユーザあってのPF事業者なのですが、広告主から見ると、問題のある不適切コンテンツばかり発信しているようなユーザのチャンネルで広告をだされると、評判が下がることになります。

方向性

既に党として提案している内容は報道にもある通りで、一部の収益停止とアカウント実名公表選択の義務化ですが、そもそもPF事業者の健全性を広告主が評価できる仕組みは検討の余地があると考えています。コーポレートガバナンスコードという考え方に近いのかもしれません。しっかりと検討し実装していきたいと思います。

揺らぐ欧州の安保基盤

トランプが大統領の座に返り咲き、NATO諸国にGDP5%の防衛費を求めるとともに、ウクライナ戦争の停戦に乗り出しました。トランプの戦争観は、人権とか平和とかではなくて無駄とされますが、政権幹部の性急かつ大胆な言動で、欧州に激震が走っています。トランプの真意がディールなのか本気なのか、誰も分からないことがそもそもの根本的問題で、戦略的対応を求められる課題であればなお、共同歩調をとることが各国にとって困難になっています。

NATOの初代軍事委員会委員長や初代米軍統合参謀会議議長を務めたオマール・ブラッドレーはかつて、「素人は戦略を語り、プロは兵站を論じる」と喝破しました。ウクライナにとっても、目前の戦闘で多くの命が失われている現実を前に、戦略よりも停戦交渉を含む戦闘対処が喫緊の課題ですが、停戦の仕方によっては、ウクライナの将来像のみならず、世界の秩序の在り方そのものにも影を落とす可能性があり、ウクライナにとっても世界にとっても、戦略は極めて重要になります。

そもそも欧州諸国にとって、欧州の将来を欧州が決めれる欧州自決こそが重要で、欧州そっちのけの米露間だけで停戦交渉が進展することは何としてでも避けたいはずです。この状況をヤルタ会談になぞらえる識者もいますが、大戦のころの国際政治でもあるまいし、必然的に思慮に欠けることになるディールによって国際秩序が決まることは、必ず禍根を残すはずです。ディールではなくルールに基づく国際秩序の原則は、我々が地球上で生きていく上で最後の砦なはずです。ついでに言えば、ディールは急ぐ者が不利になり、急がざる者が有利になることを、前提として認識すべきです。

報道にもある通り、昨日ドイツは戦略的視点で防衛力を抜本的に向上させるため、憲法の財政規律条項の改正を果たしました。もちろん日本と違って政治状況に併せて柔軟に憲法が改正される国ですから、我々の感覚とは異なるのだとしても、米国からGDP5%の防衛費を求められたからというよりは、米国抜きでも欧州の安全保障構築に乗り出そうとの意思だと理解でき、まさに歴史的転換点です。ドイツだけではなく、フランスも先日、米国以外の主要各国首脳を集めた会議で、拡大抑止に言及しました。これまでの常識の範疇でものごとを考えることが不可能な時代に入ったということであって、新しい国際秩序を考えなければならない時代となりました。

このことは、遠い欧州の話ではなく、我が事として認識すべきです。

トランプ政権が介入し一部であっても停戦合意ができたことは非常に意義があると思います。ただ、ロシアは2014年のクリミア侵攻後に行われた停戦合意をことごとく踏みにじっており、現在の停戦交渉を単なるディールで終わらせるべきではありません。実効性担保のメカニズムがなければ、すなわち安全の保証がなければ、全く意味はないはずです。現在ロシアはウクライナの非武装化を求めていますが、非武装化したら再侵攻という流れは既定路線であって、流石にもう誰も騙されないわけで、まず受け入れられないことです。

停戦の課題は主に3つとされています。1.ロシアに侵略された占領地の帰属、2.ウクライナのNATO加盟、3.再侵略を認めない平和の保証です。いずれも非常にハードルが高い。

1の占領地帰属については、ロシアは占領地のみならず占領していない地域を含むウクライナ東南部4州の帰属を法的に保証することを求めていますが、誰しもが想像できるとおり、力による現状変更を認めていいはずはなく、断じて認めるべきではありません。

2のNATO加盟については、そもそも論です。2008年、ウクライナはNATO加盟に意欲を示しましたが、独仏が難色を示す中、米国ブッシュ政権は独仏の反対を押し切って、全面支持を表明しました。これを口実にロシアは2014年にクリミア半島奪取に動いたわけですが、現在ロシアが求めるようなウクライナのNATO加盟禁止を法的に確認するなどということを、すなわちNATO諸国がウクライナをロシアに売り渡すようなことを、何の留保もなく単純に認めるわけはなく、トランプ政権であっても、ウクライナ自身に加盟は難しいと言わしめる以外、ハードルが高いはずです。

3の平和の保証については、米国がNATO諸国に求めたものですが、停戦合意の実効性を担保するためには極めて重要だと言われています。英仏は治安維持のための部隊派遣を前向きに検討しているとの報道ですが、完全非武装化を求めているロシアに停戦監視を受け入れさせることができるかが焦点です。

いずれにせよ今後の交渉は極めて難航することが予想できますが、少なくとも主要国の足並みが乱れないように日本としても努力する必要があります。というのも、繰り返しですがこれは決して遠い欧州のことではなく、新しい世界秩序の在り方に大きく影響を与えるものだからで、他国の紛争に何もできないからと言って外交努力を一切しないでいいという訳には全くいかない問題です。少なくとも、歴史が証明しているように、ディールによる国際秩序は大きな禍根を残します。ディールではなくルールに基づく国際秩序の構築に向けたフレームワークの提唱を積極的に行っていくべきです。

日本学術会議法案を了承

(写真引用:日本経済新聞)

昨年から事務局長を務める党アカデミア役割検討PTにて、過日、掲題の日本学術会議法案が了承され、本日、党の政調審議会及び総務会にて法案概要を説明し、了承されました。法案はほどなく閣議決定され、国会に提出される見込みです。サイバー法案に次いで長らく議論を重ねてきたもので、感慨深いものがあります。

日本学術会議を巡っては、戦後から法人化の議論が続いておりました。政府機関であること自体、海外関連機関から独立性に問題がある、と指摘されていました。日本経済新聞が指摘しているように、「ようやく収束する見通しとなった」ものです。

学術会議はこれまで、「政府からの独立性」を殊更主張していました。独立性は極めて重要なので、本法案で、これまで政府の機関であったのをとりやめ、独立した法人化にすることになりました。ところが国の支援は必要だ、とのことなので、財政手当を法律で担保することになりました。税金を投入するので、当然のごとく執行についてはガバナンスを求めることとなりました。普通の国立大学でもガバナンスは規定しています。

一方で、これを国策化と見る向きがありますが、政策立案リテラシーの欠如です。日本学術会議でなくて、他の特殊法人を設置するとしても、税金を投入するのであれば、この程度のガバナンスは必要です。おそらく行政の政策立案をしたことがない方の意見でしょう。政府との関係においては、学術会議は政府に対する健全な批判をいくらして頂いても構いません。問題は課題の前提や制約条件があっていないことなのです。それを合致させるために私が本来やりたかったのは、完全に独立させ、ガバナンスは自主的取り組みに委ね、財政は完全にプロジェクトベースに移行するものです。議論の推移を見ながら、必要であれば将来検討していきます。

この法案については申し上げたいことが山ほどありますが、法案審議後にあらためて報告したいと思います。ただ、どのように報じられているかだけ添付しておきます。朝日新聞だけ突出した報じ方をしており、科学の問題がいかに政治化されているかを如実に表すものとして、まじめに科学の発展に心血を注いできた者として失望を感じます。

・日本学術会議 国から独立した法人とし財政支援行う法案決定
・NHK:学術会議は社会に価値を 政治と科学の対立に終止符
・産経新聞:学術会議、税金投入額2割増の12億円 与党「見合った活動なければ、さらなる改革も」
・毎日新聞:日本学術会議を「国の特別機関」から「特殊法人」に 法案閣議決定
・朝日新聞:(社説)学術会議の法案 学問の自由脅かし 禍根を残す

以下、参考までに不肖私が取り上げられた記事を掲載しておきます。

・BS日テレ:日本学術会議法改正巡る対立 政治とアカデミアの適切な関係とは
・日本経済新聞:学術会議の会員、経済界や海外から

サイバーセキュリティイベントに参加

金融庁が主催する金融関係の大規模イベントがあり、サイバーセキュリティーに関するラウンドテーブルにお招きいただきました。同僚神田潤一代議士の紹介によるものです。同フォーラムは、金融サービス関係者、政策立案者、ビジネス、投資家など、世界中の政府関係者や専門家が集うイベントで、3万人が登録しているとのこと。オープニングスピーチをすることになっていたのを知らず、少し失礼してしまいました。英語のみのラウンドテーブルは、今いち本意が伝わっているかどうか自信はありませんが、1時間半に亘る世界の専門家との有意義な議論ができました。

https://gftnforum.jp/gftn-insights

https://gftn.co/

https://gftnforum.jp/speakers-2025/spkr10154-ph-d-keitaro-ohno