木戸幸一と非常事態

(写真出典:wikipedia)

昨年あたりから近現代史について筒井清忠先生に学ぶ機会を頂き、大変幸運だと思いながらも知識の少なさから歯ぎしりをする場合が多いのですが、改めて別の機会で先生のお話を伺う機会がありました。題して近代日本の政治的非常事態。話は二・二六事件についてです。

大変多くの示唆に富む話で結論だけ掻い摘むことも難しいのですが、敢えて冒頭に本旨だけ言えば、事件はご存知のように、皇道派青年将校がクーデターを起こすものですが、目的であった皇道派政権樹立を達成するためには天皇のご聖断(裁可)が必要であった。一方で暗殺された内大臣の秘書官長であった木戸幸一が早々に暫定内閣樹立阻止のために天皇の方針を叛乱鎮圧一本に絞ることを打ち立てたため、事後に多くの皇道派重鎮が参内して暫定内閣樹立を天皇に上奏しても、首相臨時代理が閣僚の辞表を纏めて天皇に提出しても、天皇が拒否し続けたため、反乱軍の成功に帰すことはなかった。つまり、木戸幸一の洞察力と行動力によって属人的にクーデターが回避された、というもの。なるほど。

更に言えば、事態収拾にあたった陸軍中央の動き。一言で言えば動きが早い。その理由には少し歴史があるそうな。もともとの統制派中堅幕僚による初期の研究テーマは高度国防国家建設。その流れで後に片倉衷大尉らが、政治的非常事変が勃発した時の当面の対策と中長期的国策の検討を行って報告書にしたのが1935年の「政治的非常事変勃発に処する対策要綱」。政治的非常事変とはまさにクーデターのことで、統制派と皇道派の対立が深刻になっていたからこそ予見していたのかもしれません。

この報告書が事後の陸軍中枢の行動の参考にされた可能性は高いといいます。確かに事変後ほぼ丸1日で歴史上3回しか発出されなかった行政戒厳令の天皇裁可までこぎつけ、戒厳令が発出されたころには、彼の有名な奉勅命令(反乱軍の原隊復帰命令)の準備が始まっていたというのですから、まるで周到に用意されていた行動に見えます。当時の軍隊が実戦経験が豊富だったというのも大きいかもしれませんが、天皇と政治が絡む行動なので単純なオペレーションではなかったのだと思います。いずれにせよ、周到な準備による対処のシステム化が為されていたとも言えます。

危機の対処には、指導者層の属人的能力、平時からの想像力と対処ルール整備、が必要だということを、たとえは悪いのですが、物語っているのだと思います。もちろんそれだけではなく、更に言えば、迅速な行動、情報や意識の共有、様々な事柄が求められます。しかし今回のコロナ感染症対策で思うのが、やはり平時の想像力と対処要綱策定。日本人はこの手の問題が不得意と言われます。なぜならば、起こってもいないことを、起こった時にどうするという議論を進めるのは、なんと骨の折れることなのか。私自身も経験があります。起こらないよ、そんなことは、という白い目で周囲から見られるのを横目に、事を運ばなければならないからです。

しかし、これまでも、結局起こったじゃないの、と言う羽目になったことが多い。もちろん、平時に立案した計画がうまく行くとは限りませんが、検討しておくことは重要なのだと思います。平時からプランB研究が必要です。

ため池の管理保全について

司馬遼太郎の空海の風景という小説をご存知の方は多いと思いますが、まさにため池を中心とした讃岐の田園風景が見事に描かれています。空海は、水不足にあえぐ讃岐の地に多くのため池を残してくれました。もちろん、香川県だけではありません。全国に10万を超えるため池があり、その7割は江戸時代より以前に築造されたものか、築造年不明のものだそうです。そして構造不明のまま老朽化が進行しています。

ため池が一番多いのは兵庫県。広島、香川、岡山などと続きます。管理しているのは、個人であったり水利組合であったりとマチマチ。また、高齢化で管理の担い手が不足しており、管理が行き届いていない場合が多い。場合によっては、所有者や管理者が不明であるため池も多く見受けられます。ある種の公共施設であるにも関わらず、直接的に公共管理されているものは多くありません。

一方で、ここ10年を振り返ってみると地震や豪雨災害が多かったことが記憶に鮮明に残っていると思います。私が議員になって直後から、ため池管理保全に関する要望を多くいただいておりました。実際に、過去10年で被災したため池は1万か所、決壊したのは400か所。つまり、年間平均1000か所が被災し、40か所が決壊していることになります。驚きの数字ではありませんか。

そういう事情もあり、初当選直後に自民党の農業農村基盤整備議員連盟にため池小委員会を設置していただき、事務局長として活動をしてまいりました。恐らくため池に特化した議員連盟の会議体はこれが唯一なのだと思います。その後、先輩議員の力強い後押しでため池対策を拡充してきた自負はあります。ただ問題はまだまだ多い。それは人的災害が生じかねない防災の観点が主だったものです。

数年前に、まずは見える化しようということになり制度化した防災重点ため池。約1万超の防災対策が必要なため池を洗い出したものの、平成30年7月豪雨の際に32か所が決壊。なんとそのうち防災重点ため池指定はたった3か所でした。そして実際に一番心配していた人的被害がでてしまいました。正直甘かった。では済まされないくやしさを感じました。新聞紙面の一面に「ため池」という文字が何度も踊っていたのを鮮明に覚えています。

この7月豪雨災害を受けて政府は立法化に動き出します。ため池管理強化を目的に、ため池所有者に都道府県への登録を義務付けると共に、所有者に管理の努力義務を課し、さらに防災上重要なため池を指定して必要な防災工事の施行を命ずることができることを柱とした、農業用ため池管理保全法が閣法として制定され、令和元年6月に施行されました。

これと並行して、7月豪雨の反省として、防災重点ため池の新しい基準を策定し、再点検を実施したところ、法律成立後の令和元年6月になって64000件が防災重点ため池に再選定されることになります。従来の約1万強を大幅に上回るため池が対象となったわけです。さらにこの再点検で、ため池の管理状況が改めて明らかになりました。維持管理体制が極めて脆弱で権利関係が不明確であるなど、ため池の抱える問題が浮き彫りになりました。また、使われることもないのに整備するのは愚の骨頂です。昭和の政治でもあるまいし、それは全力で避けねばなりません。従って廃止も全力で取り組まなければなりません。

人的被害の発生を二度と見たくない。これだけ多くの対策が必要なため池を前に多少途方に暮れたときもありましたが、ざっくりと計算すると全く不可能ではないことが分かりました。そしてやらねばならぬことも明らかになりつつあります。それは大量の要詳細調査・要改修ため池の計画的かつ早急な実施のためには、既存のため池管理保全法では不可能だということ。つまり、平たく言えば同法はそもそも6万超を想定していたわけではなく、所有者に管理義務を課していたものの、それは努力義務であって、最も必要な人的支援・技術支援、そして財政的支援を明示的に示しておらず、集中的にため池をアップデートしていくには不十分だということです。同法では規制は定めているものの、必要な対策を迅速に実施するための制度、つまり国と地方公共団体の計画や役割分担の明確化や技術的支援体制、また財政措置等を安定的・明示的に担保するスキームが必要だということです。総合的な対策を計画的かつ強力に推進するためには新法が必要ということになります。

これらは、農業基盤整備の専門家でもある同僚議員と同志諸先輩の熱意で明らかになってきたものです。自分に専門知識がないことを恥じながら、それでも熱量だけは同じレベルで取り組んで行きます。またこの場で報告します。

地銀はメガと連携して社会的課題事業に取り組むべき

(写真は党本部の会議の様子)

本日朝8時、党の地方創生実行統合本部(河村建夫本部長)と金融調査会(山本幸三会長)の合同会議が開かれ、地域金融経営力強化について議論を行いました。

地銀の地域経済における役割は言うまでもなく極めて重要で、それは地域経済を唯一面で見れる立場だから。さらに言えば、日本の経済を支える中小企業と直接向き合っているのが地銀であって、その中小企業が人不足と事業承継に悩んでいるとすれば、地銀こそが出番なはずです。

ところが金融政策によって金利が極めて低い水準にあるので、銀行は本来の金融仲介機能の役割をしっかり担う状況にない。つまり、本業の金貸し業以外でも経営基盤を安定させ、本業でしっかりと資金を供給することが必要なはずなのに、地銀はビジネスモデルの転換を行えておらず、旧来の収益モデルから脱していません。

全国平均のデータを見ると、地銀の経費率は比較的高く手数料収益率が低い。そこで先般、法律を改正して合併を可能としたのですが(独占が疑われるため)、合併しても経費削減にはなるけど、収益はほとんど変わっていないがの現状です。

一方で、メガは地方をよく見ています。ただ、メガが地方でリテールにのりだすのはほとんど不可能だし不得意なはず。それでも、地方の中小企業は重要なので、オープンイノベーション促進のためのイベントを地方各地で行っているようです。考えてみれば、金融や事業承継コンサルはメガも得意なはずです。ここは重要で、後程述べます。

地銀の中にも地域の面での活性化を目指して新しい分野に積極的に取り組むものもあります。本日の本題の話です。例えば滋賀銀行は、地域の社会課題解決ビジネスに乗り出す戦略を発表しています(私は今日知りました)。銀行のビジョンと計画を策定し、従来の発想にとらわれず、社会課題をビジネスで解決することで、新しい事業環境を銀行自ら創造していこうとしています。そうなんです!そこなんです!ここが重要です。

社会課題解決に関心をもっている若者はめちゃくちゃ多い。東京で定年を迎えて地元に帰ってきた優秀なアクティブシニアそうも同じです。問題は、どんな社会課題が地域にあって、どういうステークホルダがいて、どんなファイナンスツールがあって、地域にどんな使えるアセットがあるのか、把握は容易ではない。しかし、地銀って全部知っているんです。

ファイナンスセクターとしての地銀に期待しているわけでは全くありません。金融コンサルもできるマッチング機関としての役割を担って頂くことが重要なのだと思っています。なぜならば、スタートアップの社会的事業者に間接金融を提供しても大きな意味はないからです。むしろ、地銀にはメガと協力して、大手企業を巻き込んだオープンイノベーションやマッチング機能を果たしてくれればと思うのです。

コロナー経済対策

コロナウイルス感染症に関し、まだまだ予断を許しませんが、1日の新規感染者が指数関数的に増加する深刻な状況は免れています。全員で歯を食いしばって耐えている結果なのだと思います。

一方、経済状況が心配でなりません。昨年から指摘しております通り、コロナウイルス感染症の影響がなかったとしても、今年の世界経済動向はそれほど明るいものではありませんでした。そこにきてコロナです。財政政策、金融政策を中心に、総動員して対処していかなければなりません。規模も重要です。

先週末の6日、麻生財務大臣は記者会見で、コロナウイルス感染症の影響による事業者の資金繰り支援として、民間金融機関に対して、踏み込んだ要請をしたと発表しました。一言で言えば事業者支援を迅速・適切・丁寧に実施することなのですが、現場の営業担当まで徹底すること、不必要な書類を事業者から求めないこと、そして貸付条件変更の申請数や変更実施数、謝絶数の報告も求めました。

また日本政策金融公庫等に貸付資金5000億円規模を確保、経済対策第二弾を速やかに策定する旨公表しました。

ついで10日、政府は0.4兆円の財政措置に加え、総額1.6兆円規模の金融措置を発表しました。後者の中身は、日本政策金融公庫に5000億円規模の無利子・無担保の資金繰り支援となるコロナ特別貸付制度を新設(対象はコロナで5%以上売上高が減少した事業者で、中小は3億円、国民事業は6千万)、政投銀や商工中金の危機対応業務を発動、サプラチェーン再編支援として2040億円、またJBICで日本法人の海外事業の資金繰りやサプライチェーン対策として2500億円などです。当面は十分だと思います。

支援枠はできました。問題は迅速な実施体制が組めるか、そして財政政策も含め、今後も矢継ぎ早で適切な規模の対応が必要です。本日出席した金融調査会では、そうした意見が相次ぎ、政府からしっかり取り組むという発言がありました。

一方で、地方銀行も含めて金融機関の疲弊も気になります。これだけの対策なので、現場では結構大変なことになっているのだと思います。が、最大の関心毎は将来展望です。政府の後ろ盾はあるとしても、金利水準が上振れる傾向はまったく見えず、コロナ対策で更に厳しい状況になるのだと思います。

また、これも本日の金融調査会で指摘があったのが、企業にとっては決算開示の時期と重なること。コロナ対応で支障が生じる可能性があることから、基本的には政府は、法務省も金融庁も、そして東証も、開示できる時期に開示することで差し支えないとの見解を示しています。一方、米国のSECは、米国で上場している中国企業と長らく情報公開を巡ってバトルをしてきておりましたので、コロナだろうが開示せよ、とのスタンスであったようですが、ここにきて、開示延長を認める方針に変化してきています。私は、開示できなければ理由を示す、開示する段階で開示し、その時に開示できなかった理由の正当性をチェックすることで担保できるのではないか、と思います。

いずれにせよ、経済的インパクトの影響を抑えるために、金融面でも産業面でも、対応していきたいと思います。

デマにはご注意を

(予算委員会分科会でのフェイクニュース対策の議論)

かつて寺田寅彦は、災害は忘れたころにやってくる、と言ったと言われていますが、別のいいことも言っています。何かのエッセー集に収録された文章で、正確には思い出せませんが、「災害は恐れすぎてはいけないが、恐れなさすぎてもいけない」という趣旨のもの。何事も、適切に恐れて適切に対処することが重要だとの教えです。

デマ・偽情報・フェイクニュースが蔓延しています。これも適切に恐れて対処することが肝要です。

デマでトイレットペーパがないことが話題になりました。フェイクニュース対策の難しさを感じた報道でした。嘘だったと報道するために嘘じゃない本当の映像を放送する羽目になるという現実。スーパーの棚から丸ごとトイレットペーパがなくなっている様子を、これはデマで発生したと報道されても、それを見た人は、デマだろうがなんだろうが、トイレットペーパがない現実を目の当たりにすることになります。結局、余計になくなる。

他にコロナ問題では、コロナウイルスは熱に弱く27度くらいで死滅するからお湯を飲めばいい、というデマがネット上で蔓延していたそうです。体温って何度でしたっけと普通は思うと思うのですが、不思議なことに、政府やメディアが取り上げない情報ほど、あっという間に広がる。特に、普段から体制に批判的な層ほど、体制が発表する情報を信じないので、デマに流される傾向があるそうです。また、専門家と言われるものにも弱い。専門家って何の、とはみんな思わないもので、コロナに2回感染したら死ぬ、というデマがあったそうですが、これも現役医師という「専門家」の投稿動画がきっかけで拡散したそうです。

何もコロナ関係だけではありません。その内容は、愉快犯的なものからビジネス目的まで、内容も陰謀論的なものから政治扇動的なものまで、様々なフェイクニュースがあります。例えば、最近、立憲民主党がTwitterで「内閣支持率続落26%」をシェアしたところ、読者層から誤りを指摘され(昔のデータだった)、削除。恐らく同党の担当が反射的に喜び勇んでリツイートしたのでしょう。目くじら立てる必要は全くないのですが、意外とこういうつまらないミスが本当らしく伝搬してしまうものなのだと思います。

http://www.nhk.or.jp/gendai/digest/fakenews.html

なお、独立民間団体で、日本で唯一のファイクトチェック機関(偽情報のチェックを行っている団体)は、コロナ関係の偽情報についても積極的にファクトチェックを実施しています。ご参考ください。

https://fij.info/

フェイクニュース対策は、表現の自由、報道の自由を全力で守りながら、偽情報は偽だと分かってもらうことが重要です。そのためには、中長期的にはリテラシー教育が非常に重要です。情報の受け手としての情報リテラシー向上の第一歩は、違和感を持ったら鵜呑みにしない、見出しの過激さに注意する、記事の内容を吟味する、他メディアと比較する、当該メディアの一般評価を確認する、など、当たり前と言えば当たり前のことです。

ただ、そうしたリテラシー教育に即効性はない。ので、既存のクオリティーメディアに、偽情報が偽と分かる質の高い報道を行ってもらうことが重要です。つまりメディアは極めて重要なのです。ところが、新聞協会の調査によると、最近ではクオリティーメディアの質が劣化している(偏っている)と思う国民が増加しています。

念のためですが、報道に政治が口を挟もうとしているのではなくて、主要メディアが質を維持しないとメディアも信頼を失い、その結果、偽情報が蔓延し、偽情報で民主主義自体が棄損するほど苦しんでいる他国のようになりますよ、と言いたいのです。

例えば先日、政府とメディアのやり取りで違和感を覚えることがありました。コロナウイルス感染症を巡って、特定の報道番組が報じた内容について、政府がツイッターで直接反論したことが話題になった件です。正直、国民不在になってはいなかったのか、国民にとって未知の感染症に対する不安が先行しているなか、国民から見たら単にメディアと政府の喧嘩にしか見えなくないですか、と思っています。

しかし、それはそれとして、この場で指摘しておきたいのは、報道というのは何をどう報道してもいいのですが、その裏側で報道に違和感を持っている国民がいることを敏感に感じ取れない構造的問題があることを報道側が認識していないことにこそ問題があるのではないか。典型例は専門家と称するコメンテータ。社としての責任や義務が不在で、番組として斬新で分かりやすい意見を言ってくれる人を出す。出る人も分かっているので目立つことを言う。結果、どういう角度から社に批判があっても、これは社の意見ではなくコメンテータの発言ですと逃れられる。

とある地元の方で、俺は自民党が嫌いだ、と言って応援してくれている方が、最近の報道姿勢について、「昔はなるほどぉ〜と思う論評が多かったけど、最近では批判したいのね〜としか思えなくなった」とおっしゃっていたことが頭から離れません。

フェイクニュースに対して強靭な国家を作るにはメディアに対する国民の信頼は欠かせません。

新型コロナウイルス感染症対策ー事業者

(党役員連絡会議の様子)

先に感染拡大防止の観点で現在の状況をお伝えいたしました。現時点でも感染拡大に向けて全力の取り組みが行われています。一方で拡大防止集中対策期間が終われば、経済的インパクトも徐々に視野に入ります。従って、主に小規模事業者、中小企業事業者向けに、先手の支援措置が必要です。先般党内で議論を行い、R2予算を通じた切れ目ない対応を政府に求めています。

また経済産業省や厚生労働省を中心に、事業者向けの現時点での支援策が用意されることになっています。皆様はご一読いただければと思います。

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf

この概要を添付します。

・雇用調整助成金の特例措置

小学校等の休校措置で、お勤めの親御さんに、通常の有給休暇とは別の休暇制度(賃金全額支給)を設けた企業に対して助成する事業を新設することになりました。

・下請け取引

親会社から不当な発注を受けた場合は、下記の下請かけこみ寺にご相談ください。政府から1239の業界団体に対して、下請けとの取引に関して、コロナ感染症の影響によるサプライチェーンの棄損などを理由とした通常より厳しい条件(代金や納期など)の設定を行わないことを要請しています。

・その他

その他ですが重要なポイントです。資金繰りで困難に直面する場合に備えて5000億円規模で徹底的に支援、サプライチェーン棄損に対応、経営環境の整備も行うことになっています。

具体的には、信用保証協会のセーフティーネット保証では、一般保証とは別枠の資金繰り支援制度を、またコロナ関係を踏まえた特例措置を、日本政策金融公庫の衛生環境激変大作特別貸付制度では影響を受けている旅館業や飲食店などを支援、一般金融機関にも適宜適切な貸出を政府から要望、中小機構の生産性革命推進事業でコロナのサプライチェーン棄損に備えた投資を行う企業を優先的に支援、官公需は契約条件の柔軟化と速やかな支払いを行うこと、経産省では輸出入手続きの緩和などです。

宇宙ビジネス市場と宇宙基本計画

(自民党宇宙海洋開発特別委員会での作業の様子)

数年前から株式市場で急速に注目されているのが宇宙ビジネスです。四半世紀前に宇宙に携わったときには、全く想像もつかなかった事態です。想像もつかなかった理由はたった一つ。宇宙にモノを持っていって出来ることがコスト的に割に合わないから。しかし、とうとうその損益分岐点を超える時代になったのだということを、株式市場の動きから実感しています。

東京海上アセットマネジメントやニッセイアセットマネジメントという株式運用会社が数年前から宇宙関連株式ファンドを運用しています。例えば前者は2018年9月のスタートで、当時の純資産総額が10億円。それから現在まで取引ボリュームの拡大で資産ピークは320億円に達しています。政策投資銀行もそうした宇宙ビジネス市場の動向に注目しレポートも出しています。

主だった動きはアメリカ。でも日本も負けていません。日本の宇宙ベンチャーで月面開発産業を計画しているispaceという会社がありますが、100億円を超える資金の調達に成功しています。人口流れ星を計画しているALEというベンチャーも単発で数十億を調達しています。宇宙空間で問題が顕在化しつつある宇宙デブリ(宇宙ゴミ)除去を計画しているAstroScaleも100億円以上調達しています。

まだまだ他に沢山ありますが、これら成功した例では、シリーズC以上のラウンドを回して、国内外多くの投資家から調達に成功しています。

こうした宇宙ベンチャーが多く育ち、宇宙ビジネス市場のすそ野を拡大していけば、当然調達コストも安くできるため、激変する安全保障環境や気候変動などの地球規模課題や科学技術ニーズに対処するための政府によるアセット調達の自由度が増します。

問題は、ほっとけば市場が拡大し続けるのか、ということです。今は日本の宇宙ビジネス市場が拡大するのかしないのかの瀬戸際に立たされているのだと認識しています。であれば、政治としても全力で市場のすそ野を拡大する努力を今行わない手はありません。政府だけでコトを成し遂げることも困難です。官民力を合わせて裾野拡大に邁進しなければなりません。

今年は丁度、政府の宇宙基本計画改定時期にあたります。この計画は、宇宙基本法の理念を具体的な戦略的政策に落とし込むことが目的です。そして現在、その作業が佳境に入りつつあります。

自民党でも、宇宙海洋開発特別委員会(河村建夫委員長)で議論を進めており、政府への提言をまとめる時期に差し掛かっています。私自身は、まさに宇宙利用産業のすそ野を拡大し、安全保障、産業、科学技術の3つの政策軸の相乗効果が表れるような、宇宙産業エコシステムを構築していくことが、この基本計画改定の最重要課題であると認識しています。

宇宙ベンチャーが市場から資金を調達しやすい環境を整えること。そこではシリーズシードレベルから全力で政府調達支援(アンカテナンシー)を行っていくこと。同時に、国際市場マーケティングで並走すること。また、標準化やオープンクローズ戦略といった知的財産戦略の立案で伴奏すること。もちろん政府的には輸出管理やクリアランスといった環境整備を行って、富と人材流出に備えることも重要です。

政府の調達では、宇宙基盤にしっかりと予算を充当すること。同時に、各省庁ニーズしか見ずに作りたいものを作って、成功したら海外に売ろうという負けパターンの発想は止めて、当初から国際市場をマーケットインの発想で睨んでおくこと。また、産業競争力強化のためにも、オープンイノベーション促進の工夫をすること。FFRDCやXPRIZEといったスキームが大いに参考になるのではないかと思っています。

そして何よりも、宇宙ビッグデータにしっかりとスポットを当てていくことで宇宙利用産業を拡大することだと思います。日本は課題先進国だと言われていますが、ビッグデータが解決の糸口となる可能性は大です。問題は、課題に直面している担い手の発掘、そしてそうした宇宙とは恐らく関係がない担い手に宇宙ビッグデータのポテンシャルをマッチングしていくこと。その為に、政府は全力で保有するデータアセットを解放すること。

これらはもちろん地方の課題解決に結びつく可能性の高い事業です。既にそうした取り組みに積極的な自治体もあります。

書き尽くせぬ思いはありますが、少なくとも、何事でも未来を明るくするのは人間だ、ということだけは申し上げておきたいと思います。

新型コロナウイルス感染症ー拡大防止

新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。日本は感染拡大防止のステージに入り、ここ1~2週間が拡大防止の重要な期間であることが示されました。経済へのインパクトなどの指摘もありますが、経済対策はサプライチェーン対策などに集中し、感染防止は全力を尽くすべきです。

政府は、情報提供、状況把握とその体制整備、検査体制強化(簡易検査キットも)、感染対策の官民連携、治療法確立(治療薬やワクチン開発)、医療体制強化、院内感染防止体制強化と時限的規制緩和措置、水際対策の更なる強化、マスクなどの供給体制、国際機関や諸外国との連携、中国からの情報収集、犯罪防止、フェイクニュース偽情報対策などになお一層の努力を傾注すべきです。

●皆様にお願いです

発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控えて下さい。また、毎日、体温を測定して記録してください。

風邪の症状や37.5度以上の発熱が4日以上続く方(解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です。)、 強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方は、帰国者・接触者相談センターに御相談ください。解熱剤を飲み続けなければならない方も同様にお考え下さい。

感染への不安から同センターへの相談なしに医療機関を受診することは、かえって感染リスクを高めることになることになるため、感染が疑われる場合は必ず同センターにご相談ください。

香川県であれば、同センターは以下の保健所となります。一般のコロナ感染症に関する相談は8時30分~17時15分が受付時間となっていますが、感染症の疑いが強い場合は、休日・夜間も相談に応じています。

相談窓口 電話番号 FAX(土日祝除く)
小豆保健所 0879-62-1373 0879-62-1384
東讃保健所 0879-29-8261 0879-42-5881
中讃保健所 0877-24-9962 0877-24-8341
西讃保健所 0875-25-2052 0875-25-6320
高松市保健所 087-839-2870 087-839-2879

なお、高齢者、糖尿病・心不全・呼吸器疾患(COPD 等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方、免疫抑制剤や抗がん剤等を用いている方、妊婦の方は、2日以上続く場合には、最寄りの保健所、帰国者・接触者相談センターに御相談ください。小児は現時点で重症化しやすいという報告はないので、この目安どおりの対応をお願いします。

相談後に受診を勧められたら、その医療機関を受診してください。複数の医療機関を受診することはお控えください。医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。

なお、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況で、 インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等に御相談ください。

イベント開催について、最新の感染の発生状況を踏まえると、例えば屋内などで、お互いの距離が十分にとれない状況で一定時間いることが、感染のリスクを高めるとされています。イベント等の主催者においては、感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況等を踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いします。なお、イベント等の開催については、現時点で政府が一律の自粛要請を行っているものではありません。

開催にあたっては、感染機会を減らすための工夫を講じてください。例えば、参加者への手洗いの推奨やアルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある方には参加をしないよう依頼をすることなど、感染拡大の防止に向けた対策の準備をしていただくようお願いいたします。

風邪のような症状がある場合は、学校や仕事を休み、外出を控えるとともに、手洗いや咳エチケットの徹底など、感染拡大防止につながる行動にご協力をお願いします。特に高齢の方や基礎疾患をお持ちの方については、人込みの多いところはできれば避けていただくなど、感染予防に御注意いただくよう、お願いいたします。

そのためには、学校や企業、社会全体における理解に加え、生徒や従業員の方々が休みやすい環境整備が大切であり、テレワークや時差通勤も有効な手段であります。関係の皆様のご協力をお願いいたします。

●現時点で新型コロナウイルスで分かっていること

一般的な状況における感染経路は飛沫感染、接触感染であり、空気感染は起きていないと言われます。閉鎖空間において近距離で多くの人と会話する等の一定の環境下であれば、咳やくしゃみ等がなくても感染を拡大させるリスクがあります。

感染力は事例によって様々です。一部に、特定の人から多くの人に感染が拡大したと疑われる事例がある一方で、多くの事例では感染者は周囲の人にほとんど感染させていません。

発熱や呼吸器症状が1週間前後持続することが多く、強いだるさ(倦怠感)を訴える人が多い。また、季節性インフルエンザよりも入院期間が長くなる事例が報告されています。

罹患しても軽症であったり、治癒する例も多い。重症度としては、致死率が極めて高い感染症ほどではないものの、季節性インフルエンザと比べて高いリスクがあります。特に、高齢者・基礎疾患を有する者では重症化するリスクが高い。

インフルエンザのように有効性が確認された抗ウイルス薬がなく、対症療法が中心です。また、現在のところ、迅速診断用の簡易検査キットがありません。

一方、治療方法については、他のウイルスに対する治療薬等が効果的である可能性があります。

●現時点での政府の対策

海外から入国する人のうち、上陸申請日前14日以内に中国湖北省、韓国大邱広域市及び慶尚北道清道郡に滞在歴がある外国人については、入国が拒否されています(中国は2月1日から、韓国は2月27日午前0時から)。渡航中止勧告も実施中です。

マスクが市場で品薄になっていますが、国家備蓄体制を整え官民力を合わせて毎週1億枚の供給体制をくんでいます。品薄状態は解消されていくものと思いますが、皆さまのご協力が必要です。買い占めは逆にリスクを高めますので、ご遠慮ください。

検査体制ですが、2月17日の時点では、中核となる国立感染症研究所は400件、検疫所で580件、地方衛生研究所で1,800件(83か所中74か所)、また民間検査会社は5社900件、大学は2か所約150件、以上全部で1日3000件を上回る検査能力が維持・獲得できたとのことです。更なる強化を要請しています。

その他の情報は以下をご参照ください。

https://www.cas.go.jp/jp/influenza/novel_coronavirus.html

新型コロナウイルス感染症の専門的知見については以下をご参照ください。

【善然庵閑話シリーズ】クルド人と中東

クルド人と聞いて、どこのどういう人かを想像できる日本人はそれほど多くないのかもしれません。国家を持たない世界最大の民族で、中東のトルコ・シリア・イラン・イラクあたりに住み、アラブ人・トルコ人・ペルシャ人に次いで人口が多い、クルド語というペルシャ語に近い独自の言語を持つ、主にイスラム教スンニ派の人たちです。その数3千万人とも4千万人とも言われています。

クルド人も歴史に翻弄された民族です。16世紀までは明らかに独自の文化圏を築いていましたが、オスマン帝国の占領によって土地を失い、そのオスマン帝国も第一次大戦で崩壊。このとき、有名なサイクスピコ協定と呼ばれる英仏ソによる密約で、オスマン帝国は人工的に分割され、フランスの勢力圏がシリアに、イギリスの勢力圏が現代のイラクになった。この協定は、アラブ独立を約束したフサイン・マクマホン書簡などとともに、当時の大国の論理による矛盾に満ちたもので、現代まで問題を引きづる原因になる(例えば数年前に世界を震撼させた過激派組織ISはこの線引きを無効と主張)。いずれにせよ、必然的にクルド人居住地域は、トルコとシリアとイラクとイランにまたがることになる。

一方、オスマン帝国崩壊後、英仏の影響下になかったイラクやシリア以外の土地は、現代のトルコが承継します。その際、クルド人達の独立運動が高まり、連合国とオスマン帝国を承継したトルコとの間で結ばれたセーヴル条約では、クルド人はクルディスタンという名前の国家として独立を約束されます。連合国にとってクルドはどっちでもよかったのかもしれません。しかし、同条約がトルコにとって不利であったため、トルコはソ連に近づいて英仏と対抗し、セーヴル条約をローザンヌ条約として有利に改定、トルコの国境を画定すると同時に、クルド人の独立の約束を破棄しました。トルコはクルディスタン独立によって領土を失うのを嫌ったのかもしれません。以降、失われたクルディスタンの夢はクルド人の民族意識として末代に亘るものになり、クルド人は居住地の政府と対立を深める。

半世紀たった1988年にはイラクのフセイン大統領がクルド人に化学兵器攻撃を仕掛けて弾圧したり、またトルコでもクルド語を禁止するなどの弾圧、一方でクルド人も激しい独立運動を起こし、例えば1984年以降のクルド・トルコ紛争では、大勢の犠牲者を出したと言われています。シリアのクルド人も同様だと言われます。そして今世紀に入ってもクルド人の一部はクルディスタンの夢を追い続けて独立運動を継続し、時にはテロ攻撃をしかけ、逆に弾圧を受け続けています。日本にいると何がどうなっているのか良く見えない。

様相が更に複雑になったのが世界を震撼させたテロ組織ISの登場です。今でこそISは掃討されて残党勢力はシリア北東部に収容されていますが、その掃討作戦でアメリカが現地兵力として最大活用したのがクルド人民兵組織です。YPG(人民防衛部隊)やSDF(シリア民主軍)と呼ばれる組織です。当然、クルド人と敵対しているトルコはアメリカと対立し、未だにこの構図は続いています。そして更に問題を複雑にしたのが、昨年のトランプ大統領による米軍のシリア撤退発言です。

アメリカの影響力を背景に活動していたクルド人は、米軍のシリア撤退表明によって後ろ盾を失い、必然的にトルコ政府はシリアのクルド人に対する激しい攻撃を始めました。一方でシリアで治安維持を担っていたクルド人を中心としたSDFは、徐々にトルコ国境へと後退しています。昨秋の話です。この時ほど、クルド人は何を思うのかを聞きたくなったことはありませんでした。

日本も何かできることはないか?昨年、とある中東の政府関係者に聞いたことがありました。なにもない。即答でした。

ちなみに、こういう状況になるとIS残党勢力の収容所周辺の治安が心配になるわけで、事実IS残党勢力が脱走したなどの記事に時々接するようになりました。ISは既に組織力は残っていないと思われますが、最近では東南アジアからISに参加しようとした東南アジアジハーディストが帰国の際に入国を拒否され、そういう勢力と合流しているとかの記事を目にしますので、もしその流れが拡大するようなことにでもなれば、もはや遠い国で起きていることだと割り切ることはできなくなります。

一方で、中東での米軍の影響力が下がったことで、シリアやトルコの後ろ盾となっているロシアの影響力が極端に強くなっているのではないかとの指摘があり、また別件、アメリカとイランの相克問題が昨年から急激に悪化、またイスラエルはイランの影響下にあるレバノンの過激派勢力に悩まされています。イラン・シリア・イエメン・ロシアと、更にはトルコ、それに対する湾岸諸国、そしてイスラエル、レバノン、パレスチナ、そしてアメリカというの複雑な勢力模様は、今後も単純化されることなく暫くは続くものと思います。

消費税と介護とテクノロジー

今から8年前の初めての選挙に挑んだ時から、基本政策はほとんど変えていません。これはWEBにも「私の基本政策」として記載していることですが、多少中身は時代の変化や政策の実現度合いに応じて変えていますが、政策の柱として立てている項目は変わっていません。

その中の社会保障では、若者支援策を積極的に打っていかなければならないという思いを持ち続けています。私自身は残念ながら大きな政策を打ち出せてはいませんが、しかし政府が昨年、全世代社会保障というバズワードで打ち出した政策は大いに賛同しています。そして消費税増税を機に、具体的な政策が昨年末から今年にかけて打ち出されています。

若者支援の理由は単純で、国民金融資産のうち66%以上を65歳以上が保有し、負債も併せたネットでの金融資産で言えば90%以上を65歳以上が保有する(若者は言えや車のローンがあるから)という指摘がある現状を前に、相変わらず高齢者中心の社会保障給付を続けていたら、必然的に高齢者への社会保障給付は減らざるを得ないことに、この国の将来を案じているからです。

もちろん高齢者全員が裕福であるわけでなく、個別に見ればもっと給付をすべきなのは明らかです。なので、社会保障全体とすれば若者支援にシフトしつつ、高齢者支援は裕福層から困窮層にシフトしていくべきだと思っています。

で、昨年度の社会保障関係費(国費)は、34.1兆円でしたが、今年度予算案では、35.8兆円と見込まれています。その構造は、34.1から自然増(人口構成変化)で+0.53兆円、診療報酬で+0.05、年金スライドで+0.01、介護総報酬割や薬価改定などの歳出改革で▲0.17、消費増税の社会保障充実で+1.2、その他社会保障関係費で+0.1で、合計35.2兆円となっています。

消費税増税分の使い道は、

1.幼児教育・保育の無償化  3410億円
2.高等教育の無償化     4882億円
3.待機児童解消        358億円
4.年金生活者支援給付金   4908億円
5.低所得高齢者介護保険軽減  663億円
6.予防健康のための自治体支援 700億円
7.医師の働き方改革      183億円
8.医療情報化支援基金拡充   768億円

となっています。ここで分かるように、若者系が8650億円、年配系が7222億円で、若者支援が多い(予防健康はどちらとも言えませんが年配系としてカウントしています)。なので、納得はしています。

ただ、年配系は医療と介護がこれから大きな課題なはずで、今回は特に介護について書きのこしておきたいと思います。令和(R)2年度予算の味付けの方向は正しいと思っています。

今一度、冒頭の今年度社会保障関係費35.8兆円の構造を少し詳しくほりさげます。現在政府は社会保障関係費の自然増を5000億円以下に抑えることが至上命題となっているので、歳出改革もしているのですが、R2の歳出改革の▲0.17兆円のうち、薬価などの改定が▲0.11兆円、介護総報酬割改革分は600億円と見積もられています。600億円を削った。えっ?と思いきや、介護費の支出を削った分、高所得者層の負担を増やしたという構図になっています。つまり政府支出分を高所得者層に付けたという構図です。だから高所得者層から困窮層へのシフトは行われていると言えます。

もう少し掘り下げます。介護保険の総報酬割とは何か。介護保険制度が始まって20年経ちますが、基本構造は、税金で50%、残り50%を40歳以上に保険料を課すことで賄っています。皆さん40歳を超えると介護保険納めていますよね。で、その皆様から徴収する50%のうち、23%は65歳以上(第一号被保険者)から、27%は40~65歳の方々(第二号被保険者)から徴収しています。ちなみに、50%の税金のうち、25%は国、12.5%は都道府県、12.5%は市町村が負担しています。

で、この40~65歳の第二号被保険者は、自営業者は国民健康保険、中小企業従業者は協会けんぽ、大企業従業者は会社の健康保険組合+介護保険となっています。

で、実は4年前までは、皆さまから徴収する保険料の算定方式は、加入者数で決まっていましたが、人生の成功者と非成功者で同じ負担で良いのかしら、ということになり、加入者数割から総報酬割にシフトしています。必然的に、お金持ちの健康保険組合の総報酬が高くなりますので、その負担は増え、逆に協会けんぽなどの負担は減った。苦しい組合には国が補助金を出していたので、必然的に国庫補助が削減されたという構図になったのが、今回の600億円の内情です。

以上、私自身、こうした方向性は正しいと思っていますが、今後さらに600億円をきりこむつもりなら、組合経営として更にリーズナブルなエコシステムが必要になってくるはずなので、民間のテクノロジーを使った健康長寿戦略をもっと積極的に進めるべきだと思っています。

R2予算のなかで予防健康のための自治体支援として700億円が計上されています。感度の高い自治体は合理的な執行を行っていただけると信じていますが、何かにつけ地方分権が叫ばれる昨今、分権の方向は正しくても、地方分権と合理化効率化、または地方分権と危機対応という全く異なる基軸が混同されて解釈される傾向がある現状にあって、感度の高くない自治体が合理的な予算執行を行って頂けるかは疑問です。そういう意味では、本当の地方分権とは何かを本格的に議論しなくてはならないと思っています。

具体的に言えば、健康長生きの啓蒙活動などは、それはそれで必要なことなのですが、それだけでは解決しません。課題を構造化して言語化しコンセプトを打ち出して具体的なアイディアを政策にしていかねばなりません。健康な人は健康になろうとするインセンティブは殆どありません。なぜならば健康だからです。病気になった人は急にインセンティブが高まる。そこを構造化してビジネスシーズを見出し、健康な人へのインセンティブをテクノロジーを使って付与する事業者がかなり多くなってきています。実際に健康保険組合の経営状況が黒字化したという事例も多く聞くようになりました。これだけとは言いませんが、こうした分野こそ、地方自治体は積極推進を図るべきなのだと思います。