風評被害

  
一昨年のことだったか、知人から、企業倫理について話をせよ、と依頼され、寺田寅彦の科学する心を主軸に、日本人の倫理観について話をしたことがありました。準備のため、寺田作品を読み漁っていると、小生の親父が生まれた直後の昭和10年11月(親父は10月生まれ)に発表された、「小爆発二件」、というエッセーに目が留まったのを記憶しています。

このエッセーは、寺田寅彦が軽井沢に保養で宿泊している際の、浅間山の噴火爆発の経験を題材にしたものですが、舞い上がる噴煙に対する科学的考察とともに、寺田が感じていた当時の文学の粗雑さを心から案じる記述が妙にシンクロと申しますか、マッチして、心に残っていました。

「天災は忘れたころにやってくる」とは、寺田寅彦のものだとされる警句です。が、寺田はこのエッセーで、「物事を怖がりすぎたり怖がらなさ過ぎたりするのは簡単だけど、正当に怖がるのは難しい」という趣旨のことをおっしゃっています。

風評被害が相当でているようです。恐怖をコントロールするのは難しく、ビジネスが絡むとさらに難しい。その為にはなおさら政治が情報を正確に伝えなければなりません。

復興財源いま

  
一体どうなってしまっているのだろうか。震災復興予算で1次補正は所謂有り金(あるいは財源やりくり)でなんとか凌げそうですが、2次補正を含め、今後の復興に必要な財源のメドは全くたっていません。ですが、小生は、絶対に国債発行すべきだと思っています。

しかし・・・。日銀引き受けとけいけいにおっしゃる政治家がいらっしゃいます。つまり、お札をじゃんじゃん刷って使おう・・・ということですが、もちろん、議論は議論ですればいいのですが、実際にやるとなると問題が多すぎます。なんだか単に国民の批判をかわそうとする姑息な手段であり、国民の心を魂に売って、自分だけ天国に行こうとする態度であろうかと思います。

こういう無責任は国家としてはできません。政治がけいけいに口にすべき話ではありません。

それから、消費税が急激にスポットを浴びています。税より国債です。しかも財源としての税だとしても、消費税ではだめだと思います。被災地も困ります。元気の源である非被災地から活力を削ぎます。消費が冷え込みます。やるならば、所得税などであろうかと思います。

塩野七生さんが文藝春秋上でおっしゃっていた話ですが、昔、イタリアがEU加盟する際に累積赤字が禍して入れなかった。当時の首相は何をしたかというと、国民の全預貯金から、「勝手」に「密か」に0.05%国庫に強制徴収した。むちゃくちゃです。が、危機の際に大鉈だったのだと思います。これをせよとは言いませんが、消費を冷やすことなく、財政規律を守るメッセージを出しながら、復興費用を早急に調達しなければならないとすれば、堂々と国債発行し、財源は次年度から直接税で賄うのが筋だと思います。

 

風呂を届ける!その他、アイディア!

 
風呂を被災地に届けようと動かれている方が丸亀にいらっしゃいます。斉藤正さんという建築家です。とある方にご紹介いただき、一度、お電話で話したことがあるだけなのですが、とにかくすでにメディアでも多く紹介されていますが、こういうアイディアが沢山でればいいなと思っていますし、皆様も是非、こうした活動に可能な限りご支援いただければと思います。

http://www.koshiki.net/
http://www.news24.jp/articles/2011/04/01/07179879.html

もっと奇抜なアイディアでも、役に立つなら行政も採用するべきだと思います。例えば、中古でも大型の客船を被災地にもっていけば、仮設住宅をポチポチつくるよりも遥かに早く安く確実に住居が確保できると思います。

問題は、この期に及んで、そんなばかばかしい、と、一蹴してしまう行政の対応です。奇抜だって役に立てばいいではありませんか。こんなアイディアをどんどん採用すればいい。前例なんかあるわけがない。世の中いろいろと難しいものです。

東海・東南海・南海大地震

先に、豊浜町在住のTさんから事務所にメールを頂きました。曰く、東海・東南海・南海地震について、現在の議論や対策・防災計画などを、広く広報すべきである、とのご指摘を頂きました。

おっしゃるとおりです。今後30年以内に発生する確率は60%とも90%とも言われています。災害規模はスマトラ沖地震なみとされ、平成15年に計画が策定された時点では、被害想定が発表されています。

皆様、是非、一度ご覧になっておいてください。

東海・東南海・南海地震 内閣府対策(法令・計画・組織・被害想定など)
http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/taisaku_nankai/nankai_top.html

東海・東南海・南海地震被害想定(上記を纏めたものと思われる)
http://www.bo-sai.co.jp/tounankainankai.htm

四国 東南海・南海地震 対策連絡調整会議
http://www.skr.mlit.go.jp/bosai/jishin/torikumi/chosei/chosei.html

義援金の行方

 
いろいろな団体が義援金募集活動を行っていますが、殆どは日本赤十字社に集まります。では、日本赤十字社はその集まったおカネを何に使うのでしょうか。

昨日、とある淑女から、「大体何に使われるか分からないじゃないの。誰かにくすねられても分からないわ。政府が上手くくすねているんじゃないの?」という質問を受けました。

斯くも疑いの目で見ると限がないのですが、政府は直接的には関与していません。日本赤十字社が怪しいかというと、それはない、と、断言したいところですが、いつか調べてみようと思っています。

日赤で集まった義援金は、結局はその殆どが地方自治体を経由して被災者に直接お見舞金として渡されます。プロセスや金額、条件などの詳細は、関連する県に義援金の配分を決める委員会が立ち上がって、そこで決定されます。

例えば、自宅が倒壊した場合や、親を亡くした子供や、重症を負った場合など、それぞれに金額が決定されるはずです。

どのくらい最終的に集まるのか分かりませんが、仮に2000億円くらい集まったとして、10万世帯に配分したとして、単純計算で、1世帯200万円くらいになるでしょうか。これでも家を建てるのは非常に困難です。しかし、これ以上に美しいおカネはないと思っています。

谷垣総裁は入閣打診を受け入れるべきだったか

 

震災発生後約二週間が経過しようとしております。懸命な復興活動をおこなっている皆様には頭が上がりません。

ところで先日、菅総理が自民党の谷垣総裁に災害担当大臣としての入閣の打診をし、谷垣総裁が直ちに拒否をしたという報道がありました。

どうやら総理は民主党内での議論もなく誰にも相談なく直接谷垣総裁に入閣の打診をしたようで、確かに少し乱暴うな気がします。しかし、責任逃れと国民の皆様から受け取られることは必至であろうかと思います。

どうすべきであったのか。

小生は今の二大政党制は全く成熟しておらず、単なる子供の喧嘩になりがちなシステムであるという認識のもと、大連立は政治の安定のため、必要ではないかと思っています。

この考えに基づけば、谷垣総裁は、入閣の打診を受けた時点で、以下の方針を打ち出すべきであったと考えます。

1、政党間の協議の場を設け、直ちに災害復興のため協力くする旨の政策協定を結ぶ。

2、災害担当大臣1人の入閣では、責任と権限のバランスが悪いいので、防衛大臣、総務大臣、国家公安委員会委員長、の3ポストを同時に自民党に渡してもらうか、災害関連について同3閣僚に災害担当大臣の隷下に入っていただく(防衛大臣は自衛隊、総務大臣は消防、国家公安委員長は警察)。

3、災害担当大臣には、谷垣総裁以外のどなたかをアサインする。

以上で、権限のともなった責任ある仕事ができるというものです。(そもそも災害担当大臣っていったって、それだけでは裸の王様で何もできっこありません)。

できることからはじめる

県庁に務めている同級生Dとの会話。

D:俺、毎日報道見てて、自然と涙がでてくるんだ。
K(私):そうだな、俺もだよ。
D:違うんだ。悲しくてじゃなくて、もちろんそれもあるけど、国家の危機に際して懸命に公に身を奉じている人達の姿に、涙が止まらなくなるんだ。

いろんな人が我が事のように懸命に努力しています。この涙、もしかして特攻パイロットの映像をみて流れる涙と似ているのかもしれません。きれいごとではなく、私にできることをしたいと思っています。

2つの腹立たしいこと

自衛隊、消防、警察、あるいは地域ボランティアの方々の懸命な活動が続いています。心からの深甚なる敬意と感謝の念で一杯です。

これだけの状況に、誰しもが何か自分ができることがしたいと思っていらっしゃることだと思います。私も仕事としての活動以外に、募金の活動を行っています。街頭募金をやると、多くの方が立ち止まり、1000円札を、あるいは500円玉を、どんどん入れてくれます。本当に心が一つになっていることを実感します。日本人の殆どが、無心で単に何かしたい、そう思っている、と実感します。

ところがです。ところが・・・・

そんな中、非常に残念なことが2つあります。いずれもおカネにからむことです。

実在する団体(市役所など)などを名乗った募金詐欺が発生しているそうです。腹立たしい。悔しい。虚しい。その他の日本人の気持ちを踏みにじる言語道断の行為です。違法か否かに関わらず、断罪したい行為です。犯人を捕まえだして、警察に突き出す前に、市中に1週間さらし者にしたい気分です。

もう1つ。円高です。史上最高値になりました。一瞬、なぜ、と思いましたが、報道にあったように、復興資金を一旦日本に引揚げる必要がでてくることを予想した日本向け投機マネーだそうです。こうした動きをしたのはどこのだれかわかりませんが、災害を直接金儲けのネタにするとは、こちらも先ほどの詐欺と同等です。(ただ、こちらは協調介入ができましたので、主要国の心は頂いた形になりました)

海外から届く温かい声


東北関東大震災の日から1週間近くが経とうとしています。

この間、海外の知人からお励ましのメッセージが多く寄せられました。安保専門家で売り出し中のKlimanさん、韓国のHwangさん、シカゴのDuさん、中国のLiuさん、台湾のChenさんなどなど、多くの方から、温かいメッセージを頂きました。今、世界各地で、日本頑張れと応援してくれているのを感じます。例えば、サッカーの世界大会の冒頭、「日本よ、僕らはいつも君らのそばに居る」という趣旨の垂れ幕を掲げたチームがあったとか(テレビで一瞬みました)。英国の新聞も、一面に日本語で「がんばれ日本」という記事を載せていたそうです。本当に心の襞にまで染み入る温かい声援です。

有難うございます。小生は小生でできることを最大がんばりたいと改めて思った次第です。